32.死神が呼ぶのはいつも不幸
前回のあらすじ
・ルカ最近目立ってないなぁ
・初期装備が意外にも優秀なのだ(回避厨としては)
・『ジャックリーパー』はまぁあれですな首狩りの死神みたいなやつです
墓標階層のフロアボス『ジャックリーパー』戦は佳境を迎えた。
ペティと関西弁野郎の分裂体のおかげで『ジャックリーパー』のHPが半分になった。しかし、この時点で分裂体に渡したアルカナが消費し終わったため関西弁野郎も前衛に出て雑魚処理を手伝ってもらっている。
『ジャックリーパー』が召喚してくる魔物どもがだんだん強くなってきた。
どうやらボスのダメージが半分になったらそうなる仕組みのようだ、というかこの魔法陣あれだな。
「ペティ!多分この魔法陣いじれないぞ!」
「………ま?どういうこと?」
「この魔法陣がそもそ、も超特殊なんだ!そうなる、と!俺のコアスキルでも改変ができ、ない!」
「………てことはゲシェムはそのまま雑魚狩り?『ホーリーレイ・追尾』!」
「そう、い、うことだな!てこと、で、任せた!」
ペティが融合魔法で『ジャックリーパー』に当たるように放つ!
そのまま詠唱の準備を始める。
今回はペティの【聖魔法】がメインでダメージ源となるため、分裂体の一体に護衛を任せている。
雑魚を狩りながら一直線にすすんで、ゲシェムは魔法陣の目の前に来た。
やはりというか、この魔法陣を解析してみるがこれはいじれん。
普通の召喚魔法陣とかなら問題がない。ガーゴイル戦の時のような条件的無制限召還とかなら問題なく改変することが可能だ。しかし『ジャックリーパー』の準備した魔法陣は条件がないのと『ジャックリーパー』のHPと連動しているのがネックなのだ。
結論からすれば俺は分裂体と共に雑魚狩りをしないといけない。ペティが『ジャックリーパー』を倒すまでの時間をペティになんとかダメージを負わせないようにしないといけない。
「この負担やばすぎだろ!」
まぁ俺の活躍の機会がここしかいないからな頑張らなあかんわ。
そうして『ジャックリーパー』のHPが4分の1程度まで低下したとき奴の魔法陣が変化が起きた。
「は?!魔法陣が変化するとかどういう意味だよ!!」
通常魔法陣というのは常駐のモノだとしても変動が起きるはずがないのだ。
というのが今まで調べたことではあるのだが、魔法って奥が深い。普通に使いたい魔法だから今度調べておこう。
と、話が脱線したが『ジャックリーパー』の魔法陣の一部は解析できた。
「ペティ!召喚されるのはあと一体のみだ!もうちょいだから気張ってくれよ!」
「………ん!そっちも頑張って!」
そんなことをいってると召喚が完了したようだ、その証拠に魔法陣が消滅した。
召喚された魔物はだんだん輪郭を表し、黒き煙が晴れた瞬間その魔物が姿を現した。
「おいおいおいおい!そんなのあり?マジでふざけんなよ!」
現れたのは黒きドラゴン。【鑑定】結果だと『亡龍』と表記されている。
この龍が放っているオーラが明らかに30階層の『地竜』とは異なる。
しかも文字もそうだ龍となっている。
文献によると竜と龍はおなじ部類だとしても圧倒的な格差が存在しており、龍は一線を画すともいわれている。
というか、なんでこのレベル帯が出てくるんだよ!
ゲシェムたちは知らないと思うが読者の皆さんには説明しよう。
この『ジャックリーパー』は物理は無効に近いため近接の戦闘職はゲシェムと同様の行動しかないのだが、魔法はある程度効いているのだ。確かに【聖魔法】が弱点であるため大ダメージを負わせることができるのだが、『ジャックリーパー』のもう一つの性質がある。それが【聖魔法】のみのダメージで全体HPの4分の1まで減少させると『亡龍』を最後に召喚するという何ともたちの悪いフロアボスなのだ。
だが、これにも実は特典があったりするのだがこれを攻略しないと話にならないというわけだ。
「これはさすがに物理無効とかないだろ!8割は龍に集中して残りはペティの警護!ルカは相手の翻弄と俺らの付与任せた!」
「………ん!先にボス倒せば終わりだといい。その間頑張って!」
とりあえず、全体に【軟糸】を張り巡らしていく。
ここが洞窟というか墓標とかで助かった。上空がそこまでないってのがこの龍の行動範囲を減らせる。
「【アルカナ生成】…………………んでもって【アルカナ複製】!『獅子光将』!さらに『白羊捕縛』!」
【軟糸】と『白羊捕縛』により亡龍の動きを封じ、分裂体で斬っていく。
確かにダメージはいるものの大きなダメージになっていない。
しかも俺たちが龍に集中しているため『ジャックリーパー』のヘイトがペティのほうへ移動しつつある。
なんとか分裂体の一部が防衛に回るが一撃でやられていく。
「厄介だろ!【アルカナ生成】に【アルカナ複製】!!追加じゃあ!『双児分裂』×15!!」
ここは背に腹は代えられないのでアルカナを再度生成し、分裂体を作り出す。
「お前らのうち4割を死神対処!残りは俺と一緒に龍退治だ!」
と、散開させる。
これはさらに持久戦だな!
「………これで終わり!『ホーリーレイン・追尾』!」
ペティが放つ聖なる光の雨が『ジャックリーパー』めがけて飛んでいった。
全弾命中していく。
『ジャックリーパー』は見事に打ち倒された。
しかし召喚されていた『亡龍』は残ったままだ。
「あーもう!こいつだけ残るオチとか面倒じゃん!」
「そんな本体はんに朗報や!ここまでの戦闘で【聖魔法】の解析が終わったで!今からそっちへ渡すからよろしゅうな!【アルカナ返還】!」
と、分裂体全てががアルカナとなり俺自身へ還ってきた。
「えっと、確か……【アルカナ吸収】!………なるほど、そういう原理ね」
【アルカナ吸収】とは『双児分裂』が得た知識やMPを吸収するための【占星魔法】のレベルアップにより手にした【アルカナ生成】の機能である。
そして、分裂体の【多重思考】を駆使して【聖魔法】についての解析を終えることができた。
原理を完全に把握できたため俺も【聖魔法】を行使することができる。
「ペティ!こっから魔法を詠唱する!そっちのMP残量はどうだ?」
「………ちょっと無理かももう少し待てば何とかってところ。とりあえずポーションで回復はする」
「わかった!そっちにヘイトは向かないと思うが、こっちで何とかする!」
俺はすぐさま【魔導陣】を使い【聖魔法】を構築する。
しかし、もともと使えていなかった分もあるのか構築するのにかなりの時間を有してしまうようだ。
「なら先に!『樹岩剣・ソードビット』!舞い踊れ!!」
とにかく相手のブレスや鉤爪を【軟糸】の網を駆使して回避していき、【操剣術】でダメージを与えていく。
2分ぐらいたったのだろうか、1分1秒が途方もなく長く感じてしまう。それぐらいの緊張感とプレッシャーがこの龍にあるのだ。一度でもダメージをおってしまえばノックバックに気絶の効果とかついてもおかしくない強力な一撃なのだ。回避戦だとしてもかなりの恐怖であったりする。
ある程度ダメージが入ったところで『亡龍』の動きが激しさを増していく。
「ちぃ!厄介すぎるだろ!………っと!ようやく構築できた!『聖なる浄化』!!」
【神速思考】を使ってなんとか構築完了させた最上級【聖魔法】の『ターンアンデット』を再構築させた魔法を行使する。
光の光線というにはあまりにも違ったような光線が龍の元へたどる。
『グルァァァァァァ!』
龍がこの光線に回避した。
それほど、この光線に恐れを感じたのだろう。
だが、そんなことは俺にも読めていた!
「【妖糸・反射】!」
反射する糸を巧みに操り、光線を壁にぶつかり消滅させるのを防ぐ。
光線から逃げる龍、それに追従する光線。
あと少しというところを避けていく龍にあと一歩足りない。
「ならこうしてやるわ!【妖糸・斬×反射】!!」
妖糸の性質をMPの許す限りの変換。
これにより二手に分かれる光線にぎりぎりだった龍も為すすべなく、徐々にダメージを蓄積させていく。
ただこの二手に分かれさせるのはなにより操作が難しい。
光線を反射させて、龍の回避位置まで持ってこさせるのが至難の業なのだ。
たとえ【神速思考】があったとしても二手に分かれる光線を巧みに操るのはゲシェムの『過集中』をもってしてなせる業といってもいいだろう。
しかし、龍も馬鹿ではない。奴の本能が光線を恐れ、恐怖を抱いて何とか光線をくらわないように逃げに徹している。
だが、そんなことは俺も百も承知。
だからひと手間を加える………!
『亡龍』は思う。
なぜこんなものに恐怖させられる、なぜこの光線が怖いと思う。
ただ、わが心がこれに触れてはいけないと思わされるのだ。
っく!ここもダメなのか!
奴が織りなす光線が幾重にも降り曲がって我の元へと追ってくる……!
しかもこやつこの光線を二つに分けおった。一体どういう芸当なのだ。
その二つが別々のところから追ってくる分、我にかすってしまう。
この光線を恐れた我の本能は間違いなかった。肉を抉るようなこの感覚!直に当たってしまっては間違いなく一撃でやられてしまう!!
しかし周りに何かがあって我の動きを邪魔してくるではないか!
次はどこへ………ここだ!
………あれ?なんで、ここ、に光線、が…………
と、この龍は光線に呑まれていった。
《ゲシェム様のレベルが6上がりました》
《職業:【●剣士Lv8】が【●剣士Lv12】に上がりました》
《アビリティ:各【そう剣術Lv9】が【そう剣術Lv15】に上がりました》
《職業:【星占師Lv17】が【星占師Lv25】に上がりました》
《アビリティ:【占星魔法Lv22】が【占星魔法Lv28】に上がりました》
《習得占星魔法が複数あります。別途に記載します》
《【占星魔法Lv25】よりスキル:【星結】を取得しました》
《職業:【巴導士Lv10】が【巴導士Lv15】に上がりました》
《アビリティ:【巴術Lv9】が【巴術Lv14】に上がりました》
《習得巴術が多数あります。別途に記載します》
《職業:【糸使いLv32】から【糸使いLv45】に上がりました》
《【糸使いLv40】と今までの行動経験値より上位職:【奏操糸師】【機甲糸師】が選択可能になりました》
《アビリティ:【軟糸Lv30】が【軟糸Lv34】に上がりました》
《アビリティ:【硬糸Lv22】が【硬糸Lv30】に上がりました》
《アビリティ:【妖糸Lv15】が【妖糸Lv32】に上がりました》
《アビリティ:【操糸術Lv35】が【操糸術Lv52】に上がりました》
《【操糸術Lv50】よりスキル:【操奏紡糸】を取得しました》
《アビリティ:【捕縛術Lv12】が【捕縛術Lv23】に上がりました》
《職業:【道化師Lv24】が【道化師Lv36】に上がりました》
《【道化師Lv30】より派生職:【道外師】が選択可能になりました》
《アビリティ:【奇術Lv34】が【奇術Lv42】に上がりました》
《アビリティ:【アクロバットLv28】が【アクロバットLv35】に上がりました》
《アビリティ:【誘導Lv16】が【誘導Lv31】に上がりました》
《使い魔:ルカのレベルが9上がりました》
《使い魔:ルカは進化が可能です》
《これまでの行動経験値から称号:【龍殺し】を獲得しました》
《これまでの行動経験値から称号:【弄ぶ戦略者】を獲得しました》
いろいろやることがあると思うが
とりあえず言いたいことはただ一つ
「マジで疲れたぁ!!」
「……ん、ほんとにそれ」
この戦闘から一息つこうと思ったとたんに
『ゲシェム様!ティアの症状が第三段階に入ってしまいました!』
どうやら、更に時間が無くなってしまったようだ。
今話のあらすじ
・死神が呼んだのは龍でした
・勝因は【聖魔法】の解析でした
・ティアちゃんの症状が三段階目に入ってしまいました




