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俺×恋=0になります。  作者: 光黒猫
第五章 俺×真実=繋がってきます。〜愛の告白編〜
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174話 俺×火柱=まだ消えない熱のままです。

キャンプファイヤーの光が、まだ頭の中に残っていた。

手を離した感触も、近すぎた距離も、全部そのまま残っている。


「……」


少しだけ、息を吐く。


さっきまでの空気を引きずったまま、校舎の中を進む。足取りは、ほんの少しだけ重い。


それでも——止まらない。


生徒会室の前に立つ。

扉の向こうに、現実がある。


「……」


一瞬だけ、手が止まる。


けれど、そのままノブを回し、扉を開ける。


「来たね、楽々浦君」


会長が、いつも通りの落ち着いた声で迎える。

そのまま、軽く手招きをする。


「……失礼します」


中に入る。


扉が閉まる音が、やけに静かに響いた。


窓の外を見ると、校庭ではまだ人の輪が揺れている。炎の光がちらちらと見えて、さっきまでいた場所がすぐそこにあるのに、まるで別の世界みたいだった。


「……」


少しだけ視線を外す。


「さて」


会長が、ゆっくりと口を開く。


「赤坂の処遇が決まったよ」


「……」


自然と背筋が伸びる。


「葵君と同様、停学処分。ただし期間は二ヶ月」


「……二ヶ月」


思ったより、長い。


「そして——停学明けに、僕の前で正式な謝罪がなければ、その時点で退学になる」


「……」


一瞬、言葉が出ない。


けれど——


「……そうですか」


小さく、息を吐く。


即、退学じゃない。

それだけで、十分だった。


「ひとまず、最悪の事態は避けられたね」


会長が静かに言う。


「……はい」


素直に頷く。


胸の奥にあった張り詰めたものが、少しだけほどける。


「ただし」


会長の声が、わずかに変わった。


「問題は、ここからだ」


「……」


「彼女の動向が読めない」


ゆっくりと続ける。


「現在、所在がはっきりしていない」


「……」


眉がわずかに寄る。


「学校にも来ていない。連絡もつかない。完全に姿を消している状態だ」


「……そうですか」


小さく返す。


「そこで、だ」


会長が視線を向ける。


「楽々浦君、君に調べてもらえないかな」


「……」


少しだけ間。


「……自分も、知りたかったです」


正直に答える。


「なら話は早い」


会長が小さく笑う。


「頼んだよ」


「……はい」


迷いはなかった。


「それと」


会長が、続ける。


「明日も文化祭だけど——」


「……」


一瞬、嫌な予感がする。


「君は来なくていい」


「……え」


思わず声が出る。


「その代わり、明日から赤坂の件を最優先にしてほしい」


「……」


言葉が詰まる。


さっきまでの光景が、頭をよぎる。


炎の光。


近かった距離。


「……」


ほんの一瞬、迷う。


けれど——


「……わかりました」


短く、答える。


「ありがとう」


会長はそれ以上何も言わなかった。


そのまま、生徒会室を出る。

扉が閉まり、廊下に静けさが戻る。


「……」


小さく、息を吐く。


「……はぁ」


今度は、少し長めに。


正直——


残りたかった。さっきの場所に。


「……」


苦笑が漏れる。


「……仕方ないか」


自分で選んだことだ。


それは分かっている。それでも、ほんの少しだけ後ろ髪を引かれる。


とにかく、足を進める。

そして、そのまま校庭へ戻る。


炎の光が、再び視界に入る。

音楽も、人の声も、そのまま続いている。


さっきと同じ場所、同じ光景。


それなのに——


少しだけ、違って見えた。


人の輪を見ながら、ゆっくり歩く。


「……」


ふと、立ち止まる。このまま戻るのもいい。


けれど——


頭の中に、別の顔が浮かぶ。


祇園。


まだ、何も分かっていない。あの時の違和感も、そのままだ。


「……」


理由はない。ただの勘。


それでも——


「……行くか」


小さく呟く。


次にやるべきことは、もう決まっていた。

炎の光を背にして、一歩踏み出す。

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