40.雑貨屋求めて三千里
前回のあらすじ
・機甲・劣竜王はメリドといいます
・ファウストは進化して『堕天悪魔』となりました
・もうすぐ【聖樹草】を採取できそうですね
70階層フロアボスをぼこして、メリドの誕生とファウストの進化を得た翌日。
おっと、メッセージがはいってきた。宛先はカズからだ。
[悪魔襲来したぞ!一応対処しているがやっぱり武闘大会に人が集中してしまっているから結構きつい]
とのこと、やはりファウストの言った通り悪魔襲来が発生したようだ。
どうやらユンと偶然合流したためそのまま共闘しているようだ、へぇ俺も行きたいなぁ。
一応70階層のフロアボスを攻略したのだから助けに行けるかもしれないが、ここからが俺たちの本番ではあるのだ。
正直参加することはできないだろう。
だけどペティは違うのだ。
「なぁ、『ビリーブ』に悪魔が来たけどそっちにいくか?」
「………ん?なんで?」
「いや、だって70階層まで来たんだからあとは【聖樹草】を採取して調薬すればクエストは終わるからそんなにレベル上げとかできなくなるし、それだったら『ビリーブ』にいったほうがいいんじゃないかって思うんだよね」
「そうですね、確かにこれからの攻略はほとんどないに等しいものだと思いますがペティ様はもちろんわたくしも同様の意見ですよ」
「…………そう、私はティアちゃんを助けるために行動しているの。それに悪魔の件に関しても問題ないみたい」
は?
「それにつきましてはわたくしから。一応わたくしの元部下に頼んで少し難易度を下げたのです。まぁ派閥が違うところが攻めているため微妙なところなのですが………。そんなわけでペティ様レベルの人間が数名さえいれば恐らくは問題ないと思います」
「なるほどな、じゃあこのまま手伝ってくれるのか。助かるよ」
実際、【聖樹草】が見つかっても調薬道具を取りにいかないといけないし【調薬】に集中しなくてはいけない場合二人には【聖樹草】を採取してほしいところだった。
その点を考えるとまだまだ人手が欲しかったところではあったのだ。
「じゃ、71階層へいくか」
と、俺たちは71階層へ足を踏み入れたのだった。
「…………おぉ。きれい」
「そうですね、素晴らしい景色ですね」
目の前に広がるのは花や草が生い茂っている今までとは打って変わった景色だ。
確かに二人の言う通りきれいなのだが、この草たちを【鑑定】してみると驚愕の事実を知った。
「おいおい、これってかなりの無理ゲーじゃねぇか」
「………どうしたの?」
「ここの草一面を【鑑定】してみてくれ、まぁやばいぞ」
「………なになに?………うわぁ、これはひどい」
「確かに……面倒ではありますね」
そう、この草一面の一部に散らばるように【聖樹草】が生えているのだ。
しかも、この階層帯では光源がまどろっこしい感じになっているせいで【聖樹草】特有の光源を見失っているため採取には時間がかかりそうだ。
「これはかなり手がかかるなぁ」
「それでしたら、わたくしたちが採取しておきますからお先に調薬道具をご購入されてはどうでしょうか?」
「おう、そうだな。じゃ、ペティとファウストには悪いんだが先に採取してもらっていいか?一応【アルカナ生成】……っと『双児分裂』。こいつに採取と護衛を任せるから頼んだ」
と、分裂体を生み出して指示を出しておく。
「ほいなっと。あーせや、本体はんメリドはんを貸してくれへんか?」
「またお前かよ…。で、なんでメリドを貸すんだ?」
「一度使ってみたいやろ?それに感覚だけなら返還後にでもわかるだけでもかなり変わるやろ?そういうことや」
たしかにこの関西弁野郎の意見はもっともなところだと思う。護衛とはいっても暇しているよりも検証をしてもらっていたほうがいいともうからな。ということで、俺はメリドを召喚し関西弁野郎の分裂体に渡した。
「おぉ、改めてみるとごついな。よろしゅうにメリドはん」
「グ?グルゥ?」
おぉ、メリドが困惑している。そりゃそうか、さっきまでの俺とは違う雰囲気の俺が眼の前にいるからなぁ。
ちなみにな話だが、こういった【○○生成】【○○召喚】は本体限定のところが多かったりする。
【アルカナ生成】と【機甲召喚】はそれに該当している。しかし【クラウン生成】や【蠹魚召喚】は使用することができるというのもあるので意外と微妙な設定だったりするのだ。
で、この【機甲召喚】はできなくとも【操り人形】は分裂体にもできるのでメリドの操作ができるというわけだ。てかこれって普通に分割してメリドを操作するものと戦う人に分かればいい話だったなぁ。
「じゃ、いってくるわ」
「………ん、その間に採取しておくね」
みんなに【聖樹草】の採取を任せて俺は『オルカン』の地へ速攻で帰還した。もちろん【地点保存】は設置しているのですぐに戻ってこれるようにしています。
てことで帰ってきました、………『オルカン』ではなく『ビリーブ』ですが。
ほんとなら『オルカン』で買いたかったのだが、売っていなかったのだ。どんだけだよ!
ポーション屋に行ってみたが商売道具を売るというのはないし、雑貨屋さんにも売り切れていたのだ。
仕方がないので『ビリーブ』のほうに向かっているのだ。
「急がないといけないのになんでここまで来ないといけないんだよ。しかも『ビリーブ』って今悪魔来てんだろ?だるいなぁ」
そんなことを思いながら、ダッシュで駆け抜けていく。
途中途中で魔物や悪魔が襲ってきたが、大鎌で切り捨てていく。
ほんとめんどくさいなぁ『ビリーブ』に近づくにつれていって悪魔の数が増えてきてしまっている。
そんなこんなでつきましたよ『ビリーブ』に。
「おうおう、なんだこの世紀末は」
見た感じだとまさにこんな感想を持たざるを得ない。
あちこちに人と悪魔が争っている。
それにしてもNPCであるエウディアの民間人のほうも避難しているようだ。衛兵や騎士であるエウディア人は悪魔が連れ添った魔物を討伐している。
上空では黄色い何かが飛んでいる。しかも着ぐるみのやつとかいるんだけど……、見た目はともかくこの二人かなり強い、いとも簡単に悪魔の死体を量産をしている。俺のこの表現マジでこんな感じだから。
「ともかく、さっさと調薬道具買っておこうか」
「あ?ゲシェムじゃねーか!なんでここに?」
目の前にカズがいる。
「あぁカズか、今買い物中なんだよ。じゃあな」
「おぉじゃあな……じゃねぇよ!こんな状況だぞ!そんなこと言ってないで手伝え!」
「いや無理だわ、時間がないからな。てか雑貨屋さんってどこにある?」
「じゃあ案内してやるから、それまでは手伝え!」
「わかったわかった、そこまではやるから。で、その隣の子は誰?彼女?」
「いやいやいや、こいつはユンだよ」
「やっほー修君!あっここではゲシェム君だけ!よろしくねっ」
「その感じは完全に優羽だな、よろしくなユン」
カズの隣にいた女の子はカズの幼馴染である優羽ことユンだった。
この子を端的に言うと天真爛漫な天然少女みたいな感じだ。
しかし、ゲームの腕は確かなので何とも言えない。まぁゲーオタともいえる子なのだ。
「てか、ここまで人が集まっていたら問題なくね?上にいる奴とか着ぐるみ来ている奴とか強そうだし」
「それがそうでもないんだよ。ここって別称始まりの地だろ?つまりここにいるほとんどは生産職か初心者が多いんだ。それに加えての武闘大会があるからな、有力なプレイヤーが集まっていないんだ。ちなみにお前が今言った奴は有名プレイヤーだからだな」
「ふーん、じゃとりあえず道だけ教えて。そこまでの敵はつぶしておくから」
「おう助かる。メッセでピン立てておいたからそこに向かえば雑貨屋さんはある。たしか今もやってるぞ?」
「おっけ、助かった。また今度な」
と、俺とカズは別れた。
雑貨屋さんへ向かう道中
「ね、ゲシェム君!速いね!」
「……ユン、なんでこっちにいるんだ?」
「いやね私ってゲシェム君についてよくわかってないからさ、もしかしたら危ないかなって思っていたんよ。それなのに何その強さ!ほとんど一太刀で終わらせてるよねっ!あれが関連してバグが起きた~と勘何とかカズ君が言ってたけどさっ!それでも相当だよねっ!」
「あいつから全部を聞いたんじゃないのかよ」
「そりゃ、リア友だったとしてもプライバシーはゲームにとって禁句なのっ!だから聞いてないよっ!今度教えてねっ!」
こいつはあくまでゲーオタなのだ。そのためそこらへんの常識的なところは徹底しているらしい。まぁそこんとこは今度説明することにしたんだが、個人的に気になるところがある。
「おん、にしてもその武器は何だよ」
そう彼女が持っている武器が薙刀と扇という異色の武器を兼ね備えているのだ。
「これ?メインは扇だよっ!」
「そっちかい!にしてもなんで扇?」
「まぁこれは私のCSが関連しているからねっ。でもそれだと近接が困るから第二職として薙刀を使っているの!コンセプトは大和撫子!みたいな感じ?」
「あぁ、そんな感じなのね」
ほんとこの子は天然だと思わされるよ……。これでパーティリーダーができるからすごいとは思うんだけどな。
そんなこんなでこの世紀末感あふれる道のりを突破して無事雑貨屋さんにたどり着くことができたのであった。
今話のまとめ
・オルカンでは売っていませんでした(何故だ)
・本編にて遂にユン登場!(べ、別に前回がフラグってわけではないんだからねっ)
・ちなみに71階層からは草原階層帯といいます




