45.各々の探索 堕天悪魔と機械龍と関西弁と
前回のあらすじ
・ようやくティアちゃんの病名発覚【イラ・ミルトン】
・特効薬には【聖樹草】以外にも二種類存在する
・残り時間は3日
えー、わたくしはファウスト。一介の悪魔_今は堕天悪魔で我がマスターであらせられるペティ様の使い魔をやっています。
わたくしは今73階層にひとりでいます。
使い魔であるわたくしがなぜソロでここにいるかといいますと、この階層に生息されているという『イノケンティウス』を生け捕りしなくてはならないという任務をゲシェム殿から頂いたからです。
『イノケンティウス』とは焔の身体をもつ半魔物半精霊という少し特殊な魔物です。
この『イノケンティウス』大きな特徴としてまず魔物としての生命の象徴である魔核を機能停止にしない限り死ぬことがない半永久生を持っているというところでしょうか。
これは精霊の性質としての一つで精霊というのは永久的な存在であるため、もしもやられたとしても全く同じ姿・意識を持ち転生することができるといわれています。
『イノケンティウス』はその性質を一部持っているといわれているため、基本的には攻撃が透過もしくは再生されるとのこと。
それに付随して厄介な点がもう一つ。『イノケンティウス』は焔の身体で構成されているため、攻撃の一つ一つに火傷を負わされる付加攻撃が与えられる。さらにはこちらの攻撃を当てたとしても低確率で火傷を負わされる。
これだけならまだいいのですが、今回の任務とは生け捕り。この半物質のようなこいつをうまいこと生け捕りにしないといけないのが至難の業であったりするのです。
「と、まぁ対処する方法はいくらでもあるんですけどね」
73階層を探索しているとようやく『イノケンティウス』を発見しました。
「おそらく『イノケンティウス』は個体数そのものが少ない存在なのでしょうか」
確かに少なからず魔物が襲ってくることがあったが、この草原階層帯では出現する魔物の数が他の階層帯に比べて圧倒的に少ないのだ。
そのため接敵する機会も余り少ないのでこの一回で仕留めないといけない。
「では、まずは様子見と行きましょうか」
と、わたくしは腰につけたホルスターから魔銃を一丁取り出すと『イノケンティウス』に撃つ。
魔核には当たらないように撃っているので即死することはないと思いますが、どうでしょうか。
【鑑定】をもってして相手のHPを確認すると多少ながらダメージが入っていることを確認できました。だが、少しずつHPのバーが元に戻っていっている。これが再生ということでしょうね。
「なんとも厄介な相手だ、一撃で仕留めるなら魔核を撃っておしまいなんですがねぇ」
とにかく魔核を外すように魔銃で撃ち続けていく。
攻撃に関しては『イノケンティウス』はそこそこ大柄のため、攻撃も大振りなので回避することには問題ない。
旋回軌道を行いながら撃ち続けていく。
「うおっと、危ないです、ね!『虚空脚』!」
こうした単純作業はどうしても意識がぼーっとしてしまうことがありますよね。わたくしもしばしば……まぁ【危機察知】は習得していますのでよっぽど危険な状況下以外ではたいしてダメージが入ることはないのがわたくしのちょっとした自慢です。
そういえばわたくしの現在の職業は悪魔時代から継承された【脚闘士】に【拳銃使い】が派生されて【魔銃使い】【執事】【物真似師】というものです。
最初2つは完全に悪魔時代のころからの戦闘職ですが、後半2つに関しては物珍しさと興味本位で選択しました。
【執事】は【メイド】や【召使い】と同様の職業で主が存在しており、その者を手助けするためのスキルやアビリティがあります。なぜこれを選択したかといいますと、職業の選択が自由にしてもよいというペティ様の決定があったのでせっかくなので主に使えるということで【執事】を選択しました。
そしてこの【物真似師】というのはゲシェム殿に物珍しい職業は何かないかと尋ねてみますと
「俺はまだなってないけど【物真似師】っていう下級職はどうだ?恐らくだけどついている奴ってそんないないんじゃないのかな?」
と、話されていた。
確かにわたくしも【物真似師】というのはゲシェム殿が話されるまで知る由もなかった職業でしたので、すこし調べてみました。
この【物真似師】実は戦闘職というよりも曲芸職といってもいいぐらいの職業で性質は見たものを真似るというもの。しかし、戦いの心得を持つわたくしが使えば曲芸師のような職だとしても十分に戦えるのはゲシェム殿の【道化師】がそれを証明されていたというのと、この【物真似師】という職業について少し考えがあるので選択してみました。
「‥……とりあえず、こいつを捕縛しようか『黒死牢』」
『黒死牢』これは【悪魔魔法】の唯一といっていい捕縛系統の魔法で便利な点はこの魔法に捕縛された相手は徐々に命を削られていくが、決して死には至らないという恐ろしい捕縛魔法である。
「ふぃ、これでわたくしのほうの任務は完了ですね。さてさて、あちらはどのようになっているでしょうかね……もう少し『イノケンティウス』を狩っておきましょうか」
ファウストはしばらく戦闘勘を取り戻しつつ『イノケンティウス』を捕縛していくのであった。
ところ変わって、分裂体(関西弁野郎)と機械龍のメリドのところではさらに下層まで下っているのだった。現在は76階層のところまで来た。
「本体はん曰くやったが、わてらはとりあえずそのまま【聖樹草】の採取をしていきましょか」
「グルゥゥ」
ま、いったても魔物の相手はほとんどメリドはんが倒してくれ張っとるさかいに。わてほとんどいらんとちゃいまっか?
ゆうてもわてもそこそこ貢献してるとは思うとるんやけど、戦闘はすべてメリドはんに任せておるから操作に集中していられるってのは助かるっちゅう話やな。
それにメリドはんの操作自体もだいぶ慣れたおかげで操作以外にも意識を分割して考えることができるようになった。これによって戦闘しながらでも【聖樹草】を探すことができるようになったってのはほんまにありがたいことなんやな~。ついでに言ってしまえば【機甲召喚】の機能なのか【機甲術】のレベルが上がったからなのかかなり遠い距離での遠隔操作も可能になったのだ。
しっかし、本体はんやペティはんのほうはかなり面倒な探索になりそうやんなぁ。わてらのほうの【聖樹草】ってのはそこら辺に生えておるちゅうこともあるから楽ではあるんやけど一番必要な数が多いからな最大15回とか言っておったからな、かなりの量を取っていかなあかんちゅう話やな。
「まぁまぁ稼げたんとちゃいますかね?」
「グルゥ」
「なんやメリドはん、疲れたんかいな?」
どうやら疲れたというよりもスキル【限界突破】が発動したようだ。
「本体はんもおらんってのにここでなるんかいな!」
驚くのも無理がない。こいつはあくまで分裂体なのだ、まさか成長がここで起こるとは思ってもみなかったのだ。
だが、これはこの分裂体が『双児分裂』で生み出されたから可能になったのである。この『双児分裂』は通常の分身系スキル・魔法ではステータス自体が存在せず、一撃さえもらってしまえばすぐにでも消えてしまうようなものだ。
しかし『双児分裂』はアルカナを触媒として分裂体を生み出しているため、というより【占星魔法】本来の力である星の力の一部を表している。今回の場合では双子座のこの力は実像をもつためステータスが存在し、意思を持って独立して行動をとることができる。ただアルカナを触媒として召喚しているため、少しでもアルカナに傷をおってしまえばいともたやすく消滅してしまうという弱点がある。
ちなみにこの関西弁野郎がよく現れる理由は双子座の正反対の性格を表すという性質から生み出されたものであるのだが、正直特に気にするところでもない。
つまり何が言いたいのかというと、分裂体でも【限界突破】に関与できる理由は双子座の性質である『双児分裂』がそもそもステータスを持っているため、本体とほぼ同じような性質を持っているからである。
閑話休題
「ま、まぁしばらく待たんといけんようやしな。ちょっとここら辺を探索してとこか」
と、分裂体_関西弁野郎のソロ探索が開始された。
メリドは自己成長に入ったので少し待機することになってしまった。
こうして各自与えられた任務をこなしていったのだった。
残り時間2日と15時間
今話のまとめ
・ファウストの現職業開示
・『双児分裂』について
・メリドの自己成長突入




