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俺×恋=0になります。  作者: 光黒猫
第三章 俺×過去=探し出します。〜過去探索編〜
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113/231

112話 俺×休日=なぜかデートになりました。

休日の朝だった。


目が覚めた瞬間、今日は何もない日だと気づく。学校も、生徒会もない。


「……」


久しぶりに、予定のない一日。


ゆっくりしてもいいはずだった。


「まーくん起きてー!」


その考えは、ドア越しの声で一瞬で崩れた。


「……」


嫌な予感しかしない。


「起きてるー?」


「起きてる」


そう答えた瞬間、ドアが勢いよく開いた。


「よし、じゃあ出かけよ!」


「は?」


意味がわからない。


「デート!」


「嫌だ」


「なんで!?」


「なんでじゃねぇよ」


(起きてすぐに何言ってんだこいつ)


「だってまーくんずっと家にいるじゃん!」


「退院したばっかだからな」


「だからこそ外出るの!」


理屈が強引すぎる。


「……面倒くさい」


「はい却下!」


即答だった。


「拒否権ないからね!」


「あるだろ普通」


「ないの!」


断言された。


「……」


数秒だけ考える。逃げられない。


「……はぁ」


ため息をつく。


「少しだけだぞ」


「やった!」


満面の笑みだった。


そのまま強引に準備をさせられ、気づけば外に連れ出されていた。


街は思ったよりも人が多かった。

休日らしい賑わい。


「ほらほら!こっち!」


「引っ張るなって」


真希那に腕を掴まれて歩かされる。

完全に主導権は向こうにある。


「まーくん、これ似合いそう!」


「絶対似合わねぇだろ」


差し出されたのは明らかに変な服だった。


「えー、絶対いけるって!」


「いけねぇよ」


「試着だけでも!」


「しない」


即拒否。


そんなやり取りを何度も繰り返しながら、店を回る。

正直、疲れる。けれど——


「……」


少しだけ、気が紛れているのも事実だった。


「ねー、次あっち行こ!」


「はいはい」


適当に返す。

その時だった。


「……あれ?」


聞き慣れた声。

振り向くと——


「……白ヶ崎さん?」


そこにいたのは白ヶ崎だった。


「……あら、偶然」


明らかに準備されていたようなタイミングで現れた。


「いや嘘だろ」


「偶然だって言ってるでしょ」


「タイミング良すぎるだろ」


「知らない」


絶対嘘だ。


「咲音ちゃん!」


真希那が嬉しそうに近づく。


「一緒に回ろ!」


「……別にいいけど」


あっさり了承。完全に合流した。


「……」


なんか増えた。


そのまま三人で回ることになり、さっきよりさらに騒がしくなる。


「まーくんこれどう思う?」


「知らん」


「ちゃんと見て!」


「なんで俺が評価係なんだよ」


「大事だから!」


意味がわからない。


白ヶ崎は横でクスッと笑っている。


そのまま時間が流れていき、気づけばフードコートに辿り着いていた。


「お腹すいたー!」


「そりゃあんだけ歩けばな」


席に座りながら、どこで食べるかを考える。


「どうする?」


「うーん……」


そんな中、真希那が急に顔を上げる。


「ねぇ」


嫌な予感。


「今日はまーくんの退院祝い第二弾をやりたくて、葵ちゃんと唯ちゃんも呼ぼ!」


「……」


空気が止まった。

一瞬で、軽かった空気が変わる。


「……やめとけ」


思わずそう言う。


「なんで?」


「……」


理由は、言わなくてもわかるはずだった。

けれど真希那は引かない。


「だってさ」


そのまま、まっすぐこちらを見る。


「まーくんと唯ちゃん、仲悪いの見てるこっちも気分悪い」


「……」


「仲直りしてよ」


まっすぐすぎる言葉だった。


逃げ場がない。


「……」


何も言えない。


白ヶ崎が横で小さくため息をつく。


「……逃げてばっかじゃ、何も変わらないでしょ」


その一言が、刺さる。


「……」


視線を落とす。


正しいことは、わかってる。


「……わかったよ」


小さく答える。


「呼べばいいんだろ」


「うん!」


すぐに笑顔に戻る真希那。


「……ほんと調子いいな」


「えへへ」


そのまま店を選びに立ち上がる。


「どこにする?」


「いっぱいあるな……」


視線を巡らせる。


その時だった。


「いらっしゃいませー!」


妙に元気な声が響いた。


一つの店。そこだけやけに活気がある。


「……なんか元気だな」


「ね!あそこにしよ!」


真希那が迷わずそっちへ向かう。


「おい待て——」


止める間もなかった。

カウンターの前に立つ。


そして。


「……」


視界に入った瞬間、言葉が止まる。


そこにいたのは——


「……いらっしゃいませ」


赤坂だった。


一瞬で空気が凍る。


「……」


お互いに、言葉が出ない。

ただ、目だけが合う。


「……」


逃げることもできた。


けれど——


「……あの」


声が出た。


自分でも驚くくらい、自然に。


「今日、その……」


言葉を探す。


「退院祝い、やるんですけど」


「……」


赤坂の目が、少しだけ揺れる。


「もしよかったら……来ませんか」


沈黙。


ほんの数秒。


「……」


「……わかった」


小さな返事だった。


それだけで、十分だった。


その場はそれ以上何も起きず、注文を済ませて席に戻る。


「……」


真希那を見る。


「……これのために来たな?」


「バレた?」


満面の笑みだった。


「お前なぁ……」


呆れる。

完全に仕組まれていた。


「でも、よかったでしょ?」


「……」


否定できない。


「……まあな」


小さく答える。


その後はまた騒がしい時間が戻る。


白ヶ崎のツッコミ。


真希那の暴走。


どうでもいい話。


笑い声。


「……」


ふと、思う。


「……ありがとな」


小さく呟く。


真希那には聞こえていない。

それでもいい。


ただ——


ちょっとだけ、助かった、そんな休日だった。

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