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虹の向こう

ふんわか、ふんわか、

羽根がないはずなのに空を飛べています。

選別の門をくぐり抜け、もっと高いところへ。

中を覗くと、きれいなお姉さんがいます。

ちょっと聞いて見ましょう。

ますたー知りませんか?

「うわっ、ちょっと魂が逃げて来ているわよ!」

網を持ったお嬢さんが増えました。

ディジーが、そんな網では捕まりませんよ?

ひょい、ひょい、ひょい

ねぇますたー知りませんか?

「知らんわ! 待っていればそのうちくるのではないか?」

待っている? いえ、ますたーは飛んで来れないので無理です。

ますたー

「うるさい、従魔が何故こんなところまでーー」

腹に刺さっていた棒が、消え去りました。

「お前」

うん。ますたーの力が送られて来てます。

少し、お話ししましょう。

ますたー知りませんか?

「仕えた主の事など忘れ、新たな主をーーきゃ」

シャキーン

ますたーを忘れる事などあり得ません!

「フィリア様、何してらっしゃるのですか」

ディジーと遊んでいる姿に多少怪訝な顔をした娘が声をかけました。

「遊んでいる」

「はあ、楽しいですか? 触手」

うねうね

「中々癖になりそうだぞ?」

「はあ、スキンシップ不足ですか? 男でも作ってみては?」

「あは、……これが居れば下手な男等要らぬかもーーっ」

きゃしゃーん

凝ってますね。マッサージ、マッサージ

「まあ楽しいならいいですけど、私呼ばれたので出掛けてきます」

「! おい、何処に!」

うねうね

「こら! 地上に行くなら一緒に連れていけーー!」

地上?

ますたーいるところ?

「んあ? ああ、そうだな。地上だ。……行くか?」

……ますたー?

ますたーが呼んでいる。

光る。

「お前、呼ばれた? お前の主が呼んだ? お前の主はーー!」

喚ばれる!

ますたーが呼んでいる!

帰るの! 帰るの!

「暴れるな」

ガシッと鷲掴みにされ、気がつけば小さくされています。

「帰るのだろう。ならおとなしくしておれ」

喚ばれる光の筋が辺りを包み、地上に降りて行きます。

うん。

この光の先にますたーが居ます。

そして、なんで(ディジー )があるのですか?

私はここ……?

あれ?

パシッ

弾かれます。

パシッ、パシッ、

むぎゃ、体に入れません!

「ディジーうるさい」

うお、さっきまで女神様だったのに、イケメン皇子になってますが?

「ほう、イケメンか?」

うんうん! でもますたーの方が可愛いの!

「ビィの光が強くて弱い魂は消し飛んでしまうぞ? お前はまだ主の側にいたいのだな?」

ますたーの側にいるのは普通の事なの!

側にいるの!

ますたーが泣くの!

「は、では契約をーーおわっ」

引っ張られる。

ますたー?

あい、捕獲します!

逃がしません。

この女神が知っています。

肉体への戻り方。しっかり覚えます!

ますたー?

イケメン女神に、おねだり攻撃。

なるほど。

ますたーは、最強です。

ますたー大好き!


☆ ☆ ☆


神と取引は軽々しくしてはいけない。

ソレは身をもって体験したこと。

ビィは、水面に映る赤目に目を細めた。

取引は対価が必要になる。

神は人間の愚かさにつけこみ、対価を奪って行く。

それと気づかずに莫大な対価を支払い人は自滅していく。

だから。

おねだりしている。

甘えてみる。

なんとかなった。

ディジーも契約をしたりしていないはず。

後ろでディジーは働いている。マロンがこきつかっている。

八つ当たりに近い。

「ビィ、おはよう! この銀の糸何に加工するの?」

「ええと、女神様に献上?」

「……そうね、取り立てがくるまえに支払いしなきゃね」

「でも造る時間が」

ため息。

「まあ、それはそうと、中身はどうするの?」

「中身? 蜘蛛の卵でも入ってた?」

「……あれよ」

縛られた人間をマロンが指差す。

「…………好みじゃない」

「一刀両断ねぇ、」

「彼女はあんな不細工は要らないと」

「ぷっ、確かにあんなの献上されても困るわ。……彼女?」

「ええ、やさしい人ですね。ディジーも欠けてくるかと思ったのに完璧な状態で連れてきて下さって」

「イケメンだったのでは」

「あの姿は僕の十年後らしいです」

「……ビィ」

抱きついてきたマロンとの間にスライムが飛び込み……。

「邪魔よ、スライム! 唾つけるんだから!」

「兄上が見てますが」

「うえ?」

レーガルと視線が合いマロンが真っ赤になる。

「……マロンの初恋はやはりレーガル兄上?」

「ななな、何を言ってっ」

「レーガル兄上と比較したらアル兄はねぇ」

スライムまでうんうん頷いている。

「アルも良いところたくさんあるわよ?」

「え、だってデートに僕も連れてきて膝抱っこして彼女に呆れられて振られたんですよ?」

「違うわよ! あれは貴方が側にいてスキル解除するのが目的だったでしょ? 貴方を独り占めするためじゃなくて」

「そうなんですか? 兄上」

マロンを後ろから抱き寄せる腕。

「マロン、当分ビィに近寄るな」

静かなアルの声。

「嫌よ。ビィ独り占めするつもり?」

「今のビィはダメなんだよ」

「……私は錵よ? ビィを鎮める為ならーーむぎゃ」

バチーン

「行きなり乳揉むってどういう事!」

「ご、ごめんなさいっ」

「僕も踏んでも良い?」

じゃれる二人にビィはにこにこしながら聞く。

「これ、バカップルのイチャイチャの邪魔をしてはいけないよ」

ひょいとレーガルがビィを抱き上げる。

「バカップル?」

「そう、お花咲いてるカップル」

「兄上は結婚どうするのですか?」

「うん? そうだな。竜に乗れれば特に条件はないのだが」

クスクス笑う。貴族の娘で竜に乗れる娘など見つからないだろう。

「ドラドラを撫でれて可愛いければ」

中々の難題を上げている。

「母上以外にそんな女性いるのですか?」

「父が見つけたくらいだから居ると思うよ」

確かに。あの父が見つけて結婚できているのだから。

「ところで兄上、僕が料理するとフィリア様の所に逝ける料理になるのですが、どうしたらいいですか?」

「は?」

「さっきお湯を沸かしたら、お湯がフィリア様の所に逝けるお湯になりました」

気がついて、スライム投入。

スライムは涙目で、アップアップしていた。

「落ち着くまで料理禁止」

「……っ」

メラリ。

肩でうとうとしていたスライムが仄かに赤く染まります。

ビィの瞳が金色になっているのに気が付き、レーガルがはっとした瞬間スライムが焔を吐いた。

「あ」

兄上が焦げた。

スライムは焦り、レーガルの上でヒールをする。

何故かひどく可笑しい。

「スライム、こっちの回復の方が効くよ」

広範囲回復。

スライムがパチクリしている。

「おいで」

すりすり甘えるスライムにビィは目を細めた。

「はい! ファイア」

見事、炎を使ったスライムだったが飛んできたソールにしばかれた。

爆発に近い大穴と響いた音で、さすがに知らん顔している場合ではなかったからだ。

「うわーん、ごめんなさい」

すっかりもとに戻ったビィが、泣きべそをかいている横でホッとする一同がいた。

流石は隊長である。



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