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初めて見た
高遠忍は上半身を起こし、今一番近くにある高月渚の顔を見た。
初めて見たな。
高遠忍は自分に向けてこんな顔を見せる人間を初めて見た。
彼はもう一度彼女の名前を呼んだ。
彼女の名前を咀嚼し体に刻み込むように呼んでいた。
「高月渚」
高月渚は無意識に高遠忍が着ている白いフード付きの羽織を両手で掴み、涙を流し、確かめるように頷きながら高遠忍の名を呼んだ。高遠君、高遠君と。
「早く、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・逃げろ。さっさと・・・・・・・・・・・山を下りるんだ」
高遠忍はこう言えば彼女が一人で山を下りていくだろうと思っていた。
だが彼女は拒み、言った。
「何言ってるの、もう、すぐ救急車呼ぶから」
これに高遠忍は驚いた。
救急車など呼ばれるわけにいかなかった。
「救急車なんか呼ばなくていい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、こんな怪我…………すぐに治る」
「何言ってるの、頭から、血出てるよ、口からも、、あと、すっごく苦しそうだよ」「・・・・・・・・・・・・・・大丈夫だ・・・・・・・・・・・・・こういうものだ」
高遠忍は自分でも何を言っているのかわからなかった。
彼女がどう言ったら引き下がってくれるのかわからないのだ。




