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馴れ初めを聞かれても困る  作者: 青木りよこ
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疑問

結局高月渚は相変わらず、高遠忍との通信手段がなかった。

彼女は毎日家に帰ると、おもちゃの宝箱に入れた高遠忍から来た白い小さな二枚の紙切れを見つめていた。

そして机に向かい、何か書こうとするのだが、何も書くことができず、携帯に手を伸ばしては、ため息をついた。


彼女はとりあえず、スマホとガラケーでメールができるのかを調べた。

彼女はガラケーを持ったことがなかったし、彼女の周りに現在ガラケーを使っている人もいなかったので、ネットで。

それによるとスマホとガラケーでもメールはできるし、ラインもできるということだった。

アメトークのガラケー芸人も見た。

ガラケーを知ることが高遠忍を知ることだった。


だが彼女は気づいた。

高遠忍とメールのやり取りをしたいわけじゃないと。

嫌、したくないわけではないが、どちらかと言えば、唯二人きりで話がしたい。

ちゃんと向かい合って、時間の許す限り、話をしてみたい。

今までのこと、全部聞いてほしいし、自分も高遠忍のことを聞きたい。

それこそ何でもいい。

何でもない話をしてみたい。


好きな食べ物、身長、血液型、お誕生日、好きな色とか。

お家に帰ったら何をしているの?漫画読んだりする?

音楽とか聞く?お笑いとか好き?いつから彦根にいるの?学校お休みの日は何しているの?

趣味とかある?どういうことで笑うの?

どういうことに怒りを覚える?どんな時悲しいの?どんな時嬉しいの?


彼女は起きて意識のある間、もはや高遠忍を考えない時間はないほど高遠忍のことを考えていたが、そのことに彼女は疑問すら感じなかった。

彼女が高遠忍のことを考えるのは彼女にとってはごくごく自然なことだった。

今までも考えていたが、一度話せたことであやふやだった高遠忍が彼女にとって現実になったことで更に加速した。


学校で話しかけるのは難しかったので、いっそ部活が休みの土曜日に佐和山に一人で登ってみようかと思ったが、この間のように高遠忍に迷惑をかけるかもしれないと思い、断念した。

話す前より悪化している。こじらせている。

でもどうしようもなかった。

誰にも相談できなかったし、誰にも知られたくなかった。

姉たちが言っている同担拒否とはこういうことかと思った。

唯、高遠忍と話がしたい。

それだけのことがこんなにも難しいなんて。

彼女は毎日ため息をつき、眠りについた。


いよいよ暑くなり、夏休みはすぐそこに迫っていた。




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