39.機械仕掛けの劣竜王と堕天悪魔
前回のあらすじ
・ファウストのレベルの上昇速度が速いのはこの階層帯であることと劣龍の所有経験値量が多いためです
・現在ファウストは黒い繭の中、二人は待機
・そして目の前には機械の劣龍王
「………おぉぉ…これは?」
「えっと、俺の機甲の『機甲・劣竜王』だな」
「‥……どうゆうこと?」
これは俺の【機甲糸師】の本来の能力ともいえる部分だ。
【機甲召喚】にはいくつかの工程を踏まないといけないのだ。
その点で一番重要になってくるのはもう一つのスキル【抜魂幻糸】。このスキルは俺と対象の魔物をつないだ状態でしか発生できないスキルでしかもMNDが高い場合だとHPをある程度減らさないと成功しない。
しかし、その条件を満たし【抜魂幻糸】を成功させるとドロップアイテムとは異なるアイテムを手に入れることができる。それがこの《○○の珠》というアイテムなのだ。
この珠は【機甲糸師】においては必須アイテムである。
いわいる【星占師】でいうアルカナという触媒と同程度のアイテムである。
【機甲召喚】はその珠を媒体にして行うことで、まず初回の召喚においてはその珠から機甲を作り出すために大量のMPを消費する。これが【機甲召喚】の2つ目の工程である。
次回以降の召喚では消費MPはほぼゼロに等しくなるがこの最初のMP消費によって今後の機甲の未来が変わっていくのだ。
ちなみにこの機甲について補足しておこう。機甲はその者によって成長する、そのため最初の珠はたいしてこだわる必要もない。だが、珠によってその機甲の成長の軸が決まったりするので全く無関係であるわけではないのだがまぁかなり低い確率で関係することなのでまぁよしとしよう。
これらの要因を重なったことでこの『機甲・劣竜王』が【機甲召喚】によって召喚することができたのだ。
しかし、こいつを操作するにはアビリティの【機甲術】だけではなくスキル:【操り人形】も併用しないといけないというのがかなりの難癖をつけてくるのだ。
「これってもしかして【操り人形】があったから発生した特殊上位職なのかもしれないな」
「……どういうこと?」
「あぁ、この【機甲糸師】に必要なのが【操り人形】というスキルなんだ。だけどな、このスキルってどうもこの職業で一緒につくような感じではないと思うんだ」
それにもともとジョブクエストがあると感じたが、そもそも珠が必要だったため【機甲召喚】が扱えなかっただけだし結果的に【操り人形】が必須になってくるということだ。
………これジョブクエストで【操り人形】を取得する流れあるな、つまりこれはまた裏ルートみたいな感じで進んでしまっていたのかもしれないな。
その旨をペティにも話してみると
「………多分その考え方が正解だと思う。そうじゃないとこの職業の有利性のつり合いが取れないもの」
「それもそうだよな、しかもこいつ意思をもっているみたいんだよな」
そうなのだ、召喚した『機甲・劣竜王』に敵対心というか忠誠心なのかよくわからない視線が俺に向けてきている。まぁ敵対心にしてはかなり薄すぎるというのもなんだかな、だってこいつ倒しての俺だし。恨みとかで抱いているとかならもっと強いと思うが……まぁよくわからんな。
「………で、この子の名前は何なの?」
「え?『機甲・劣竜王』だけど?」
「それは種族名じゃないの?ファウストやルカちゃんみたいに名前を付けてあげないの?」
そういえばそうなのか……『機甲・劣竜王』って単なる名称であって名前ではなかったのか。
「でも、こいつ名前いるのかな?反応してこないし」
と話すと
「グ、グルゥゥ」
「お、おお?」
動きとしてはかなりぎこちないが『機甲・劣竜王』はこちらへ歩み寄ってきた。
「…………やっぱり名前を付けてあげるべきだよ」
「それも、そうだな」
で、こいつの名前をどうするかだよなぁ…………思った以上に思いつかないというのがぁぁぁぁぁぁ。
「メリドってどうだ?」
「グ?グルガァァァァァァ!」
『機甲・劣竜王』はぎこちない動きで俺の周りを歩いている。
「………これは、よろこんでいる?のかな?」
「だと、いいなぁ」
なかなかに面白い『機甲・劣竜王』ことメリドが俺の仲間になったのだった。
と、俺たちがメリドと色んな検証を付き合ってもらいながらファウストの進化を待っていた。
「つーか、ファウストの進化ってどうなるんだろ?」
「………さぁ?それよりも私はメリドちゃんのほうが気になるよ?ステータスとかないの?」
「うーん、どうやらないみたいんだよね。機甲というのは一種の道具みたいな扱いみたいだわ」
そのためレベルやスキルやアビリティが存在しているみたいだがそれ以外にはほとんど表示されていない。耐久値と攻撃力が乗っている程度だ。
かなり簡略になっているがその分耐久値や攻撃力はかなり高い。
さらにスキルには【機龍撃】【機甲龍魔法】【限界突破】【変形】というのがある。
それ以外にも【可能性の珠】という謎のスキルがあるが基本的には機械と龍について混じった感じの構成になっている。
アビリティはこのスキルを補助するための【格闘術】【機甲術】がある。
まぁそれに加えて高い耐久値と攻撃力を持ち合わせているのがメリドの最大の特徴であるようだ。
「ただなぁ、メリドは今の状態だと俺が【操り人形】で操作しないといけないようだな」
「……それでも破格の性能だと思うよ?」
「でもなぁ、これって近接戦闘しながらメリドを操作するとかかなり厳しいと思うんだが」
「………それは…ま、まぁがんばって?」
まぁこれは俺の慣れの問題もあるし、今後メリドと共に練習するとしますか。
そんな中、ファウストが覆われている黒い繭がひび割れた。
「はい!帰ってきましたよって、うぉお!?これは機甲か?」
「ん?おぉおかえり~、進化した結果どうなったんだ?」
「スルーですか……まぁいいです、わたくしが進化した結果『堕天悪魔』というものになりましたね」
「………なにそれ?堕天使×悪魔的な種族なの?」
「そうですね、まぁ元をたどればそういう種族ができる可能性はありますが悪魔時代を振り返ってもこういった種族は見たことはないですね」
「で?これで何ができるようになったんだ?」
「そうですね、今まで使えなかったアビリティ【聖魔法】に【堕天】というスキル、さらに聖魔法への耐性がついたことですね」
「……なかなかの強化になったってことかな・」
「はい、そうなりますね」
ペティとファウストは己の状態を確認するために俺たちとは離れて相談をすることにした。
まぁ俺もメリドと意思疎通をしていこうと思っているから、ちょうどいいと思っていた。
ちょっと思ったけど、あいつの悪魔時代の名前が『メフィストフェレス』だったよな?
たしかその悪魔って堕天使ルシファーに属する高位の悪魔だったと思われるんだよな、その点を考えると『堕天悪魔』という種族は納得できる気がする。
そんな感じで俺たちは70階層で休むことになったのだった。
一方、武闘大会に参加していたカズたちはというと
「おっ、ユンじゃねーか」
カズは大会の予選を潜り抜け、決勝トーナメントが始まるまでのんびりと街を散策していたのだ。
ほかのメンバーも順調だと思っているので、この後リア友のゲシェムの話が本当なら悪魔が『ビリーブ』のところで襲い始めるのだ。そのためのポーションとかを買いあさっておこうと思って街へ散策しているとも言っていい。
そんな中、街中でもう一人のリア友であり幼馴染でもあるユンを見かけた。
「あれ?カズじゃん、何してんの?」
「俺は予選のほう終わったの、そっちは?」
「こっちも同様だよっ。でも、なんでここにいるの?私は武器を受け取りに行ってたんだけど」
「あぁ、俺はだな……」
と、ゲシェムに言われていたことも含めて現状の説明をした。
「何それっ!全然知らなかったんだけどっ。てかなんで修くん、じゃなかったゲシェム君だっけ?が知ることができたの?」
「さぁな、ただあいつはこの武闘大会にもそのイベントにも参加できないみたいなんだわ」
「へぇ、何してんだろうね?」
「なんか、緊急クエストを受けているらしくて今はここ『オルカン』のランクSダンジョンにいるみたいだ」
「えっ!?あそこにソロで!?だ、大丈夫かなっ!」
「まぁ、大丈夫だろ。なんてたって俺より強いしな、しかもなぜかは知らないが【魔導女王】も同行しているらしい」
「……うっそ、だって彼始めたのって私たちより2週間後_OFW内では84日ぐらいの差があったはずだよね?どうしてそこまで?」
「事情は聴いたけどこれに関しては俺からは話せんよ、ユンでもね。今度あいつに聞いてみろよ」
「うんっ!そうする!………でも、どうして私には連絡くれないんだろう」
「………お前、あいつにフレンド登録とかしてないだろ」
「あっ、そういえば!」
この天真爛漫、天然少女がユンである。まぁ戦っているときは雰囲気からガラッと変わっているからまぁ驚くだろうな、あいつ。
そのあとはたわいのない会話をしていると、メッセージが届いた。
宛先は【閃光戦機】からだ。
[『ビリーブ』上空に敵影発見。おそらく悪魔と見て間違いないだろう。こちらでできる限り対処していく。至急応援頼む]
どうやら、ゲシェムの言った通りのシナリオになってきた。
「ユン!今から『ビリーブ』に行くが来るか!?」
「んっ!わかったっ!」
とカズとユンは各パーティメンバーにメッセージを残して『ビリーブ』へ飛んでいった。
文字通り瞬間的に。
こうして、悪魔襲来イベントが始まったのだった。
今話のまとめ
・機甲・劣竜王はメリドといいます
・ファウストは進化して『堕天悪魔』となりました
・もうすぐ【聖樹草】を採取できそうですね
番外編
・ユン初登場!(そんなに出て無かったね)
・この二人は予選突破しています
・悪魔襲来!!




