えらい?
「そうだけど、約束したのは九ちゃんだから、約束は絶対だよ」
「そりゃそうじゃろうなあ」
「そうなんだ、ねえ、切り落としってどういうこと?」
「あのね、僕は酒呑童子の、傷口からできたの」
「傷口?」
「うん、そうだよ、でも九ちゃん何でもできるよ、字も書けるもん。ママ読んでくれたでしょう?」
「お腹の?」
「うん」
「そういえば、何でお腹に書いたの?」
「そうだ、他人の腹なんかに落書きしていいと思っているのか」
「落書きじゃないもん、お手紙だもん、それに他人じゃないもん。ママだもん。」
「母親の腹に落書きしてもいいのか?」
「お手紙なのー」
「そっかー、お手紙だったんだね」
「うん」
「高月渚」
九ちゃんのペースにはまりそうになっている彼女を冷めた声で高遠忍が呼ぶ。
ひんやりとして気持ちいい声だと高月渚は思った。
「でも、何でお腹なの?」
「あのね、ママあんまりお山に来てくれないから、九ちゃんお迎えに行ったの。そしたらね、ママ可愛いお顔で寝てたから、起こしたら可哀想だと思って」
「そうなんだ、ありがとう」
「高月渚」
「ああ、うん、ごめんなさい」
「あのね、九ちゃんね、背中に書いたら、ママ見えないと思ってお腹に書いたの、えらい?」
「うん、えらいね」
「高月渚」
「あー、ごめんってば」
「約束だよ、ママになってね」
「おい、約束は無効だ。高月渚は理解をして頷いたわけじゃない」
「でも、身体は頷いたのよの?」
「うん、首こっくりしたもん」
「それじゃあ、約束は成立じゃ、諦めい」
「諦めいって・・・・・・・・・・・・・・」




