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乙女は複雑

現在、ピンチです。

ドロドロとか効果音を書くとそんな感じなマロンの前です。

お姉さんのお尻触ったのがばれました。

女湯覗いてたと知ったら角が生えそうです。

ウーム。

さて、何を生け贄に逃げましょう?

「いやしかし男湯に乱入してたのは彼女だし」

沢山逃げたした男たちが証言する。

まあ玄武様が仕切りを破壊して、ーー玄武様が女湯に突入した時点で女たちは湯場から避難したので女たちの姿は男たちにはみられなかったがーー服を着て戻ってきたマロンはしっかりとビィが裸のお姉さんの横で話して居たのをみられてしまった。

で。

お姉さんは眠ってしまったので援護はない。

というかあったらあったで怖い。

女のテリトリー争いは男にはさっぱりわかりません。

しかし。

目の前の乙女は素敵な笑顔。

怖いです。

その視線を贈られた証言者は息を飲んだ。

ええ、怖いです!

「ビィ、未婚の女性の肌を覗くのは言語道断よ」

「ごめんなさい」

しくしく。

「彼女が責任をとか言い出したらどうするの?」

「一緒にいた男の人が婚約者だけど?」

「……婚約者? が、あの場にいたの?」

「うん」

「婚約者のいるお風呂場に乱入したの? あの人」

うむ。マロン。恐いよ?

「ちっ」

乙女の舌打ち。ええ聞こえません!

何も聞こえないよ?

アル(兄さん )が青い顔をしている。

ポトリと何かが落ちてきた。

上をみると天井にでかい蜘蛛が張り付いていた。

まあ何時の間に家の中に?

いや周りは自然溢れすぎな環境なので、蜘蛛が出てもおかしくないですよ?

しかしサイズが少し問題です。

よく室内に入れたね?

因みにサイズ比較するとマロンの身長より大きいです。

幾らなんでも見つかれば追い出さらるのでしょうか?

エルフは共生しているのかもしれませんから気にしません。

が、マロンが見つけたら悲鳴のひとつもあげるでしょう。

何も見てないよ!

うん。マロンの視線は頭に固定。

「いっ」

ーーい?

「いやあぁぁーー!」

バチンと平手が飛んできた。

星が飛ぶ。うん。きらきら!

「あれを消して!」

うん。あれ?

頭から転がり落ちたあれがカサカサ逃げる。

「ゴキチャン」

「あれはいちゃダメなの!」

マロン。ずっと野をこえ山をこえ野宿連続したのに、あれはまだダメなのか。

錯乱っぽいマロンは可愛い……よね?











「あれを消して」

それがきっかけだったのだろう。

何か叫んだ。

気がつけばビィの瞳が金色になる。

カサカサあれが逃げる。

しまった! そう金の瞳を見た瞬間理解した。

ビィに力を使わせてはいけない。

安易に願いをしてはいけない。

むきゅっと、ビィを抱き寄せる。

「ごめんなさい。違うの」

その前からイラッとしていた。

でも口にしていい言葉としてはいけない言葉がある。

「あれが居ちゃいけないのは私の寝てる部屋と台所とお風呂場と……ええと」

グリグリしていると、ビィがじたばたしている。

「ビィ?」

「息出来ないんじゃ?」

アルが少しぎこちなく言う。

腕を離すと、ビィはケホケホして深呼吸する。

顔をあげると目の色はもう戻っていた。

「兄さん、あれは凶器です」

「狂喜だな」

「……漫才しているの?」

兄弟はフルフル同じ動作をする。

「は! あれは?」

きょろりと見回せば、スモモがポリポリしていた。

「……」

「…………」

「逃げたのかしら? まあ良いわ」

兄弟は神妙に視線を泳がしている。

「ウフフ。スモモ拾い食いしては駄目よ?」

隙をみてビィが逃げ出した。

首根っこを捕獲されたスモモがプランとぶら下がる。

「スーーモーーモーー?」

青くなったスモモが揺れる。

「所でよく途中で正気に戻ったな」

「あたし錯乱した?」

「いやビィが」

そりゃ息が出来ない状況で魔法を使っている場合ではないだろう。

「狂気をあれに向けている場合じゃないわ」

「……まあ途中で止めて良かったと思うぞ?」

アルはチラリと天井をみる。

「ビィの思考は変だからな、小さいから家の中に入って来るなら入れない大きさにしちゃえ、エイ!とかなりそうだ」

ピクリとマロンが固まる。

「よーく考えてみろ。でかい生き物大好きだろ? あいつ」

マロンがギギギと首を動かす。

「竜に玄武に、なついたディジーは特大。蜘蛛も捧げ物持って来たな」

アワアワした顔にアルはニヤリとした。

「イチメートルサイズのアレがカサカサしていたら嫌でも気がつくからすぐ退治。家の中には早々ーー」

パタリ。マロンは倒れた。

「ありゃ」

あれに関して、乙女は打たれ弱かった。










「ビィが何処にも居ないのだが」

レーガルが探しに来た。アルがびくりと反応する。

「……アル?」

アルはポーカーフェイスがこのときばかりは欲しいと本当に思った。

あの後マロンにかまけて、ビィへの注意を弱くしてしまった。

気がついた時には範囲外にまで抜け出してしまったのだ。

「ご、ごめん」

レーガルが生暖かい目を向ける。

「あら、ビィならあの子が知っているわよ?」

マロンは優雅にティカップを置く。

「あの子?」

天井に指差され、レーガルは固まる。

「何時から蜘蛛も従えたのだ?」

「ここの子?だと思うわよ。最初からいたし」

細い糸を指差す。

「これがビィに繋がっているから迷子にはならないわよ?」

マロンは結構適当である。

それにーー。

蜘蛛は自分より大きくても平気らしい。

タラリ。

部屋の隅で、スモモが蜘蛛の巣に絡まっていたけれど見なかった事にした。

「それはそうもと大きくするだけじゃなく小さくした場合も考えるべきだな」

レーガルはキョトンとした二人をみながら口の端をあげる。

「目に入らないサイズに小さくされたら?」

マロンが青くなる。

「目につく小さい虫よりもっと小さくだ」

アルはため息をついた。

「目につかないサイズのあれが」

マロンの脳裏で目につかないサイズになったあれがワサワサしているイメージが出来上がる。

「は! そういえば逃げたあれ消えちゃったわ」

正確にはスモモの腹のなかにおさまったのだが。

「ビィに確認しなきゃ」

バタバタと大慌てで駆けていく後ろ姿を見送り、スモモをひっぺがす。

「拾い食いしたお仕置きか?」

スモモはけしけし毛並みに残った糸を掻いている。

「で、本当の所ビィは?」

「その辺グルグルしている」

「なんだ、村の探険に出てたのか?」

「さあ? 飽きたら帰ってくるだろ。あれもおとなしいし」

蜘蛛はのほほんとしている。

「……確かに何かあったら大騒ぎになっているな」

しかし玄武様が彷徨いているので、何かあるわけないだろう。








ビィはふらふら帰ってきた。

「ビィ、散歩か?」

「どんだけ歩いたんだ?」

ビィはレーガルの膝にダイブした。

「もうだめ。エルフのお兄さんと剪定もうやだ」

「エルフのお兄さん?」

「誰だそれ」

うとうとしだすビィをなだめながら話を聞く。


落ちていた短剣をぶんと振ったら、森の木がスパンと斜めに切り開かれた。

どうやら剪定が発動したらしい。

焦ったら、エルフのお兄さんに引きずられて周りの木々の剪定につれ回されたらしい。

「ビィ、知らないお兄さんについていったらダメだと言っただろう」

「はい」

しゅんとしたビィを腕のなかにレーガルはもふもふ堪能していた。

ビィが寝てしまうとそのまま抱き上げる。

「ちょっと待て」

アルが騒ぐ。

「何処へいく」

「部屋だが」

「……ウググ」

ビィがレーガルの膝に乗ってしまった時点で、文句を言う資格はない。

そのまま見逃すのは困る。

「なんだ、お前も来るのか?」

「! いく!」

どうにか二人っきりを回避したアルがいた。









「蜘蛛。ビィは……?」

廊下で蜘蛛がワタワタしている。

マロンに睨まれて、平気でいられる獣はそういない。

「レーガル様が一緒にいるの?」

一応ちゃんと見張りをしていた蜘蛛である。

「……二人っきり?」

黄昏るマロンを見送り、蜘蛛は?マークを出すのであった。

いくらマロンでもレーガルの寝床に乱入する度胸はなかった。




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