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馴れ初めを聞かれても困る  作者: 青木りよこ
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ずっと待っていた

本当はずっと不安だった。

ずっと誰かに見えるって言って欲しかった。

最初は自分だけに見えて、何だか自分が特別な人間のようで嬉しかったりもした。

でも大きくなるにつれ、自分が平凡で何もできない人間であると自覚するたび、本当は見えてないんじゃないか、弱くて個性のない自分を特別だと思い込みたくて、つまらない、空っぽな人間だと認めたくなくて、誰にも見えない、私にしか見えないと、私は本当は、誰とも違う人間だって思い込みたいだけなんじゃないかと。

だから見えるなんて言い張っているのではないかと思ったりもした。


本当に存在してると確信したくて、何度も話しかけた。

だが返事はなかった。シロちゃんもチュウちゃんも自分を否定もせず、ただ肯定し続けるるように寄り添ってくれたけれど、時々チュウちゃんが乳首を摘まむくらいで、シロちゃんなどは本当に何もしなかった。

いっそ噛みついて欲しいと思った。

痛みを感じたかった。声を聴きたかった。

自分の妄想なんかじゃないって確かめたかった。


流れる涙で身体が満たされていくのを感じていた。

もう空っぽなんかじゃないと思えた。

高遠忍が見えると言ってくれたからだ。


ずっと待っていた。

ああ、これか。

昔祖母が京都のお土産におみくじをくれた。大吉だった。

そこにはこう書いてあった。待ち人来ます、と。



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