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俺×恋=0になります。  作者: 光黒猫
第四章 俺×近くの存在=近すぎてわかりません。〜姉弟姉妹編〜
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133話 俺×朝の余韻=少しだけ前と違います。

朝の光で、目が覚めた。


「……」


ゆっくりと、まぶたを開ける。

天井が見える。昨日と同じはずなのに、少しだけ違って見えた。


「……」


体を起こそうとして——ふと、動きが止まる。


隣に、白ヶ崎がいた。


「……」


静かに寝息を立てている。少しだけ髪が乱れていて、無防備な顔。


「……」


昨日のことが、頭に浮かぶ。


昼に、カレーを作って。夜もそれを食べて。

他愛のない話をして——


そのまま、また一緒に寝た。


不思議だった。普通なら、ありえない状況のはずなのに。

今は、それが当たり前みたいに感じている。


「……」


少しだけ息を吐いて、ゆっくりとベッドから出る。白ヶ崎を起こさないように、静かに動く。


「……」


制服に着替える。

ネクタイを締めながら、ふと思う。


昨日までの自分だったら、多分こんな風に動けていない。何も考えられずに、止まっていたはずだ。


でも今は、違う。


ちゃんと、動けている。

その実感が、少しだけあった。


「……ん」


後ろで、小さな声。


振り返ると、白ヶ崎が目を開けていた。


「……おはよ」


少し眠そうな声。


「……おはよう」


自然に、返す。


「もう着替えてるんだ」


「そろそろ行かないとだしな」


「そっか」


白ヶ崎もゆっくりと起き上がる。

そのまま、いつも通りの流れで準備が進む。


「……」


特別なことは、何もない。


でも——


その普通が、少しだけ心地よかった。


「行くか」


「うん」


二人で、玄関に向かう。


ドアを開ける。


朝の空気が、少しだけ冷たい。


「……」


並んで歩き出す。


なんだろう、この感じ。


隣に誰かがいる。


それだけのことなのに。妙に、しっくりくる。


「……」


学校が見えてくる。そのまま、教室へ。

扉を開けた瞬間だった。


「おーい楽々浦ぁ!!」


うるさい声が飛んでくる。


神宮丸だった。


「……朝から元気だな」


「そりゃ元気だろ!」


にやにやしながら近づいてくる。


「てかお前ら」


じろじろと見てくる。


「なんか距離近くない?」


「……」


その言葉に、一瞬だけ空気が止まる。


普通なら——


「気のせい」


白ヶ崎が即答して終わるはずだった。


でも。


「うん、そうね」


「……は?」


神宮丸の動きが止まる。


「……」


俺も、止まる。


「……え?」


神宮丸が固まる。


「え、認めるの?」


「うん」


あっさり。


「なんでお前もびっくりしてんだよ」


神宮丸に突っ込まれる。


「いや、だって……」


「いつもと違いすぎだろ!?」


「そう?」


白ヶ崎は、全然気にしてない。


「別に隠すことでもないし」


「いやあるだろ!?」


「ないわよ」


「あるわ!!」


朝から騒がしい。


「……」


そのやり取りが、少しだけ面白くて。


「……はは」


気づけば、少し笑っていた。


「おい楽々浦も笑ってんじゃねぇ!」


「うるせぇよ」


軽く返す。


「……」


その空気のまま。


でも、やることは決まっている。


「……ちょっと生徒会行ってくる」


白ヶ崎に言う。


「早速、会長のところに行くよ」


「うん、いってらっしゃい」


あっさりと送り出される。


そのまま、教室を出る。


廊下を歩く。


足取りは、昨日までより軽かった。


「……」


生徒会室の前に着く。


ドアに手をかける。


その時だった。


「あ……」


後ろから、小さな声。


「……?」


振り返る。


そこにいたのは——葵だった。


「……」


一瞬で、空気が変わる。


前回の記憶が、よぎる。


最悪の空気。


言葉。


全部。


「……」


どうする。無視するか。

それとも——


「……おはようございます」


先に、口が動いた。自分でも、少し驚く。


「……」


葵が、少しだけ目を見開く。


無視されるかと思った。

けれど——


「……おはよう」


返ってきた。


小さく。でも、ちゃんと。


「……」


一瞬の沈黙。


気まずさは、まだ残っている。


でも——


「……この前」


ぽつりと、言葉を出す。

葵が少しだけ身構えるのが分かる。


「……言い過ぎました」


視線を逸らさずに、言う。


「……あの時の言い方も」


一瞬だけ、言葉が詰まる。


「……全部」


小さく息を吐く。


「ごめんなさい」


「……」


葵が、固まる。


予想していなかったのかもしれない。


「……」


少しの沈黙。


そして——


「……ううん」


ゆっくりと、首を振る。


「……いいよ」


その声は、思っていたより柔らかかった。


「……」


空気が、少しだけほどける。


「……」


葵が、じっとこっちを見る。


「楽々浦くん……」


少しだけ首を傾げる。


「なんか、変わった?」


「……」


思わず、言葉に詰まる。


「……そうですかね?」


「うん」


はっきり言う。


そして——


ふっと、表情が緩む。


「……よかった」


そのまま、一歩近づく。


「ちょっと安心した」


さっきまでの気まずさなんて、なかったみたいに。


自然な笑顔だった。


「……」


そのまま、葵は生徒会室のドアを開ける。


「じゃあね」


軽く言って、中に入っていった。


「……」


一人、残される。


「……」


唖然としたまま、立ち尽くす。


けれど——


「……」


胸の奥は、前ほど重くなかった。


「……」


少しだけ、息を吐く。


確かに。


「……変わってるか」


小さく呟く。


自分でも分かるくらいに。


「……」


ドアに手をかける。

今なら——ちゃんと、前に進める気がした。

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