4.図書館と特異体質
前回のあらすじ
・コアスキル【改文曲筆】、スキル【祝福の卵】を取得した
・なんやかんやでジョブ【学者】になった
神殿で職業を選んだ後、図書館へと向かった。
まぁ、みんな【学者】を選んだのかわからないでしょうね。あなたにはわからんでしょう!
……まぁ、アルファさんが言っていた助言通りに動いていこうと考えているため、なんかそれっぽい職業についていたら、ジョブレベルも上がるのではないのかという安直な考え方である。
実際、鍛冶師や薬師、商人などはその行動結果によりジョブレベルとキャラクターレベルも上がることができることもある。が、この【学者】のレベルアップ条件が少し複雑であることをゲシェムは知ることもない。
はい、着きましたよ。図書館に。え?冒険者登録はしなくていいのかだって?別に今はする必要が感じないし、とりあえず情報収集を先にして今後のことを考えようと思っているよ。
「すみません、図書館を利用したいのですが」
「はい、異邦人の方ですね。冒険者ライセンスのご提示をお願いします」
「……えっと、ないといけませんかね?」
「…………普通は先に所持しているかと思われますが、もしかしてお持ちではないのですか?」
「ええ、すみません」
そのあと、司書さんにお話を聞いたところ冒険者ライセンスはあらゆる許可証の意味を成すためかなり大事にしているらしい。一種の住民票みたいなものだね。てことは先に冒険者組合に行かなければならんのかい!
諦めて、先に冒険者組合のところに行こうとしていたところ司書さんに呼び止められた。
「すみません、もしかして学者の方でしょうか?」
「ええそうですけど、なにか?」
「やはり、そうなのですね!それでしたら図書館へ無料でご利用することが可能ですよ」
「あっそうなんですね。一体どうしてなんですか?」
聞いたところによると、そもそも異邦人が【学者】を選択している者がおらずこのようなシステムのことを使用することがないらしく、司書さん自体が忘れていたようだ。本来は銅貨3枚で入館することができるようだ。つくづく思うんだがここのNPCは感情豊かだし本物のプレイヤーとそん色ないと思うんだよね。
ということで、冒険者ライセンスなしでなおかつ無料で図書館を利用することができた。こればっかりは【学者】にしていてよかったとと思うね。始めたばっかで所持金そこまでないし。
図書館の中に入ると膨大な本や蔵書が点在していた。感覚的ではあるが東京ドームが2,3個ぐらいは平気で入りそうな大きさである。
「……いやちょっと待てー!!外見とは全く違うぞ、大きさが!」
「ふふっ、どんな人でもここの図書館を見ると驚きますよ。この大陸、いや世界で恐らく最も最大級の蔵書の数ですからね」
この司書さんの言う話によるとどうやらこの図書館に空間と時の魔法が施させているため、常時新品の状態で保存されておりかなり広い空間を確保されているとのこと。
「なにその精神と時の部屋の劣化版は!?じゃ、じゃああれですか?別室に時間が遅い部屋とかはあるんですか?」
「え、ええあるにはあるのですが……こちらの許可がなければ入れませんし、その条件も厳しいものがありますよ?」
うへぇ、それは面倒くさいな。でも、この数の本を読むのにかなりの時間が必要だしなぁ。ううー
と、悩んでいる中
「【学者】である、えぇっと……」
「あっ、ゲシェムと申します」
「はい、ゲシェム様ですね。ゲシェム様は【学者】の職業をお持ちになっているということは【研究】のスキルも取得されてますよね?」
「ええ、確かに持っていますがそれが何か?」
「その【研究】で一度でも成功し、【学者】の地位を上げることによって学者様であればそちらの別室の利用権を獲得できるのです。一度やってみてはいかがでしょうか?」
と、司書さんの助言をいただいたところで俺の目の前にウィンドウが現れた。
《ジョブクエスト(特殊):【研究】を成功せよ。報酬:遅延室の利用権の獲得、【???】 Yes・No》
およ?これはクエストの扱いになるのか。これは受けるべきでしょ!特に詳細を見ることもなく俺はクエスト画面をYesをクリックした。
《クエストの受理を確認しました。報告はジュリ司書へ》
あ、この人の名前はジュリさんっていうのか。まぁ今まで通り司書さんでいいや。
「それでは私は受付にいますので、もし成功しましたらご報告してください」
といって、司書さんは受付へと戻っていた。
さてと、やるとしてもそもそも【研究】ってどういうスキルなんだろうかね。
確認してみるとしよう。と俺はステータスウィンドウから【研究】について調べてみた。
【研究】研究内容を設定し、その結果を示しレポートに記録する。現存せず、その法則が確証したら「成功」としてその内容により経験値を与え、それに見合った報酬を得ることができる。「失敗」した場合はペナルティにかかってしまうため注意。
うん、なんだろうか。名前からして感じていたことだが
「これって自由研究みたいなもんじゃねーかよ!!」
「ゲシェム様!館内ではお静かにしてください」
「あ、すみません!」
はぁ、一回落ち着くことにしよう。
とりあえず立ちっぱなしだったので座ってすこし考えることにしよう。
どうやら、この【研究】というのは研究課題を決めると、どんな形でさえ結果が出るまで変更することができない。そして、「成功」という判定が起きた場合は経験値とその研究課題に見合った報酬がもらえる。だが、現在する場合やその結果の検証で法則が確証されなければ「失敗」の判定になる。失敗時はその研究課題にあわせてペナルティがかかる。
って感じかな?……ここってほんとに電子世界なのかね。普通の自由研究の完全上位互換のようなものやんけ。でも、ジョブクエストの報酬である遅延室は魅力的すぎるんだよな。てかほかの人はやってないんかね?カズに聞いてみるか。
[学者のジョブクエストのクリアしている人っているか?]
とりあえず、返信が来るまでは適当に本を読んでみるか。
にしても、ほんとに本が多すぎる分なにから読もうか普通に迷ってしまうんだが………。
研究課題のことも考えて、歴史ものというよりも未発達のようなものがいいと思うんだよなぁ。うーん。
司書さんに聞いてみてもいいかな?
「すみません、なんかお勧めの本ってありますか?」
「はい?……あぁ研究のためですね。それですと魔法分野がおすすめですよ。ですが、かなり難しいかもしれないですね」
司書さんの話では、魔法というのは超常現象の一種であるため未発見なところが多く非常に不可解な現象として認識されている。そのため学者にとって魔法の研究の成功はかなりの名誉なことであることなんだとか。
「うん、それにしましょう。司書さん助言ありがとうございます」
「ほんとにそれにしますか?実際に解明できないことのほうが多すぎるので失敗時のリスクも高くなってしまいますが」
「まぁ、大丈夫ですよ。レベルも低いのでペナルティあまり関係ないので」
と、言うわけで決めました研究課題を登録してと
【研究課題:魔法についての解明 課題難度:SSS】
えっと、課題難度SSS!?やべぇ、ミスったかな?
まぁ、気になってしまったので仕方ない。好奇心の悪魔って怖いものだね。
魔法関連の蔵書があるところに行くことにしよう。
ところでここで話を脱線しなければならない。
『完全記憶能力』というのを皆様ご存じでしょうか。
某アニメの少女のようなものといってもおかしくないのだが、本質は若干違う。確かに一度見たものを完全に記憶することができ、いつでも思い出す(というよりかは引き出しを開けるイメージらしい)ことができるという学生にとってこれほどうれしい体質である。
さらに成人、だいたい30歳になる前は常に脳が成長されていくので脳のパンクとかが起きることは、それこそ地球が急に滅ぶぐらいの確立であるということ。
さらにここでもう一つ『過集中』という症状をご存じでしょうか?
『過集中』というのは普通の集中している状態とは異なる。では一体どういうものなのか、ゾーンとか呼ばれるような一種の集中の先にあるモノと似たようなものではあるが、この過集中は自分で気づかないうちに時間が過ぎたりして、平気で何日も一つのことに集中してしまう現象、というより症状である。
かなり有名なのは集中しすぎて、餓死しかけてしまったという事例もある。なのでゲームなどの集中してやるような類のものは自分自身で調整がきくようになるまではあまりやらないようにしましょう。
なぜ急にその『完全記憶能力』と『過集中』について説明したのかというと、かくいう彼、ゲシェム__雨宮修二がその能力を生まれながらにして持ってしまっているからだ。
そのため、彼がゲームをやってこなかった原因にもなる。ちなみにこのことは一樹と優羽も知っているため、あまりゲームの話をしないようにしていたりする。
で、何が言いたいというと
「ふう、この【速読】っていうアビリティ滅茶苦茶便利だな。早く本を読み終わることができるね」
《アビリティ:【速読Lv3】から【速読LvMax】に上がりました》
《アビリティ:【速読LvMax】がスキル:【神読み】に昇華しました》
《称号:【本の虫】【蠹魚】を獲得しました》
《称号:【蠹魚】によりスキル:【蠹魚召喚】を取得しました》
およ?なんで急にこんなのが来てんだろ?
……………まさか!と思い俺はウィンドウの時刻を覗いてみた。案の定俺が思ってしまった結果を示していた。
「読み始めて15日経ってるーー!!」
尚ゲーム時間で15日なのでリアルタイムでは30時間になる。
直ちにログアウトすることにした。
まとめ
・図書館≒ほぼ精神と時の部屋
・【研究】は自由研究の完全上位互換である、なお報酬やペナルティは研究課題による
・ゲシュム_雨宮修二は『完全記憶能力』『過集中』という特異体質を持っている
・なんやかんやで15日間ずっと本を読んでいました(すべて魔法系です)




