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Shopping Street1

「美月さん、今日の夜、時間取れますか?」


商店街へ向け走る車の中、お姉ちゃんが美月さんに聞いた。


「うん、多分大丈夫だと思うけど...どうして?」


「よろしければ、今夜家で夕食をご一緒にどうかなと思いまして...」


事件の事について気兼ね無く話せるっていうのもあるけど、昨日のお礼というのもあるんだろうな。


「えっ!?お邪魔しちゃって良いの?...じゃ、今日はご馳走になろっかな♪」


お姉ちゃんの気持ちを酌んだのだろう。

美月さんが自然な感じで流れにのってくる。

やっぱ良い人だな、この人。



商店街付近にあるコインパーキングに駐車し、私達は商店街に辿り着いた。


放課後になると、いつもここでお姉ちゃんと夕飯の買い物などをしている。


高級住宅街がある高台と、低層住宅街を分ける幹線道路から、低層住宅街よりに道を一本入ったラインが月見商店街になっている。


だから、行く途中に坂はあるものの、私達の家から近い この商店街を良く利用しているという訳だ。


いつもの流れで私達は八百屋に向かう。


「こんにちは、おじさん!」


私は元気良く挨拶した。


「おっ!華凛ちゃんに華澄ちゃん!昨日来なかったから、ちょっと心配しちゃったぜ!

......おっと、そっちの別嬪さんは...?」


八百屋のおじさんの顔が少し赤くなる。まあ、実際綺麗だしな美月さん。


「初めまして、私、この子達の親戚の竜華美月と申します」


普段の美月さんからは想像も出来ない程、綺麗なお姉さんになり切っている......


まあ、別嬪って言われて嬉しかったっていうのもあるかもしれないけど、私達の為に演じてくれてるのだろう。


身に危険が及ぶ可能性があるという事で、お姉ちゃんの能力の事は勿論、私達が探偵として警察に協力しているという事も基本的に秘密になっている。


因みに私達姉妹は、高級住宅街にある私立清月女学院に通っているのだが、そこで私達が探偵である事を知っているのは、理事長と一部の教師だけだ。


お陰で事件があった時以外は、のんびりと高校生活を楽しめている。


「へぇ~、華凛ちゃんと華澄ちゃんに、こんな綺麗な親戚の人がいたなんてね~。

...でも二人も器量良しだし、全然不思議じゃないな、うん!」


おじさんは何やら1人で納得している。


「そうだ おじさん、一昨日の夜の事なんですけど......」


お姉ちゃんが野菜を吟味してる間に、おじさんに聞いておく事にした。


「おう、もしかして近所で起こった事件の事かい?」


今朝のニュースでもやってはいたけど、おじさんの事だから、昨日から知っていたに違いない。


「はい、そうです!被害者の永瀬さんの事はご存知でしたか?」


「ん~、そこまでご存知って程でもねえんだが、昔は良くお母さんと一緒に商店街に買い物に来てたな。

ここ3年位はお母さんしか見かけなくなっちまったけど......華凛ちゃん、知り合いなのかい?」


「いえ、知り合いという訳じゃ無いんですけど、私の姉と同学年、しかも比較的近くに住んでいる人が殺害されたというのが、正直私にはショックでしたし、なんというか少し怖くて......

ですから事件があった日に、おじさんから見て違和感があった人とかが商店街にいたのなら、少しでもそういう人を警戒出来るよう、教えてもらえたらなって思ったんです」


それを聞いておじさんが今にも泣きそうな、辛そうな表情をする。


「うん...うん......そうだよな...不安...だよな......よーっし、俺に任しときな!

......つっても、一昨日の夜は商店街の奴らと飲み歩いてたんだが、外を歩いてる時に、特に変な奴はいなかったかなあ。

酔ってたから分からなかっただけかもしれねえけど...なんだったら、いっちょ俺がひとっ走り聞いて来てやろうか?」


「えっ!?良いんですか?でも今奥さんもいらっしゃらないみたいですし、お店を空けるとまずいんじゃ...」


「そんなの良いって良いって!」


いや、良くはないだろう。

嬉しいし有り難いけど......


「でしたら、私に店番をさせていただけませんか?」


なんとお姉ちゃんが名乗りを上げた。


「へっ、い、良いのかい?華澄ちゃんなら信頼出来るし、俺としてはありがてえが......」


「ふふっ、はい大丈夫です!

実は一度やってみたいなって思ってて...」


「そ...そうかい...?じゃ、じゃあ、よろしく頼んだぜ華澄ちゃん!」


怒涛の展開に少し驚いたが、これはチャンスかもしれない。


私、お姉ちゃん、美月さんは、それぞれ見つめ合いつつ頷いた。


「よっし!じゃあ客引きは私に、どーんと任せな!」


腕まくりしながら美月さんが謎に燃えている。


雨にしては割と人通りが多いとはいえ、晴れの日に比べるとやはり客足は遠い。


美月さんが呼び込み役をやってくれるなら、私はお客さんから情報収集する事に専念しよう。


......という感じで自然と役割分担が決まり、おじさんが帰って来るまでの間の、期間限定ミッションが始まった。


「ちょっとちょっとそこのお兄さん!可愛い子いるよ~!安いよ~!しかも今なら飛びきりのスマイルがタダだぜ!」


美月さんがこんな感じで道行く人をどんどん捕まえて来る......って、な、なんかいかがわしい店みたいじゃないですかね美月さん!?


しかし、その効果は絶大だった!


美月さんやお姉ちゃん目当てで、どんどんお客さんが雪崩れ込んでくる。


「いらっしゃいませ~!今日のキャベツは凄くみずみずしくてお勧めですよ~!」


お姉ちゃんがニコニコしながら元気良く宣伝する。


今日若干売り上げが悪かったのだろう。

キャベツの在庫が結構あった...が


「キャ、キャベツ一玉下さい!」


「じゃ、じゃあ俺は三玉!」


「えーい、ワシは五玉じゃ!」


いやいやいや!五玉って、そんなに買ってどうすんの!?


「お買い上げ、ありがとうございます!」


お姉ちゃんがニッコリ微笑みながらお礼を言うと、お客さんの顔が真っ赤になっていた。


お姉ちゃん、綺麗だもんな......


お客さんの気持ちが、私には良く分かった。

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