番外編:とある週末の戦英プロ〜ニドラとソニアの場合②〜
side ニドラ
『ソニア・ビィ・ガロム』。
ガロム王室の第四王女にして、自分を誘拐した犯人とその関係者を私的に鏖殺した『連続大量殺人』の前科持ち。
彼女はその一件で王位継承権を失っているけれど、それで『貴族として没落した』と表現されるような雰囲気を見せたことはない。
王都がテロ攻撃を受けるまでは王都の肉屋で『看板娘のソニア』として、王都が戦場になればその戦場を駆ける神器使いとして、その戦争が終わったら終わったで戦役の功労者の一人として『第二の偉業』の称号を受けてそれなりの立場を確立した。
王族から殺人姫へ、そしてテロに巻き込まれて戦場生活……どこでドン底の転落人生になってもおかしくない経歴のはずなのに、その都度図太く要領よくその場の波に乗って、今でも衣食に困らない生活を維持している。
そして、何気に『ピークドット・レジスタンス』とは全く関係のないところから自発的に戦英プロに入ってきた変わり者でもある。
本人は『親から更生のために放り込まれた』みたいに言ってるけど、彼女の罪は王室からの実質的な追放で清算されているし、やらかしたことの割には家族との関係性もそこまで険悪ではないみたいだから、たぶん本人が望んで入ってきたのだろうと思う。
……僕が言うのもなんだけど、『戦英プロ』は仮にも『王族』と呼べる立場の人間が所属するにはかなり胡散臭い組織だ。
なにせ、元『世界の敵』であり、周知されてはいないとしても実際に『世界征服』なんてとんでもないことを企てていたこともある集団なのは事実だ。
ある意味、そんなドン底みたいな所から中央政府の信用をある程度勝ち取れるくらいまで名誉回復できてる今の戦英プロは見方によってはすごい『成長株』ではあるのかもしれないけれど。
それでも、『勝ち組』になることを求めるのなら……安定した人生や王族という地位への復帰を求めるのなら、道なき道を突き進む『戦英プロ』への所属は最適解とは言えない。
けれど……
「ソニア、そういえば『第三の偉業』を認定されたそうだな。能力を犯罪行為に使っていた転生者を単独で捕縛したと聞いたぞ。相手はかなりの凶悪犯だったそうだが……大丈夫だったか?」
「ふふっ、凶悪犯と言っても弱いものいじめが得意なだけで、取り巻きを抜けてしまえば戦闘能力は退屈……まあ、珍しい能力に興味はあったので試しに受けてはみましたけど、結局は薄い本の中でちょっとコズミックなタコさんと体感数年ほど戯れたくらいで大したことはありませんでしたわ。あの能力なら、使い方次第では多少の訓練には使えるかもしれませんけど」
「体感数年は……十二分に大したことだと思うが、本当に大丈夫だったのか?」
「所詮は夢のようなものでしたもの……喉元過ぎればなんとやら、ですわね。囚われている間は現実のように感じられても、最後のページまで切り抜けてしまえば残るのは読後感と変わらない程度の余韻ばかり……まあ、能力を使う彼自身の技量がもっと磨かれていればトラウマくらいは植えつけられたかもしれませんけれど、神秘を手に入れたことで舞い上がって自身の腕を磨くのを怠った『並みの転生者』でしかありませんでしたわね……やっぱり、妖怪相手の方が楽しめますわ」
……ああいう顔を見ると、ソニアが『戦英プロ』にやって来た理由は、本当に単純に『そうするのが一番楽しそうだったから』なんじゃないかと思う。
『誰よりも自分の好きな道を生きている』。
そんな表現がシンプルに一番合っているのかもしれない。
そして、そんなソニアが人間として、そして異性としても一番『好き』なのが、今こうしてテーブルを囲んで食事をしている相手であるライエルさんだ。
そう、ライエルさんこと……クロヌスの大領主『ライエル・フォン・クロヌス』さん。
この世界、このガロム文化圏の中でも上から数えればわりとすぐに名前が出てくるであろうレベルで偉い人たちの中の一人。
そして、テロ攻撃を受けてから防衛戦を強いられた王都の戦場で指揮を取り続け、遊撃隊として活躍したソニアと並んで英雄として名を挙げた人物。
そして……公的にはまだ認めてはいないけど、ソニアと事実上の『婚約関係』を結んでいる男の人。
あと、マイマスターの戦役の時の上官とか、僕が『研究施設』に所属してた頃に襲撃で城をぶっ壊しちゃったこととか、いろいろと繋がりはある。
けれど、修行のためとはいえ『ソニア様のメイド見習い』としてここにいる今の僕にとって一番重要なのは、やっぱり彼がソニアの想い人であり、彼の側もそれを受け入れているということ。
ただ、なんというか……
「それにしても、ライエル様は私が悪い転生者に手籠めにされていた可能性あるかもしれないというのに、妬いてもくれないのですわね。もっと面白い顔をしてくれるかと思っていましたのに」
「ふん、お前がそこらの下卑た野良転生者如きにどうこうできる玉とは思っとらんだけだ。親父の遺言にも『貴族が番や恋愛に夢を持つな』とあったしな……それに従うわけではないが、お前に妙な処女性や潔白さを押しつける気は端からないさ。それに……『大丈夫だったのか』と確認はしたろうが」
「あらあら、まあまあ。相変わらず素っ気ない態度ですこと。それでこそ私の賢将ライエル様ですわ」
「……あまり無理をするものではないぞ。戦果を焦る必要はないのだからな」
……こうしてメイドとして傍に控えながら二人の会話を見ていると、そこに恋愛とか性とかの色はあんまり感じられない。
マイマスターとレイさんの婚約関係は情熱的な『恋人』の関係性から発展して愛が深まった結果として至ったものって感じだけど、それとソニアたちの関係性は違った種類に見えるものだ。
付き合いの長い腐れ縁か、老夫婦か。
あるいは、事実に即して表現すれば同じ戦場を生き抜いた『戦友』か。
防衛現場の指揮官と、その指揮官が最も信頼を置いた遊撃隊員。
その関係性がそのまま発展して、かつ二人とも本質的に『恋愛』よりも『仕事』に重心を置いているタイプで、その『仕事』が噛み合った結果生まれたパートナーみたいな関係。
たとえば、いつ死ぬかわからない戦場でのふと何気ない軽口くらいの気持ちで『生き残れたら一緒に住むか?』みたいなノリの会話をしたらそのまま婚約が決まってしまったんじゃないかと思ってしまう距離感。
……もしかしたら、ソニアが敢えてそういう流れに持っていったのかもしれないけれど。
二人は互いに負担にならない距離感を保っていて、こうして定期的に食事を共にして互いの息災を確かめている。
そして……
「それにしても、『第三の偉業』が認定されたということは……『あと一つ』か。簡単ではなかろうが」
「ええ、『三つ目』から『四つ目』は大きな壁とされていますもの。ライエル様のおっしゃる通りに、戦果を焦らずに着実に地固めをさせていただきますわ。そして……無事に、『四つ目』に届いた時には……」
「ああ、わかっている。だが、途中で俺なんぞよりも他にもっといい男を……いや、ピークドットなら女もありなのだったか? まあ、いずれにせよだ。お前はまだ若い、それに王女という立場もあってないようなものだ。過去の行いも……まあ、少数派だろうが、気にしない者も探せばいるだろう。青春とやらに浸り、気軽な色恋を愉しんではならんということもない……俺に興味がなくなったらすぐに言えよ。俺たちはまだ『婚約』なんぞしていない、ただの知人なのだからな」
「クスクス、『俺なんぞよりも』なんて、ライエル様は自分を過小評価しすぎですわ。そこもまた魅力的ではありますけど……ライエル様も、私が道半ばで野垂れ死んだら『ただの知人』として安い花束の一つでも供えてくださいな。私は好きに生きて勝手に果てた、それだけの身勝手な女に操など立てる義理はありませんから」
「……言われずともわかっている。お前でなくとも、クロヌスを継がせるためには血を残さねばならぬからな。今はただ、お前以上の相手が思い当たらぬだけだ」
「クスクス、ライエル様だってレイモンドさんのことを気にしない人くらい、探せばすぐ見つけられると思いますのに」
……この二人の関係がどこかビジネスライクに見えるのは、互いに立場的な傷がある者同士だからという側面もあるのかもしれない。
人を殺した咎で王室から追放された王女様と、父親がクーデターの黒幕でそれを自らの戦働きでどうにか帳消しした地方領の大領主。
互いに潔白とはとても言えない部分があるからこそ、引け目を感じる必要がなくて釣り合いが取れる。
その上で、二人とも一応は社会的な罪の清算は済んでいて……王室を追放されたお姫様と地方領の大領主とで結婚したら玉の輿になるのか逆玉になるのかはわからないけれど、政略結婚としてもお互いにそれなりに悪くないポジション。
僕はまだ政治には詳しくないけれど、二人が本当に婚約なり結婚なりをしようと思えば充分に実現できるのだろうと思う。
だけど……
「そういえば、今日の午後からも『冒険』か?」
「ええ。簡単なお仕事だそうですし、ニドラさんのおかげで日帰りできるので何もなければ夜にはご連絡しますわ」
二人はまだ結婚の予定は立てていないし、正式な婚約者にもなっていない。
今、ソニアは戦英プロに所属すると同時に冒険者ギルドにも籍を置いていて、頻繁に依頼を熟して実績を積み重ねている。
そして、自力で冒険者として活躍を重ねて、貴族相当の地位を……大領主のライエルさんに釣り合う立場を手に入れようとしている。
それも、冒険者としての活動で得られる財力や政治的なコネクションじゃなく、実力勝負の『偉業』の認定によって。
裸一貫から成り上がった冒険者が大貴族に求婚を申し込んでも誰からも『身の程知らず』なんて言われない相場とされる権威を……『第四の偉業』を認定された上で堂々とライエルさんの正妻になるために冒険を重ねている。
それは決して必須条件ではないはずなのに。
その気になればガロム王室とクロヌス領の関係強化とか王都防衛戦での活躍での恩赦での貴族復帰とか、いくらでもごまかしは効くはずなのに。
ゴールインには不必要だとわかっていて、ソニアは『冒険』を続けている。
ソニアはソニア自身の人生へのこだわりを持って、夢を追って今を生きている。
僕が僕の夢のために今を生きているのと同じように。
ライエルさんとの食事会を終えた午後。
冒険者装備に着替えたソニアと、服装だけ鱗を化かして装備品を追加で装備した僕は、一応はあまり目立たないように翼や尻尾を引っ込めて外套を被って変装した上で『アビスの箱庭』を通って今日の集合場所となっている町の冒険者ギルドへ向かう。
ちなみに、『Cクラス』のメンバーが外に出る時は大人組の同伴が必要なのが基本ルールだ。
だけど、僕やソニアみたいに『Bクラス』としての活動が認められている場合は、条件付きでこの条件が外れるし、ペリカンコインじゃない社外の通貨の所持や使用も許可されている。
その条件っていうのは、『お仕事』によって違うけど、僕やソニアの場合は基本的には出発前の予定表と帰還後の報告書の提出。
それと、今日みたいな仕事に関して言えば僕たちが二人離れず行動することと、依頼中は冒険者ギルドの決めたパーティーリーダーの指示に従うことだ。
「そういえば、ソニアはなんで『冒険者』を選んだの?」
道中の移動時間。
空中移動だとできない、友達との何気ない会話ができる時間。
僕は前から少し気になっていたことを質問してみた。
「ソニア様、よ。今は私の見習いメイドさんなんだから」
「あ、ごめん。それでソニア様って、めっちゃくちゃ要領いいし、やろうと思えばもっと確実に地位を手に入れられる方法もあっただろうなって思って。商売とかでもいいし政治とかでどっかの貴族さんの養子にしてもらったりとか。なのに、どうして一番危険な『冒険者』を選んだのかなって」
ソニアは人間としてはかなり強い部類ではある。
王都の戦場では護身用として使い慣れた『銀の尻尾』を操る神器使いとして活躍したけれど、その神器の特別性を別にしても転生者でも軍人でもない人間としては破格の強さだと思う。
けれど、それでもソニアは確実に『人間』だ。
鱗を化かしていればエプロンドレスだろうと下着だろうと並の刃は簡単にはじき返せる防御力がある僕とは違う。
うっかりすれば、短剣一本刺さっただけで、位置が悪ければ即座に死ぬ、それくらい脆い、柔らかい肉体だ。
王都の戦場もほぼ無傷で生き抜いたソニアには、極限の鉄火場でも危機を避けられる飛び抜けた戦闘センスがあるのはわかっているけれど、それでも何か間違えば不意のことで対応できず死ぬ可能性は常にある。
ライエルさんと結婚するという確固たる夢があるのに、目標があるのに、それが途絶えてしまう可能性がある道を敢えて選んでいる。
その裏にある考えを知りたくて質問した。
それに対してソニアは、少しだけ考えてから……口元の笑みを絶やすことなく、こういった。
「人を殺して貴族としての地位を失って、冒険者として戦って地位を取り戻した……そういう経歴の方が、行動に一貫性があって後世の人にもわかりやすいでしょう? 『あ、この人って王族のお姫様にしておくには血の気が多すぎただけなんだな』って」
「…………え? それって、ソニアのこと……だよね? 確かに、後世の人から見たらそうなるかもしれないけど……そのために危険な冒険者に?」
「ええ、悪いかしら? 私、単なる殺人狂として歴史に名を残すのは嫌なのだけど」
『単なる殺人狂として歴史に名を残したくない』。
それは、確かに言われてみればそれもそうかと思わなくもない話ではあった。
けど、それは僕が安易に共感してしまった感覚だけで終わる話ではないらしく、ソニアは言葉を続ける。
「きっと、私の名前は望む望まない関係なく歴史に残ってしまうと思うわ……こんな私を育てたお父様の名前も。だけどね、お父様はきっと、自身の功績では歴史に名前が残らないタイプの名君だと思うの」
「歴史に名前が残らない名君……?」
「ええ、そうよ。人を育てる力、人が育つ環境を作る力、人が育つための仕事を用意する力、そして、有事に備えて武器を蓄え、育てた勇士が十全に活躍できる下準備を整えておく力……それらを併せ持ったお父様がいなければ今のガロムはないし、これからの平和もありえなかった」
「それは、確かにそうだと思うけど……それなら、ちゃんと名君として歴史に名前が残るんじゃない?」
「名君よりも暗君の方が歴史に名前を残すのは簡単なのよ? お父様みたいな名君は、平和な時代の歴史だと、何事もなく国を回せすぎてしまって名前が残らない。戦時の歴史だと勇士たちに埋もれてしまってそのパトロンの一人くらいにしか名前が残らない……なら、せめて、『こんな良くも悪くもすごいお姫様がいて、その父王は他にもたくさんの勇士を育てていた』くらいの歴史は残っていいと思うの」
「そのために……冒険者として『偉業』を?」
「ええ、そうよ。どちらにせよ、私の名前は歴史に残るだろうから。せめて、弱いものいじめの虐殺だけじゃなくて戦場の敵兵だろうが転生者だろうが殺したっていう『血の気が多すぎてヤバいお姫様』の方がいい。そして、その血の気の多さが世のため人のためにも役立ったって実績があった方がいい。そうなれば、その良くも悪くも異常な娘を処刑せず王室の外に解き放ったお父様の株も上がるわ」
「でも、だからって転生者と戦ったりっていうのは危険じゃない? もしかしたら……」
夢が叶わなくなるかもしれないのに。
自分で敢えて能力を受けてみたとはいえ悪い転生者に本に閉じ込められてしまったのと同じように、『無敵』でも『不死身』でも『能力無効の能力者』でもないソニアは何かイレギュラーがあれば初見殺しみたいな能力か何かを受けてしまったりして、下手をすれば前に倒した転生者の能力よりももっとずっと酷い目に遭うかもしれないのに。
「冒険者として『名前を残す』だけなら本当に危険な冒険なんかに出る必要はなくて、影武者なりで工作だってできるのに。どこかで斃れれば夢が叶わないかもしれない、そんなリスクを自分から抱えることが信じられない……と、そんなようなことを言いたいのかしら?」
「信じられないとは言わないけど……怖くないの?」
僕は……僕だったら、やっぱり怖いと思う。
僕の夢は、努力を重ねてスキルを身に着けていけばきっといつか叶えられると思えるものだし、こう言ったら臆病者だと言われても仕方ないけど、僕は自分がそう簡単に死なないくらい頑丈なことがわかってるし、どんなイレギュラーが起きてもいつでも飛んで逃げられる自信があるからソニアの『冒険』にも同行できる。
けど、ソニアの夢は違う。
叶えようとすればするほど、叶わなくなるリスクと向き合わなきゃいけなくなる。
僕なら、そのジレンマに失速していってしまいそうだけど、ソニアは止まらない。
僕の心境を察したのか、ソニアはさも当然のことを諭すように、こう言った。
「ニドラさんの夢を否定するつもりはないわ。けれどね、けれどね? 必ず成功する目標なんて、結局はただの『作業』になってしまうと思うの。ニドラさんだって、心の底では自分も夢が叶えられないかもしれないと思っているからこそ頑張って、頑張れているのではなくて?」
「それは……確かに完全に、否定はできないかもしれないけど」
もしも、万が一、マイマスターに土下座までして頼み込んだ夢だけど、どこかでその夢が全く別のものに変わってしまったら。
もしも、万が一、僕の神器化の儀式の前に植物状態の竜司が死んで僕も消えなければならなくなってしまったら。
そう思って不安になることはある。
だからこそ、夢に飽きないように情熱や時間を注いで自分の中の理想を見つめ直し続けている。
だからこそ、タイムリミットの前に自分が納得できる領域に手が届くように、自分の減速を感じる度に密かな焦りを感じて、加速し直そうと気合を入れている。
夢が本当に叶うかが不確定だからこそ、夢を叶えようと必死になって、それが僕の『青春』になっている。
「同じことよ。私の場合は、その不確定性が『冒険』だというだけ。危険を冒してこその『冒険』、人として死ぬかもしれないからこそ人生、失敗して死にたくなるほどの無様を晒すかもしれないからこその挑戦。本気で戦って勝ち取ってこその宝物ですわ」
『夢は叶わないかもしれないから楽しい』。
ソニアはそう言って、どこか妖しく、クスクスと笑う。
「どこかで誰かの、人の知恵と勇気の策に打ち倒されて無様に果てるのなら……ふふっ、まあその時はその時でしょうがない話ですわ。負ける時には負ける、そのくらいでなくてはスリルがありませんもの」
「……もしかして、ソニア様って意外とゲーム感覚で生きてたりする?」
「ふふっ、否定はしませんわ。私にとっては今生の人生そのものが『ボーナスステージ』みたいなものですもの。元からなかったはずのものなら、苦も楽も、失敗もそのスリル、成功も破滅も、全部拾って進んだほうがプラスですわ。むしろ、ゴールしたら二度と遊べないステージでリスクを避けて限定ギミックを見ずに進んでしまったら、そちらの方がモヤモヤするでしょう?」
「うーん、ゲームでなら確かにわからなくはないけど、本当に人生丸ごとその感覚で生きてるなら無敵の人すぎて参考にならないなぁ……」
ちょっとその生き方に共感しきれない僕を差し置いて。
ソニアは自分の持論への理解が得られたのかどうかにも興味がないかのように、心から楽しげに先を行くのだった。




