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Second Incident

お姉ちゃんが作ってくれた朝ごはんを食べたあと、美月さんが迎えに来てくれた。


「おっはよ~!昨日は良く眠れたかい?」


朝から高いテンションで、美月さんが聞いてくる。


「はい、それはもうバッチリと!」

「はい、お陰様で!」


アクションゲームの難所が中々クリア出来ないで、イライラがピークに達した為、寝るのが少し遅くなったが、今は結構スッキリしてる。


お姉ちゃんは、いつも通り読書したあと、すぐに寝たのだろう。絶好調な感じだった。


「よーっし!じゃ、行きますか!」


美月さんはあの後も仕事だったのだろう。

若干疲れが見えるが、それでもいつもの美月さんだった。

こういう所、本当に凄いなって思う。


私達は車に乗り込み、目的地へと向かった。


今日も相変わらずの強めの雨で、空はどんよりとしている。


まあ、でもこういう天気はこういう天気で、なんか落ち着きがあって、私は結構好きだったりする。


「美月さん、昨日の永瀬さんの事件について、他に何か分かった事とかありましたか?」


「ああ!うん!あの後、永瀬ちゃんに対して動機がある人が捜査に浮上して来てね。

それが永瀬ちゃんの幼馴染みの男の子でさ。

昔は気弱な子だったみたいで、永瀬ちゃんを中心としたグループによくパシリみたいな事をさせられてたらしいんだ。

でも結局、犯行日当日は友達と色々遊びに行ってたみたいで、何軒かの店の監視カメラにも ちゃんと映ってた。

まあ、公衆トイレに残ってた30代男性のDNAが犯人のものだったら、そもそも年齢が合わない訳だけど」


へー、死亡推定時刻が20時10分から21時50分までの間だった事を考えると、割りと遅くまで友達と遊んでたって事か。

時間と共に人って変わるものだな...


「となると、やはり今の所、低層住宅街の住人の方が、犯人である可能性は低いかもしれませんね」


「うん、そうなんだよね~」


そんな話をしてる内に、2番目の事件現場に到着した。


被害者である相澤理沙さんは神月情報システム株式会社に勤める、25歳の女性社員。

身長は156cmで、髪型はセミロング。

殺害された時は、ネイビートレンチコート、白ブラウスに紺色のテーパードパンツといったポリエステル主体の服装で、ベージュ色のパンプスを履いていたみたいだ。


第一発見者は、同じタワーマンションに住む40代男性で、朝の通勤時、相澤さんの死体を発見。

相澤さんの死亡推定時刻である21時30分から45分までの間は自宅から出ておらず、実際マンションの監視カメラにも映っていない為、アリバイは確定している。


相澤理沙さんの殺害現場は、幹線道路から約80m程タワーマンションの敷地内に入った所だ。


高い木に囲まれていて、幹線道路から見ると暗くてよく見えないし、タワーマンション脇の道路からも、完全に死角になっている。


あと、至る所に実質コンクリートの壁がある為、それなりに雨の勢いが強いと音が反響し、ちょっと位の音だったら、まず気付かないだろう。


「お姉ちゃん、いきなり刺された時、人って声は出ないものなの?」


確認の為、お姉ちゃんに質問する。


「うん。恐怖と激痛で喉の筋肉が過緊張状態になるから、声が詰まる感じになるね。

しかもこの事件の場合、肝臓に凶器が深く突き刺さっているから、神経原性ショックを起こして、血圧も一気に低下してたって考えると、声を出すエネルギーもなかったんじゃないかな。

あと、下から上に突き上げる様に刺してるから、横隔膜も傷付いてると思う。

だから、相澤さんの声を誰も聞いてないとしても、全然不自然じゃないよ」


お姉ちゃんが詳しく教えてくれた。


「なるほど...ありがとう、お姉ちゃん。

......あ、そうだ美月さん、この辺りの監視カメラの映像って、全部確認したんですか?」


「おう、一応ね。相澤ちゃんの方は所々映ってるんだけど、相澤ちゃんを付け回してる感じの不審者は一切映ってなかったわ。

...あっそうそう!これ、この辺りの簡易マップと監視カメラの範囲ね。それとこの紺色の線は、監視カメラに映っているポイントから導いた、相澤ちゃんの足取り」


美月さんから、マップを貰った。


挿絵(By みてみん)


(橙色の曲線は監視カメラの範囲)


簡易マップだから、道路が実際の道幅より太く描かれているが、一マスが大体40mと考えて間違いないだろう。


「このマップだと、相澤さんは繁華街から来た事になってますけど、目撃証言とかはあるんですか?」


「うん、繁華街の居酒屋に居たのが目撃されてるよ。

仕事帰りには必ず寄って、最近では21時頃まで店に滞在するっていうのが日課だったみたい。

因みに、相澤ちゃんをつけ回す不審者の目撃証言は今の所ない」


「そうですか...」


ああ、それで死亡推定時刻の幅が狭かったのか。


その居酒屋が、繁華街のどの辺にあるかは分からないけど、事件現場までの道のりを大体1.5km位とし、少し酔っ払った女性の歩行速度を時速2〜3km仮定すると、死亡推定時刻と合致する。


それにしても繁華街、ね......


「この繁華街って、もしかして永瀬さんが通ってた繁華街だったりします?」


「それが実はまだ分かってないんだよね...」


お姉ちゃんの方を見る。


お姉ちゃんは、私の視線の意味を理解して、首を横に振る。

やっぱり、この現場では もう何も見つからなかったか......


事件現場の近くにある監視カメラの範囲ギリギリまで行ってみる。


ちょうどカメラの死角になる部分から、マップで見てマンション右横を通る道へ抜けられるようになっていた。

(マップ上のピンクの丸)


「......ここで確認すべき事は確認しましたし、今から繁華街へ聞き込みに行ってみませんか?」


「おお、君達が良いならぜひぜひ!」


という訳で、私達は繁華街を回る事になった。



神月台で繁華街と呼ばれる所は、観光地区を挟んで2ヶ所あり、私達が今来てるのは南側の繁華街だ。

昨日美月さんに連れて来てもらったファミレスもこっちにある。


雨降りにも関わらず、休日だからか結構人が多い。


喧嘩とか小競り合いみたいなのは起こるかもしれないけど、人通りが多過ぎて環境をコントロール出来ない為、この場所自体が犯行現場に選ばれる可能性はほぼ無いだろう。


取りあえず色々な店に行って、店員さんに生前の永瀬さんの顔写真を見せつつ、私達は手分けして聞き込みを行った。



──シフトの関係上、知らない人も多かったが、やはり永瀬さんがこの辺りの店をよく利用していた事や、事件が起こった日の夜にも遊びに来ていた事などが判明した。


「いや~、助かったよ~!ありがとね君達!」


美月さんがお礼を言う。


「いえ、お役に立てたのでしたら何よりです!

......ところで、美月さんはこれからどうします?

私達は聞き込みも兼ねて、月見商店街の方へ行こうと思ってるんですけど...」


月見商店街は3番目の事件現場の近くにある商店街だ。


「おお、良いね!私も気になってたし!早速行ってみようぜ!」


やっぱ気になるよね。


私達は月見商店街がある、低層住宅街へと向かった。

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