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何がしてほしいの?
「嬉しいな、九ちゃんね、ずっとママが欲しかったの」
「どうして?」
「ママいないから。酒呑童子独身なの」
「そうなんだ。あっ、ねえ、具体的にね、ママになって何がしてほしいの?」
彼女は細い糸を手繰り寄せるように何とか妥協点を見つけ上手いこと着地できないか試みた。
「うんとね、一緒にお風呂入って欲しい」
「うん、いいよ」
何だ、そんなことか。それなら簡単だ。ママにならなくたってできる。
「あと、おねんねする時、横に寝て、お腹ぽんぽんして欲しい」
「いいよ」
「あとね、ごはん、あーんして食べさせて欲しい」
「うん、いいよ」
「歯磨きね、するから、仕上げはお母さんして欲しい」
「うん、いいよ、他には?」
「手繋いで、お散歩したい」
「うん、それから?」
「お膝の上に乗せて、ご本読んで欲しい」
「それから?」
「えっとね」
「まだ、あるのか?」
それまで二人のやり取りを無表情ながら、はっきりと苦虫を噛み潰したような顔で聞いていた高遠忍が苛立った声で言った。
九ちゃんは何も聞こえないかの如く、にこにこして言った。
「あとね、酒呑童子の赤ちゃん生んで欲しい。男の子と女の子五人ずつ。ノルマ十人ね」
九ちゃんは子供がクリスマスプレゼントを聞かれた時の要領で言った。
屈託のない笑顔で。
それが買ってもらえないなど、有り得ないことのように。




