馬狩りはスライムのターン
ジリジリ間合いを詰める。
ターゲットはもうすぐ。
ジリジリ
じー
ジャンプ!
逃げます。
むー?
逃げ足が早い。うん。さすが馬…
追いかけっこは得意です!
ヒャツホイ
あ
逃げられた。
青空を逃げていく白い馬。
うん。
飛行禁止もつけとくんだった。
反省。
只今の失敗。
ペガサスは翔べる。
メモメモ
次は待ち伏せです。
待ちます。
待ちます。
ペガサスは翔べる。でも空から降りてきて休憩します。
寝床は空ではないから。
だから。
待ちます。
じー
うりゃー
「ひひひん」
尻捕ったどー!
走る。
フフ、駆けるの禁止付けたので速足ぐらいしかーー
うぉ
速い
うぎゃ
フフ、慣れました。馴れました。
速度にだいぶ、多分。
いや、馬が疲れてへばっただけですけどね。
大人しくしなさい。
ペチペチ
お、いい尻です。
ジュル
は
ワタシハナニヲ?
チラッと
うおっと
涙目の馬。
ペチペチ
えへへ ちょっと味見しただけです。
ナデナデ
ぐふ
涙目の剥げ尻馬。
ますたーが好きそうです。
ええ
哀愁がいい具合です。
涙目剥斑馬。ゲットだぜ。
蹴り
アーレー。
アレ?
モシャモシャ。
失敗しました。
次いきましょう。
ケルピー。水辺にいる馬です。
水辺のスライムと水辺のケルピー。
相性は良いはずです。
パシャパシャ水場に潜んで観察です。
じー
うん。中々ワイルドな尻尾。
魚。旨そうです。
は
気がつかれました‼
まてー
ま?
うぎゃ
食われる
喰われる
…………食ってる。
スライムを食ってるよ!
水草を食べるんじゃなかったの?
えー
天敵認定です。
バリバリバリバリ
雷落としたら逃げていきました。
魚が沢山浮いてきました。
ウマウマ
いただきます。
満腹です
ん?
何してたんだっけ?
じー。なんかちびっこいのが居ます。
生まれたて馬。
「……」
親は?
ねぇ、親は?
ウォー
「うわ」
ロイは固まった。
「お前、何担いでーー!」
ロイは優秀だ。任せとこう。
丸投げとも言う。
「お前、ムイラに続き馬まで」
押し付けられた生まれたてを世話するロイに生暖かい視線が集まる。
「それはそうと、本日のスライム日記」
「!」
「ペガサスは翔べる。蹴り注意」
「蹴られたらしいな」
「ケルピーは天敵。喰われる」
「ブ」
誰かが噴いている。
「馬拾った。ロイは優秀」
「……」
「なあ、トムはやさしいって書いてみないか? ボス」
スライムに野菜スティックをつつく。
受け取ったスライムがモシャモシャ食べる。
スライムの回りには紙とペンが。
「ほーら、骨付き肉」
モシャモシャ
カキカキ
「やりっ、トムはやさしい。賄賂をくれた? おーい」
クスクス笑いが漏れる。
「ここはご飯をくれただろ」
「誰だ? 賄賂なんて単語教えたのは」
器用にペンで紙にも字を書くスライム。
本日も気の良い仲間たちです。
ーー ーー ーー ーー
「ロイは冬期間どうするんだ?」
「街の仕事探すつもりだけど」
竜の保護区は冬期は閉鎖される。と言うか人が住むには大変すぎるからだ。
スライムは凍った水場から、温泉の涌き出る側に移動して生活している。
まぁ凍ったまま春迄冬眠でも全然大丈夫だ。
「そいつ、精霊馬は独り立ちは数年かかるだろ」
「親探して見るが、閉鎖までに見つからなかったら外に連れて出るのか?」
「と言うか、ムイラの持ち出し票出したか? スライムの持ち出しは前例がないかもしれないぞ」
「ボスも連れてけと言われたよ」
「そりゃお前がいない間に、保護区制圧とかしてたらヤバイからだろう」
渡りをしない竜等、弱いです。
他の動物たち? 竜より弱いです。
ケルピーには食われかけたけど。
でも保護区はますたーのものだ。制圧とかしませんよ?
でもロイは制圧しといた方が良いかもしれない。
キラーン
ベチベチ
スライムのターン
火球
水球
凍球
え~と、後は毒針
バリバリ、ちゅどーん
ムイラのターン
ロイの後に回避
回避(人間:あちーー)
回避(人間:いでーー)
回…………。
ロイの乱入。
むんず
スライムは捕まった‼
あれー?
神ノ領域。THE鳥籠 閉じ込められた。
がびーん
ムイラがロイの背中から見ている。
むう。
猫の喧嘩に飼い主が顔を出したような?
ロイのバカ~。
「なんでロイがいれると出てこれなくなるのかな?」
「さあな」
「全く解らんな」
ガシガシ鳥籠の中で、スライムが暴れている。
ヒソヒソ話ながら、焦げた壁や水浸しの床を見回す。
「誰が掃除するねん」
とは言え、スライムを自由にする選択はない。
はぁとため息をついた。
夜中にロイの所に精霊馬の親が子馬を迎えに来た。
ムイラは震えて、ロイにくっついていた。
スライムは食堂の鳥籠の中、全く役にたたない所にいる。
世界が凍り付いている。
ブルブル
なんてモノ拾ってきたんだ! とムイラが凍えるなかで、ロイは「親が迎えに来てよかった」と安堵した。
捜しに行かなくてよかったのは、実際助かった。
がしかし、そう思ったのはロイだけで 多くは凍りついた世界に絶句した。
もっとも、スライムは我関せずでふて寝していたがーー。
季節は少しずつ替わっている。
スライムメモ
精霊馬 氷属性
繁殖の子馬を生む時期は秋。
彼等の移動に伴い、季節は冬になる。
余り暑いのは苦手なため、勝手に周りを凍らせるから。
ますたーが乗ったら凍るので乗馬には向かないと思われる。
でもますたーなら平気かもしれない。




