凭れながら
高遠忍は立ち上がろうとしたが、上手くいかず前のめりになり高月渚に倒れこんだ。
小柄な高月渚では長身の高遠忍を支えられず、結局二人して座り込んだ。
「高遠君、大丈夫」
この高月渚の言い方が高遠忍には疑問形なのか、断定系なのかがわからない。
だが凭れていることについては謝らなければならない。
「悪い。大丈夫だ、・・・・・・・・・・・・・大丈夫だから。さっさと山を下りろ」
「下りれないよ、高遠君は、何で下りないの?」
やることがあるからだ。
そう素直に言えば高月渚は自分の言うことを聞き入れ、山を下りてくれるだろうか。
「・・・・・・・・・・・・・・・あんた、何で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんなところにいる?」
意外だった。言葉は自分の意志とは裏腹に素直に出た。
「あー、あのね、いつも、高遠君といる兎さんがね、踏切で一人で待ってて、高遠君はって聞いたら、ここだって」
兎。白兎のとぼけた顔が彼の脳裏を横切った。
先に帰れと言ったのに。何をやっている。それよりも。
「・・・・・・・・・・・・・・・・あんた、あれが、・・・・・・・・・・・・・・見えるのか?」
この質問に、高月渚は高遠忍にシロたちのことを打ち明けるのは今しかないと思った。
今自分たちが置かれている状況化がどんなものであるか、どれほど緊迫した事態なのか彼女にはわからなかった。
ただ初めて回ってきたチャンスだった。
この機会を逃してはならない。
彼女はスカートを握りしめた。
だが彼女は彼に返事が出来なかった。
彼女に言わせまいとするかのように、ゴウと風が吹き、高遠忍の体は宙に舞い大木に当たり木の根元に沈んでいった。




