21.最速攻略40階層前
前回のあらすじ
・意図せずランクSのダンジョンに挑戦します(超速攻略です)
・糸使いはかなり便利です
・騎士さんの名前はナディア、妹さんはティア(意味は特にない)
緊急クエストの依頼を受けた翌日
俺はランクSのダンジョンの前に来ていた。
「ふぃ、まさかランクSのダンジョンを最速で攻略するとなるとはな……」
一応、確認をしておこう。
今回の依頼内容は【聖樹草】の採取であり、期間は最長で3週間。しかも、この期間は妹さん_ティアちゃんの症状の段階によって変わってしまう。
さらにその【聖樹草】の生息地は70階層よりも深いところに生息しているようだ。
【聖樹草】について先日調べてみた結果、形状はいたって普通の薬草に変わりがない。
しかし、とある条件下において【聖樹草】は青白く光ると記載されていた。
とりあえずは70階層までは本気の速度で攻略していったほうがいいだろう。
ただ、このランクSは30階層の時点でドラゴンが出てくるとの情報がある。ハンデを用意しては間に合うかどうか……。この際仕方がない、速度重視で本気で動くとしよう。
入る直前に門番の騎士に止められてしまったが、事情を説明すると「お気をつけて、あくまで自分の身体を優先してください。そして、ティアちゃんのこと頼みます」と言われた。
なんだあの人、下級騎士とか言っていたがその中でもかなり好かれている人だったのかよ。
まぁ、ナディアさんとその妹さんのために一肌脱いでいきますか!
とゲシェムは意気揚々に入っていったのであった。
少し30階層のフロアボスまでの戦闘について触れておこう。
ゲシェムはほとんどの通路を【軟糸】を洞窟上部に張って移動していた。そのため、フロアボスまでは戦闘という戦闘を行わなかった。
しかも、その10,20階層のフロアボスに関してもその移動中に構築していた魔法陣『劫火滅却』を発動して、一撃で仕留めていた。
このさい、レベルアップは一切なかった。そりゃ【魔導陣】しか攻撃手段として使わなかったため、上がるモノが一切なかったということである。
そして、その30階層のフロアボスのところへやってきた。
「ここはドラゴンが出てくるとか書かれていたな。……なら、開けた瞬間に最高威力の攻撃をぶち込ませればいいな」
と、フロアボスの扉を開ける前にいろいろと準備をしていた。
まずは構築。『劫火滅却』は短い時間での最高火力の魔法であるが、今回は開けるまでの時間をフルに使って構築をする。イメージは太陽光のようなレーザーを途切れることなく放つ魔法。
もちろん初めての構築なので時間がかかる。
ということで、いったん【多重思考】に任せて次へ行こう。
「【アルカナ生成】…………っと。そして『獅子光将』」
『獅子光将』これはSTRやINTなどの攻撃力を貯蓄MP分強化することができる占星魔法。
一見すると割と効果の薄そうな魔法のように感じるが、貯蓄MPの1.7倍の強化をすることができ、なおかつゲシェムにとってはMPは基本使いどころがかなり限定されているので大した損失にもならない。
そのため、純粋な強化として優秀な魔法であったりする。
『獅子光将』を発動させる。
その数分後、ようやく魔法陣を構築し終えると俺は扉を開けた。
『ガァァァァァァ!!!』
目視した瞬間に即【鑑定】をした結果地竜という、竜種だった。
「先手必勝!『熱赦咆光』!!」
俺の目の前に魔法陣が展開、真っ白い光の光線が地竜を飲み込み、やがて光が収束されていく。
収束された光から見えるのは穴の開いた壁のみであった。
もはや地竜がいたことすらわからなくなっているほど跡形もなくなっている。
「いや、自分で構築した魔法だけど破壊力やばすぎるだろ……」
そう、この一撃だけで地竜は消滅してしまったのだ。
確かにこの『熱赦咆光』には破壊力そのものを重点的において、それ以外の要因をすべて後回しに考えた魔法である。
そのため、この魔法の構築にはそこそこ長い時間を必要とする。
さらに一方向を指定してしまうとその方向にしか放てないためおいそれとは使用することができない。
まぁ一回の戦闘で最初の一度でかたをつけるにはもってこいの魔法ではあると思う。
ただ、利用機会なんてほとんどないような魔法でもある。それは機動力の高い敵であれば展開時によけられてしまうからだ。
ランクCのダンジョンボスのゴーレムや今回の地竜であったからこそできたような魔法だ。
容易に使えるものでもないしな。破壊力がえぐすぎるんだよ、迷宮の壁ってのはかなりの強度でつるはしとかで削ってもかけら一つこぼさないとかなんだとか……。
その壁に穴をあけたのだから相当の威力と破壊力を有した魔法だということを証明している。
今回のフロアボスの地竜はドラゴンとはいっても竜種であり、空を飛ぶことのできないドラゴンなんだとか。
しかも、その完全上位互換の龍種の強さには遠く及ばないらしい……。
その龍種がこの先の階層で出てこられても厄介なんだけど。
という一抹の不安を抱え、ひとまず30階層のセーフティエリアにてテントを張って一夜を超すことにした。
その翌日
ゲシェムは31階層へ進んだ。
そこは今までの雰囲気とは一変する景色であった。
今までの洞窟とは異なり、今見える景色は一面森であった。
「どういう仕組み何だこれ?」
一応は事前に調べてはいたのだが、なにせランクSダンジョン。
そもそもの情報がすくなく、30階層以降の情報はほとんどないのだ。
「まぁ、悩んでいても仕方がない………。このまま先へ進むとしよう」
攻略方法としては30階層までの【立体機動】の部分を糸ではなく、今回は木を使って動いていく。
しかし、木々には魔物が存在し俺の行く手を阻んでくる。
『マンキー』という猿がここいら一体を支配しているようだ。
「くっそ、邪魔なんだよ!『樹岩剣・ソードビット』!舞え!!」
【操剣術】と【硬糸】を駆使して『マンキー』どもを駆逐しながら移動を進めていく。
より深い層へ入っていくと『マンキー』の種類が増えてきた。
32,33階層では『ウォーマンキー』『メイズマンキー』という種類が増えた。
『ウォーマンキー』は読んで字のごとく戦士特化のマンキーで様々な近接武器を携えたマンキーである。
『メイズマンキー』も同様に魔法特化のマンキーで杖を携えたマンキーである。
戦ってみて思ったのはこの『メイズマンキー』は一個体に対して、一種の魔法を取り扱うようだ。
しかも、その特徴としてその属性にあった色の刺青が入っているということが一番わかりやすい判断材料であるようだ。
こちらも『樹岩剣・ソードビット』を使い、一掃していく。
34,35階層には先ほどまで出ていたマンキーを含め、
『ウォーリーダマンキー』と『マジシャンズマンキー』という、他のマンキーよりも大柄のマンキーが増えた。
こちらは今までのマンキーのリーダ―格のようで【指揮】というアビリティを有している。
まぁ、こいつらを先に倒せば従っているマンキーたちの連携が崩れていくのでむしろ戦いやすかった。
その次36,37階層ではマンキー……………ではなく、『エイプ』という猿の魔物が出現し始めた。
この『エイプ』、魔法を使う様子はないんだが……そもそもの身体的能力はマンキーに比べ圧倒的な差を誇っている。
さらにこいつ、でかい図体しているくせにかなりすばやい。
そのせいで『樹岩剣・ソードビット』や【硬糸・斬】を躱されてしまう。
仕方がないので、この手段をとることにした
「『樹岩剣・ソードビット』!!舞い散れ!!」
先ほどと同じ通り【操剣術】を使って攻撃していく。
もちろん躱されてしまうがそこは問題ではない。
今回の樹岩剣には【硬糸】を樹岩剣の間に仕込んでおいた。
そのため、樹岩剣の隙間を躱したエイプが真っ二つに分かれていった。
その調子でこの階層を進んでいった。
さらに38,39階層では『エイプ』の上位種であろう存在が何種類かいた。
『グラップエイプ』こいつは格闘型のエイプで、たまに投擲してくる。割と危なかったが【神読み】もあったので躱しきることができた。
『ダッシュエイプ』こいつは名前の通り敏捷型のエイプで、通常のエイプより何倍か早いため目で追うのがかなりきついのである。まぁ【神読み】である程度を読めるのでそのまま『ダッシュエイプ』が通るルートに【硬糸】を張り巡らし、細切れにしていく。
エイプ自体が魔法を使うことがないらしく、魔法を使うエイプはいなかった。
だが、マンキーは普通に生息しているので魔法の対処もしていく。
エイプには『樹岩剣・ソードビット』に硬糸を混ぜ込んで、マンキーには『樹岩剣』と【硬糸・斬】で一刀両断にして進んでいった。
そして、40階層_フロアボスの間の前まできた。
準備を始めようとしたとき、インカムから声が聞こえてきた。相手はもちろんナディアからだ。
『ゲシェムさん!ティアの症状が変化してしまいました!!』
どうやら第二段階に入ってしまったようだ。
今話のまとめ
・現在依頼開始から3日目(一日目は準備)
・40階層、フロアボスの手前
・ティアの症状、第二段階突入




