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OFW〜Old Free World〜にて我は記憶する  作者: しぐれ煮と甘露煮
【学者】編
2/61

1.発売日に厄日

本編入ります。


 「あーちくしょう、せっかく発売日だってのについてねぇ」

 俺こと、雨宮修二(あまみやしゅうじ)はこの時ばかりをすごくいまめしく感じていた。



 まだ寒さを感じる2月の終わり、その寒さすら感じないほどの熱狂が世界中で湧き上がっていた。

 その原因は間違いなく今日発売のこのゲーム『Old Free World』、通称OFW。

 

 このゲームはなんとあらゆるVR機器に対応しているという驚異のスペックを持ち合わせているにも関わらず、事前情報が一切存在しないというゲーム。βテスターの情報すら開示されていないという、徹底したこの秘匿性。それだけではない、何回か放送されたたった3分ほどではあったもののその映像に全てのゲーマー、いや一般人をも魅了してしまったのだ。


 こと俺もその一部に該当している。俺自身そんなにVRゲームをしていないのだが、親友とゲーマーの幼馴染に誘われ見せつけてきたその映像を見て、なぜかやりたくなってしまったのだ。


 そして、発売日当日の今に至った。


 「なんでこんなに楽しみにしているときに限ってかかってしまうのかねぇ、インフルエンザって」


 そう俺はこの発売日当日に高熱をだしてしまい、診察した結果インフルエンザだと診断されてしまった。

 昔のVR機器とは違い、現在では体調不良だと強制的にログインすらできないようになっているため。すくなくとも1週間はプレイすることができず、この発売日当日にかかってしまったため購入することもできず第一陣として参加することが不可能となってしまったのだ。


幼馴染たちには説明済みではあるがお一人おひとつというため買ってもらうこともできないのでどのみち2か月先になってしまいそうなのである。


 「すくなくとも、あと2か月ぐらい先になりそうだな。いまごろ一樹と優羽はあそんでるんだろうなぁ。あーうらやましい!」


 悔しいけど自分の体調管理の問題でもあるので仕方ない。とりあえず、掲示板でもやってないかしらべてみるとしよう。


 「……あ、あれ?存在していない?そんなばかな」


 調べてみると全く出てこない。でてきてもあの3分ほどの映像のみである。しかも掲示板以外でもSNSも誰もその詳細について一切話していないのだ。

 どういう情報規制なのだろうか?


 「これもしかしたら一樹と優羽も教えてくれないのかもしれないなぁ」

 これほどの情報規制がされているということは他人に説明することもできないのかもしれない……。

 この秘匿性に関しては素直に脱帽してしまう。


 「はぁ、これはおとなしく治して2か月後に備えるとでもしようかな。あいつらは春休みはあのゲームだと思うし、一人かなぁ」


 と、俺はこれからは体調不良を起こさないように心がけようと誓い、素直に寝ることにした。






 その夜、俺は熱自体は治っていたのでのんびりと本を読んでいた。そのとき、扉からノックの音が聞こえてきた。

 「修二、私だ。今大丈夫かい?」

 「あぁ、親父か。空いてるけどマスクしてくれよ」

 「わかってるよ。おっ、だいぶ良くはなったかい?」

 「おかげさまで熱は引いたよ。で、親父はどうしたんだよ。今日はずいぶん早い帰宅だね」


 我が家の親父はゲームのデザインなどの会社に就いており、つい最近まで明け方まで働いていたのだ。そのためこの時間に帰ってきていることに少し驚いていた。


 「そうだね、会社一丸で行っていた共同プロジェクトが終わったからね、しばらくはゆっくりできそうなんだよ」

 「へぇ、それはお疲れ様で。こっちは新作のゲームが買えなくてかなり後悔しているよ」

 「修二の口からゲームの話を聞くなんていつぶりなんだろうね。もしかしてOFWのことかい?」

 「そうだけど、なんで知ってるの?」

 

 俺が中学に入るころから自分の体質的な関係でゲームをあまりやらないようにしていたので、親父のように驚かれて無理がない。それもあって我が家だとあまりゲームの話はしないのだが……なんで親父がOFWとか知ってるんだろ?

 

 「なんで親父がそのゲームのこと知ってるんだよ?」

 「私の会社が今回担当していたゲームがそのOFWだったからね。……あ、これいってはいけない案件だった。」

 「え?!マジでいってんの?!」

 知らんかった。親父がOFWにかかわっていたとは思わなかった。てか、協力企業が多数とかいう噂ではあったが親父のような中小規模会社にもかかわりがあるとは。ますます謎であるなOFW。


 「まぁ、修二が言わなかったらいいか。てことで修二、この件に関してはお母さんにも黙っていてね」

 「え、なんで?確かにこのOFWの情報が全くないけど、黙秘権もあるの?」

 「んー、まぁそんなところだね。下手したらクビになると思うからよろしくね」

 「へー、……怖っ!!」


 怖すぎるだろOFW……。



 「でだ修二。そのOFWがね、今ここにあるんだがいるかい?」

 「………もうつっこみたいけどその気力がおきないんで」


 おおよその見当がつくけどもうね、情報量がいきなりかなり来ているためツッコミが追い付かないというね。

 親父が言うには完成記念で若干数ではあるけど各会社にOFWが配布されたとのこと。まぁ少ないこともあるので公平にじゃんけんでもらう人を決めた結果、親父と他数名がいただいたということ。相変わらず親父の運の強さがすごいんだが。


 「ということで、私は少しの間しかゆっくりできなさそうだから修二に上げようと思うんだが、いるかい?」

 「是非!!」




 ということで、2か月待たずして雨宮修二『Old Free World』参戦決定である。

次回からOFWへ入っていきます。

今後はOFWメインで話は進みますが、リアルもまぜながら話せるようにしていきたいです。

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