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Daily Life1

「ふぁ~......」


いつもの通学路で、私は大きく欠伸をする。


いやあ、まさかあんなに中毒性があるゲームだとは思ってもみなかった...


事前情報無しにゲームを楽しむのは、やはり危険かもしれない......


因みに私が通う私立清月女学院は、私の家からかなり近い。

...つまり、ギリギリまで寝ていられるのだ!


この学校に通えて良かったなと、こういう時つくづく思う。


「ふふっ、またまた大きな欠伸だね華凛ちゃん!」


お姉ちゃんが楽しそうに言う。


朝ご飯の時から欠伸を連発していたのだ。


それより、今朝もお姉ちゃんの料理、美味しかったな......


今日の朝食は玉子サンドとベーコンだった。

カリカリのベーコンと、玉子の弾力が耳と口を徹底的に楽しませてくれた。


...あっ、思い出したら、涎が出そうになっちゃった......


「もう、お姉ちゃん、からかわないでよ~」


私は欠伸で涙目になりながら言った。


学校に辿り着き、校舎入り口付近にいつも立ってる先生に挨拶しつつ、下駄箱でお姉ちゃんと別れ、私は流れ作業の様に自分の教室へ向かう。


「月代さん、おはよー」


「おはよー」


クラスメイトに挨拶を返しながら、自分の席に着くと


「ご機嫌よう...月代さん」


と、隣の席のお嬢様が声をかけてきた。


「ご、ご機嫌よう東雲さん...」


彼女の名前は東雲しののめ 咲耶さくや

清月女学院はお嬢様学校とはいえ、基本的に挨拶は普通に「おはよう」とか「こんにちは」なのだが、東雲さんは「ご機嫌よう」と挨拶してくる。

未だにちょっと慣れない。


身長は私と同じ位で、セミロングの黒髪が綺麗な、清楚なお嬢様という感じ      だ。


......でもなんだろう、最近元気無いなって思ってたけど、なんか今日は特に元気無いな。

最初は、この時期特有の長雨のせいかなって思ってたんだけど......


東雲さんを観察すると、制服のリボンタイや髪を頻りに弄ってる。何かストレスを感じてる......?


因みに私達の学校の制服は、白ブラウスに黒スカートという感じになっていて、リボンタイの色は学年によって違い、1年は赤で、2年は青、3年は黒になっている。


「東雲さん、もしかして何か不安な事があるんじゃないですか?」


東雲さんの瞳孔が拡大する。


「あ、あの...その...」


東雲さんは少ししどろもどろになっている。


「最近起こっている事件と何か関係がある...或いは関係があるんじゃないかと思ってる...?」


私がそう言うと、東雲さんは一瞬ビクっとなった。


「...私に出来る事なら協力しますから、話してみてくれませんか?」


「じ、実は、二週間前位から......道を歩いてると視線を感じる様になったのです...」


「視線...ですか?」


「え、ええ。特に強く感じたのが6日前で...あの、私、休日は図書館に行くのが習慣になっているのですけれど、その帰りに、視線と一緒に何か強い敵意の様なものを感じたのです。

ですが、周りを見渡しても こちらをご覧になっている方は誰もいらっしゃらなくて......

私、怖くなってしまって、早歩きでバス停に向かったのですが......その視線も一緒について来たのです...けれどその時、偶然お父様が車で迎えに来て下さって...」


かなりの恐怖を感じたのだろう。東雲さんの顔がかなりひきつっている。


6日前というと最初の事件が起こった日、つまり大学生の白川さんが殺害された日である。


「それで、それ以降 視線を感じなくなったのですが、三日前からまた視線を強く感じるようになってしまって...」


神経質になっている為、半分は気のせいという事もあるだろうが、多分実際に誰かに見られていたのだろう。


「今日、登校して来る時はどうでした?」


「視線を感じる様な、感じない様な...もう、私何が何だか...」


「家に誰かいらっしゃるのでしたら、しっかり事情を説明して、出来る限り車で送り迎えしてもらった方が良いと思います」


私は東雲さんの目を真っ直ぐ見て言った。


「気のせいじゃ無かった時の事を考えた方が絶対に良いです。東雲さんに何かあってからじゃ遅いですから......

ところで、視線を強く感じたのは6日前、視線自体を感じ初めたのは2週間前位という事でしたけど、ここ一ヶ月で誰か知らない人に声をかけられたみたいな事はありませんでしたか?」


私の目を見つめながら、東雲さんが少しずつ落ち着きを取り戻していく。


「...そういえば、3週間位前に男性の方に声を掛けられました。道に迷っていらっしゃるとかで...」


「その男の人って、どんな感じの人か覚えてます?」


「えーと...確か、黒のステンカラーコートみたいな、この時期には珍しくない格好をされていた様な記憶があります...顔は...良く覚えておりませんが...30代位の方だったように思いますわ」


特徴が掴めなく、特に印象に残らなかったのだろう。


...あれ、なんか私もそんな人に最近会った気が......

あれはいつだったけ?


「そうですか...とにかく、一人で出歩かないように気を付けて下さいね。

東雲さんに何かあったら、私も周りの人達も皆悲しくなっちゃいますから。

あと私、警察関係の人が親戚にいるので、今日ちょっと相談してみます」


昨日、親戚のお姉さんという体で美月さんも話してたし、まるっきり嘘って訳でもないだろう。


私の言葉に東雲さんが涙ぐむ。


「ありがとう...ありがとうございます...月代さん......!」


凄く追い詰められていたんだな。

少しでも心が軽くなったなら良かったと思う。

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