表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
馴れ初めを聞かれても困る  作者: 青木りよこ
PR
52/404

芙蓉ちゃん

「鼠がおるな」

「見えるんだ?」

「蛇もおるの」

「見えるんだね」

「あれが見えるのに、我が見えないはずなかろ」

「そっかー」


白鼠は下着の底に潜り込み、体をできるだけ丸めた。


「怖がっとるの」

「そうなの?」

「そうよな、鼠?」

「チュウちゃんていうの、蛇さんはね、シロちゃん」

「そうかえ」

「で、私は、高月渚っていうの、高遠君とはね、同じクラスなの」

「知っておる」

「そっかー」

「腹に落書きされておるの」


高月渚の骨盤の辺りに下がった芙蓉が彼女の白い腹部を指でなぞりながら言った。


「うん、そうなの、見える?」

「見える、ようもまあ、こんな細かい字で、びっしりと、阿呆よな」

「ねえ、ふようちゃんってどういう字?」

「花よの」

「お花の芙蓉ちゃんね、芙蓉ちゃんって呼んでいい?」

「勝手にせえ」


手首の拘束はほどけたが、馬乗りはそのままだったので彼女はベッドに寝ころんだまま、シャツのボタンを留めた。

すると高遠忍の「入るぞ」という声がして、芙蓉が彼女から降りたので、高月渚は起き上がり、高遠忍からグラスを受け取り麦茶を一気に飲んだ。


「ありがとう、すっごく喉渇いてたの」

「そうか、悪かったな」

「ううん、全然」


芙蓉は高遠忍の背中に乗り、小さな顔を半分だけ高月渚に見せ「忍、お前が読め。我はあんな細かい字よう読まん」と言った。


「お婆ちゃんか」

「はようせい」

「高月渚、いいか?」

「うん。じゃあ、お願いします」


彼女はシャツをたくし上げた。高遠忍はしゃがみこんだが、見にくかったので「高月渚、すまないが横になってももらえないか?」と言った。

彼女は「うん」と言って横になり、シャツをまくり上げ、胸のところで左手に右手を重ね合わせ、高遠忍の顔を見るのが、何だか恥ずかしかったので、顔を左に向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ