表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
馴れ初めを聞かれても困る  作者: 青木りよこ
PR
55/404

抗議

「おい、離れろ、高月渚が痛いだろう」


高遠忍は子供のサスペンダーを引っ張ったが、今度はびくともしない。なかなかの怪力らしい。


「ママー」

「高月渚はママじゃない」

「ママだもん、約束したもん」

「約束?」

「したもん、約束。だからママだもん」


これには高月渚も目を見張った。

約束?彼女はまるで身に覚えがなかった。

そもそも初対面である。

と言うより、まだ碌に顔も見ていない。


「ね、ちょっと待って。お顔よく見せて、ね、一旦離れて」彼女は優しく子供の背をぽんぽんと叩いた。

「やー、離れない。ママー」

「お願い、お顔見せて欲しいな」

「ママー」


子供は高月渚を離すまいと更に力を込めた。高月渚でもわかった。

ただの子供の力ではないと。


「高遠君」


彼女は自分を見下ろす高遠忍の名を呼んだ。高遠忍は子供を高月渚から引きはがすのを諦めたのか手を離し「芙蓉、コイツが落書きの犯人か?」と聞いた。

これに反応したのは子供だった。


「落書きじゃないもん、お手紙だもん」と言い、顔を上げ、高月渚の上で腹ばいになりながら、抗議の声を上げた。

「落書きだろ、支離滅裂だ」

「お手紙なの、ママに書いたんだよ」

「ママっていうのは、高月渚のことか?」

「他に誰がいるの、ママだよ、約束したもん」

「約束だと?いつ?」

「この間」


子供は雑誌を眺めるようにリラックスして高月渚の体に乗り、顔だけ高遠忍に向け、足をバタバタさせた。

今日は寝転んでばかりだな。

子供の背中に手をやり、高月渚はぼんやりとそんなことを思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ