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乙女の葛藤

マロン

ビィはアレルギーのひどい子供だ。

最初は食わず嫌いかと思った。

そうなに食べて大きくなったのか?

まったく謎だ。

ビィが入学するのを知っていたのは、私がビィの兄に与えられた契約娘だったからだ。

弟には彼用の誰かが用意されていると思う。

もっとも、女たちはお互い誰それの契約の話などしない。

しないけれど、口伝で伝えられた秘術は乙女たちの秘密である。

まぁ恋の駆け引きは大切なのである。

気になったのは、小川の横ですぶぬれになってうずくまった子供を見たからだ。

どうやら川に落ちたらしい。

虐め?

三男とはいえ公爵の子供を川に落とす馬鹿がいたらしい。

「大丈夫? 溺れたの?」

声をかけると、子供はビクッと反応した。

「あ、だいじょ」

「うふ、大丈夫じゃないわ。こう言うときは助けてって言うのよ」

問答無用で抱き上げると、子供は思った以上に軽かった。

確かに畑や山に入り薬草とか取りに行くけれど、あっさり乙女の柔腕で抱き上げれてしまった軽い体。

「冷たいわ。まずはお風呂よ」

子供の抵抗をやんわり封じてお風呂に叩き込む。

周りの乙女が引いていたが、子供に恥ずかしがってもしょうがない。

が、兄と似ていると思っていたら兄が回収に来た。

まぁ出会いはそんな感じだった。

「あの子、一応10歳にはなってるのよね?」

「学校にイルからそうなんじゃ?」

ん? 10歳?

どうやら恥ずかしかったのは男の子の方らしかった。

ちょっと失敗。









良く観察してみれば、子供の偏食は有名だった。

朝昼はほぼ食べず晩ごはんが少し。

ダイエット中の乙女より食べていない。あり得ない。

そしてそれを見てしまう。

蔓が木から垂れ下がり、子供は何かの実を取って食べた。

拾い食い!

いや、野山を駆け巡り木の実や野イチゴを見つけたときは御馳走になる。

自分も昔は大喜びで食べたが、学園の街道沿いの木に実なんかあっただろうか。

良く見たら森人がかさかさしていた。

魔獣である。

深い森には森人がいる。が、学園の森に居るとは知らなかった。

「ビィ」

声をかけると子供はビクッと反応した。

「なに食べて……きのこや野草は毒を持ってるものも多いのよ?」

「カノヤ実だよ」

なんですと!

高い貴重な実の名前に目が光る。

「少し酸っぱくて僕好き。はい、あーん」

モグモグ。気がつけば手から食べていた。

は、食べてしまった。

「種」

種も確か薬になるとかで高かったはず。

ビィは種はそこらに捨てていた。

種を自分の畑に植えた。意外なことに芽を出して育っている。

カノヤ実が人の手で育つとは思わなかった。

支柱を立てて蔓を巻き付け、観察日記を記録する。

簡単に花が咲いて実が出来た。

畑は他の野菜や花や薬草もスクスク育っていた。

観察日記を提出したら単位がもらえた。

畑で増えたカノヤ実を調剤した。

薬師の単位ももらえた。

えーとなんか運がいい?

多分気のせいだ。







ビィに食べさすために料理を頑張ってみた。

試食はアルだ。

何故かアルの餌付けも出来た。

ビィは普通に獲得する耐性系スキルを持ってなくそれでも夜は食べて、朝まで具合を悪くしていた。

朝昼食べないのは、具合を悪くしているのを見せないためらしかった。

夜のお茶に、普通は大丈夫量の薬を混ぜる。

一気のみをして味が美味しいのを確かめてから、新にビィの為のお茶を入れる。

ビィは飲むと、中身を書き出し答え合わせ。

時々アルも参加した。

ビィは、本当にスライムがくるまでは残念皇子だったのだ。

スキルを持ってなくて小柄な可愛い子供だった。

でも男の子だった。時々胸を触るエロガキだ。

最初こそ気のせいかと思ったが、素早く子供を捕まえる。

ぐぇと腕のなかで声がする。

「ウフフ、ビィいけない子」

躾は大切だ。痴漢は許されない。

周りの男共が青くなる。

そうこれは凶器。触ってはいけないものだ。

柔かな膨らみのなかに埋まってもがく子供。

貴族が女の子に簡単に触ってはいけない。きっちり教えないと!

腕のなかで小さく謝る子供も可愛い。

癖になりそうだ。

は、いけない。

子供をまさぐりながら、痴女は私かもしれないとふと思う。

なにせ誘ってもアルは手を出してこない奥手。

健全な月夜のキャベツ探検に誘うぐらいだ。

なのに気がつくと別の女とデートしていた。

なんて事

しかしそれもビィが蹴散らした。

兄は突然家族愛に目覚めたのか子供をつれ歩いた。

ビィの魅了が発揮する。

優秀な人物を釣りまくる。

男って?

鼻の下を伸ばす寄ってくる男。

困ったことに将来有望なのしか寄ってこない。

何のフェロモンを振り撒いているのか。

まったく謎である。







一番は銀狼のアッシュだろう。

あれは共々アルの臭いを嗅ぐのが趣味な変態だったがそう危険でもなかったので放っといた。

男友達も必要だ。それが優秀なら尚良い。

アッシュは一番に釣れた。

そして逃げ出せたはずなのに戻ってきた馬鹿犬だ。

ビィは放し飼いで、しっかりしつけている。

なんてことだ❗ 見本がここに❗

うん。あんな綱渡りはしたくない。

無理だ。

ゴハンをあーんで、もう忠犬だ。

あれ? あーん?

最初にしつけられたのはもしかして……?

魔獣に食べ物をあげている微笑ましい光景に微笑む。

うん。ビィ、あなたの食べるものなくなっているけど?

気のせいよね?





ビィは、獣に次に人にも食べさすことを覚えた。

皿が空になれば誰が食べたか追及も何のその。

今までビィの食事は吸血で、そもそも食べるのは耐性がないことから苦手としていた。

でも人間は食事をするのだ。

食べない異物は目立つ。

しかしお菓子は気に入ってるらしくて良く食べる。

ただの偏食に見える。


スライムが学園の結界の中にいるらしいと聞いた。

どうにも小柄な可愛い子供に張り付いてはスキルを入れていく。

スキルを入れていくのは多分良いことだ。

スキル一つで生活の選択が広がる。

でもなんだろう。

見かけたスライムは、段々黒く染まっているようだった。

捕獲しても私の事を理解していない。

もしかして暴走の前兆だろうか?

主契約に失敗した個体は送り返されると教えられる。

でも本当は違う。

野生にはなれない。

スライムが戻ってきたように、野生には戻れないのだ。

小さなスライムが暴走したところで薬草畑が荒らされるぐらいだ。

あんなにビィを呼んでいる。

薬草畑が荒らされた。

そうだ。前に荒らされてビィの元に連れていったのだ。

果樹園が荒らされた。私の果物が‼

コッコが禿げた。私のコッコ牧場が‼

ディジがしおしおになっている。

⁉ ディジもスライムと繋がっている‼

馬や亜竜がピカピカになっていた。

ビィをおびき寄せるためだろう。

そしてスライムは人を捕食しだした。

それはもう討伐の対象。

「えーと? 何処が問題なんですか? 元からそんなんじゃ?」

髪を食べられた男たちが押し世せる。

「あー、ぅざい、なんなら全身剃りあげても宜しくてよ?」

ぎこちなく逃げていく姿をけっと見送りため息を一つ。

「ビィがつるっぱげ好きとか流そうかしら」

猫を脱ぎ捨てた乙女は悪態を吐きつつ、それでもビィが放置している獣に思いを寄せる。

もし自分があんな感じに放置されたら?

怖すぎる。

「ばか野郎」

雄叫びをあげる乙女をビクビクして遠巻きにする中にアルが混ざっていたのにも気がつかなかった。




ビィが桃色スライムを連れてきた。

とても焦った感じで。

今更だ。

軽くあしらった後で違和感に気がつく。

ビィが縮んでる?

あれは初めて見かけた姿だったような?

銀狼が泣いている。何処に連れ込むつもりだったのか?

謎の呪文を繰り返している。

しかし。

人間にはビィの食べ物をあーんしないように注意した。

だから。

ビィは食べ物を最近しっかり食べるようになっていた。

実はマダマダ苦痛を伴っていたのかもしれない。

スライムにモシャモシャ喜んで食べさす姿に少しだけ反省する。

スライムに食べさせてる分、後で食べさせなければ!

そう吸血で劵族を早々増やすのは避けなければならない。

「うふふ」

微笑む乙女に青くなる周りは見えなかった。

スライムのしつけが待っている!





焚き火に放り込まれるスライムに、昔と変わらぬビィを再確認できた。

ちょっとだけ焦げたスライムに優しくできそうである。


ディジもミミックも調教済み。

スライムをどうしつけようか悩む乙女は、周りがドン引きしているのは気がつかなかった。


ビィのあーんを取り合う相手は、敵なのだ。
















ビィ「兄さん、マロンが雄叫びをあげていますが」

アル「乙女も叫びたいことがあるんだ!」

ビィ「ちょっといってスキンシップしてきてください」

アル「……うぇ!?」

ビィ「でないと僕がお胸むぎゅの刑になります」

アル「……(羨ましい)」



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