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鳥かご

目を覚ますと檻の中だった。

えー、よーく思い出してみよう?


見張りをしていた人間に魅了をかけて食糧ゲット。

美味しくいただきました。

御神酒も美味しくいただきました。

そうしたら人間が増殖して、人間も分裂で殖えるとは!

うえっぷ

ますたー増えないかなぁ?

うふふ

御神酒飲んでる人間がいたので、隊長が食べていたおつまみを再現してみる。

喜んだ人間に骨やら貰って、御神酒を貰って?

うん?

ドンチャン騒ぎしていたら乙女に見つかって、人間逃げ惑い

それから。

捕まって神具の中に。

誰ですか!

鳥かごなど持っていたお馬鹿は!

ウムム。

見つけたらお仕置きしなくては!


「……なぁ、あの鳥かご、何か結界でも張ってあるのか?」

「普通の鳥かごだと思うが」

目を覚ましたスライムが、何故か魚竿しながら逃げ出さないのを見ながら掃除をする男たちは首をかしげた。








スライムです。中々快適です。

ガシガシ鳥かごを揺らすと、人間がご飯を捧げてくれます。

ここは食堂の窓際なので、朝昼晩食事を食べに来た人間で溢れています。

そして貴重な食材をスライムに捧げてくれます。

ウマウマ

めしよこせーー

っても無理か。皆さん倒れてますから。

原因は、ますたーも嫌いなあの毒草。

何故か台所を覗く度に、スープやサラダに紛れ込んでいるあの葉っぱ。

…………だせー!

ガンガン

陽当たり良好な窓際の鳥かごは暑い!

みずーー!

みず!

干からびるーー

「やだ!」

お、まだ動ける人間が居たようです。

だせー

ガシガシ

「誰か! やだ! ……スライム?」

ガシガシ鳥かごを揺らすスライムに気が付く。

そして食堂を見回し「貴方がやったの?」と大変真面目な声で呟いた。

どうやらオツムが少し弱い娘らしい。

檻の中に居るのにどうやって何が出来ると?

みずーー!

「え、やだ! 干からびてきてるじゃない」

だせー

ガシガシ騒ぐと出してもらえた。

女神!

ヒャッホイ

女神は「誰かーー」と叫びながら出ていったので、誰かまだ無事な人間が居るのだろう。

取り敢えず。

チラ

死にかけて居るのから治療してみましょう。

えんりゃーとう

め、メンドイ。

あ、いや、一人づつ診ていたのでは間に合いません!

オホホ

針!

栗のイガイガや、ウニのイガイガのように針を形成。

そして針飛ばし!

プスプスといい感じに刺さります。

ふう。

「や、やっぱり」

おや。女神が戻って来てたらしい。

「やっぱり貴方が犯人!」

おや。

……冤罪だ!

生憎とスライムの言葉を理解できる人間が居なく、ほとぼりが冷めるまで今までのように逃げ回る生活に戻った。

もっともほとぼりが冷めても、こそこそつまみ食いをしているスライムが鍋に浮いているのを歓迎出来る訳もなく 楽しく追いかけっこを披露した。





「保護区から色々と報告があがって来た」

あっちふらふら、こっちふらふらとした一行が無事戻ってきて三兄弟の父親は安堵したものの、上がってくる報告書に日増しに頭痛を感じていた。

真面目な堅物が、目の前で燻製肉を片手に破顔している。

その視線の先には、モグモグと口一杯膨らませたチビ竜がいた。

はじめての竜にぞっこんなのはわかる。なにせ屋敷周辺の竜種、亜種達からは興味を持たれなかった過去があるからだ。

本能のままに竜達は、一番の強種にしか注意を向けない。

そう全ての瞳を集めた弟を前にして、感情の板挟みになっていたことも知っている。

そして、あの事故も。

「いい加減にしないと腹が破裂するぞ」

「うぇ!」

チビ竜の腹はパンパンに丸くなっている。

「……まぁ早く大きくしたいのはわかるが」

小さい個体はすぐ死んでしまう。

「きゅる?」

首をかしげた竜の可愛さ。魅了を振り撒いている。

末っ子で耐性がついているものの、目が離せなくなる。

「……保護区の施設で、食材に毒草が紛れていて一大事になるところだったらしい」

「え」

「流通経路をたどらせた結果はアウトだな。……村ひとつが全滅していた」

「村ひとつですんでるのですか?」

「まぁお前たちを狙ったのかもしれないが」

搬入が少し遅れて、いない時期に納品された結果かもしれない。

「保護区はスライムが治療して人も動物も無事だ」

「……スライムですか?」

野に放たれたスライムの事をレーガルはふと思い浮かべる。

「きゅる」

ポテポテチビ竜が歩く。

扉を見上げて待機する姿は可愛いーーが、何を待っているのかは。

カタリと隙間の空いた先には末っ子がいる。

「リリン。一緒に寝よう」

ハート目になった竜が甘える。

真名を愛称のように呼ばれ、竜が答える。

無造作に抱き上げられ、高い高いされている。竜にいきなり手を伸ばして、反撃を受けないのももう見慣れた。

「ん? 少し太った?」

クルクル喉を鳴らしていた竜は、首をかしげた。

「……にいに、一緒に寝よう?」

「え」

声をかけられた兄が固まる。

「お、おう」

そそくさと片付けを開始する。

「こら、待て」

兄と竜が一緒の動作で、父を見上げる。

竜に殺気が籠っている。

「パパも一緒に寝よう?」

竜は、ワシャワシャ撫でられて直ぐにハート目に戻った。

「え」

パパも一緒に寝よう?

パパも一緒に寝よう!

パパも一緒に……!

末っ子の声が木霊する。

でへ。

「おう、もう遅いからな」

末っ子の魅了が気のせいか竜より高い。

「~~♪」

廊下でウサギの巨大ぬいぐるみを抱えた次男と遭遇した。

何処から調達したウサギ。

末っ子が抱き付いている。

成る程。

未だにぬいぐるみで釣れるのか。

竜がウサギに対抗心を燃やしている。

そして誰も狭いとは言わない。

一番寝相が悪かったのは竜だった。

夜中に蹴り出され気がつけば巨大化した竜がベットを占領している。

「寝ぼけたか」

長男も次男も慣れたものなのか毛布を出してきている。

バギ

何か割れる音がした。

「……」

視線の先で末っ子が起き上がる。

ベットが壊れても寝ていたら流石に鈍感すぎたろう。

「リリン」

末っ子の呟きに竜が素早く反応し、目を覚ました。

「リリン、ハウス」

ガーンと盛大に肩を落としながらハウスに向かう竜。

しかし末っ子よ。

壊れたベットに寝直すのはどうかと思うぞ。

「きゅー」

ハウスの隅で黄昏る竜はそれはそれで可愛いと言うことが判った。

ハウス。それは普通の鳥かご。

何か変だった気がするが、理解出来ていない。


翌朝、庭をのしのし歩く竜がいた。

ドラドラと同じぐらいの。

「成長期か」

呟きに噎せたのは次男だった。

「……リリン、ダイエット?」

「ベットを壊したのはショックだったらしい」

「あー、あれにいにいが直してたよ」

長男は器用に何でもこなす。家具の修理も出来るらしい。

食事時、末っ子からアーンしているチビ竜がいた。

あれ? チビ竜?

庭にいたデカイ竜は?

ミシッ

テーブルが折れた。

「ご、ごめんなさいっ」

末っ子が焦っている。うむ。可愛い。

末っ子のアーンに嬉しくなりすぎた竜がでかくなったからだ。

要練習。

嬉しさの余り変化が解けるとは、可愛い。

割れたテーブルを見て黄昏る長男も可愛いと密かに思ったのは内緒だ。

そして、竜はハウスに入れられていた。

末っ子の手作り鳥かごは、竜の隔離場所らしい。




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