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赤目の呪い

ディジーは獣道を行進していた。

行ける所が増えている。

増える。

と言う事で、縄張りの確認です。

む。豺。ますたーが見たら大喜びで飛んで行きそうです。

お。角兎。ますたー兎のシチュー大好きです。

あ、コッコ。メモメモ。

おっと、鹿です。ジー。肉の加工改良に取り組みましょう。

狼。ジー、良い毛並みです。ますたーには内緒ですね。

豺と一緒で、大喜びでペチペチしそうです。

むぅ。みんなライバルです。

ますたーには秘密にしないと捨てられてしまいます。

お。

トレント。たぶん遠い親戚かもしれません。

挨拶! シャキーン。

実をどうぞ。時々遊びに来ます。

と言うか、枝下さい。

ますたーが喜びそうです。

ペコペコ。

ますたーが見たらどう反応するのでしょう?

木登りして遊ぶでしょうか?

枝で何か作るかも知れないです。

ますたーは時々変な加工して遊ぶので、素材は沢山必要です。

おや、鳥です。

ますたーが調教した鳥の子供です。

ジー。

この羽根。素材になるでしょうか?

でもなんか怪我しているみたいなんですけど?

狼ですか? 豺ですか?

や!

ややや!

矢です!

矢が飛んできました!

敵です!

ますたーの鳥を勝手に猟することは禁止ですよ!

シャキーン

人間!

キラン

簀巻き!

簀巻き、簀巻きーー。

あれ?

棒が生えました。

む。

あ、ますたーが言ってました。

人間には気をつけないと。

そうでした。

鳥の子供、逃げるのです。

人間には近づいてはダメなのです。

ますたー

あ、ますたーとの繋がり。

今ならわかります。

最初の遭遇の時に簀巻きにしました。

そうです。あの時にマーキングしたのです。

ますたー。

大好き……。



☆ ☆ ☆


「なんだよ。こいつ」

「ディジーだ。こんなに大きくなるんだな」

「て言うか、簀巻きになるなよ」

短剣でディジーの蔓を伐りにかかる。

「ち、硬いな」

さわさわと風が通り抜ける。

「おい」

木々に紛れてトレントがカサカサと枝をぶつける。

「さっき、アレ居たか?」

「気がつかなかったが……おい」

狼が見え隠れする。

「なんで豺と混じっているんだ」

「知るか、逃げるぞ」

「!」

背後に、鹿や猪、兎やコッコがみっちりと居た。

「ーーなんで」

倒れたディジーの側に、子供が居た。

「ディジー」

子供の肩から落ちたスライムが、あっという間に槍を消化して傷にへばりつく。

ピカピカ光り、耀く。

そっと子供の手がディジーを撫でる。

「……ここは閉鎖地だよ。なんで居るの?」

閉鎖地、私有地だが利用されてない土地の事だ。

一応土地の回りに立ち入り禁止の看板がたてられているが、人里から離れた奥地の場合迂回せずに通り路に使われることも多い。

「ここで狩りをしたね」

子供と視線があい、彼等は息を飲んだ。

赤目。

覚醒者の印。

それを間近で対面した威圧を受ける。

「僕のディジーを傷つけたね」

ヒューンと空から黒い物体が降ってくる。

「!」

キシャー

いーとーまきまきー

いーとーまきまきー

「大蜘蛛!」

叫び声は蜘蛛玉によってかき消える。

蜘蛛は丸くなった糸玉を主へと捧げる。

「……お前」

すりすり

蜘蛛は暫く甘えたあと、のしのし歩いて見えなくなった。

「お前たち、もうお帰り」

わらわらと散って行く陰を感じながらディジーに触れる。

「ディジー」

スライムの光がよりいっそう辺りを包む。

光がおさまった後は、何時もの深い森の囁きしかなかった。


☆ ☆ ☆


「ビィが消えたわ!」

マロンが錯乱している。

「転移覚えたらしいからな」

「あああ、あのバカタレ」

のんびり返すアルを詰め寄る。が、スライムが転移覚えても特に問題はないと笑ったのはマロンだ。

ビィは心配していた。とてもーー。

「あああ、もう!」

「騎鳥が普通だ。ビィが大変なときはあれらの反応も変わるはずなんだが」

「……石像になったみたいだけど、さっきからピクリともしないわよ?」

「…………」

馬も固まったようにチラリとも動かない。

「……スモモは?」

「ここにいるわ」

胸元をくいっと引っ張れば、プルプルと震えた毛玉が張り付いている。

「マロン。いきなり胸を晒すのはやめなさい」

「……しばくわよ?」

絶好調に漫才を繰り広げていたら背後で光りが走る。

「あ」

どーんと振り返った先にあったのは、大きな糸玉だった。

「やだ、ビィ!」

フワリと何かが通り抜ける。

「……な、に」

「観るな。魂を持っていかれる」

実体をもたない生き物。妖しい美女がフワリとビィの回りを飛び交う。

あれは視えていない物。

実際見える人は少ない筈だ。

見えない態度をとらないと、やばい。

が、ビィに抱きついて居るのですが見えないふりをしろと?

癒しの風が吹く。

「怪我した?」

「いや、ビィではないな」

次に降りてきたのは光の柱だ。

良く視ると、光の回りに、美女がオンパレードで飛び交っていた。

その1つと目が合う。

ヤバイ。そう感じた瞬間、アルが抱き寄せた。

「君は僕の話を聞いているよね?」

む。こんなときになにを?

強制的に視線がアルに向けられる。

む。視界がアルで埋められる。

「むが」

バチーン

平手は、クリーンヒットした。

「あら?」

手形がアルの頬についた。

「お前たち、愉快な夫婦漫才か?」

レーガル様は優雅に歩いてくる。いや、その回りをふわふわ美女が飛んでいますが、見事な無視です。

「ひどいのです! アル様がいきなりチューを」

「発情期か? アル」

「若い雄は何時でも発情してますが!」

「機能不全かと思ってたが違うんだ?」

「なんですか? 機能不全て?」

視界の端の光の柱を、ゆっくりと降りてくる別の存在。

その肩にディジーが、停まっている。

「……マロン。胸が大きくなったか?」

「?!」

レーガルの視線から逃げるようにスモモの入った胸を腕で隠そうと動く。

「レレレ、レーガル様」

「……胸はともかくもう少し尻が」

バチーン

「いってぇー」

フフン! アルのバカタレ

「確かにもう少し……」

さわさわ。

「!」

レレレ、レーガル様が、尻を触った!

「あら?」

振り向いた先に板のは、鳥の子供だった。

つぶらな瞳。可愛い

「……レーガル様」

さわさわ。

「うん?」

「アルも人の尻を触らないで下さい」

「尻で釣れなかったら、胸を揉むしか」

「は?」

何を釣るのだ?

「あーにーうーえー」

釣れた!

「マロンの尻を触っても良いのはスモモだけですよ」

なんか違う!

「スモモが胸を占領している 」

「ビィ」

振り向いた先のビィは、何かと重なって見えた。

それは一瞬。視間違えだ。

「その鳥、お世話おねがい」

うお! おねだりが来た!

「合点承知!」

「アッシュ、糸玉解して?」

アッシュは少し離れた物陰にいた。

「それから兄上、抱っこ」

レーガルに抱っこされて連れていかれるのを見送り、蜘蛛玉を見上げる。

「アッシュ、中に人がいる」

「ミッションは蜘蛛玉からの救出実地研修」

「……嫌すぎるわ」

失敗は、中身が死んでしまう。

「……代価に何を捧げた」

アッシュの呟きに、チラリとビィを視る。

玉の中身がまだ生きている。

「ビィ」

直ぐにビィの側にいたい。

でも、アッシュ一人でこの解体は無理だ。

それに中身は何かを知っているだろう。

マロンは自分のテントに走る。

蜘蛛玉を解す薬品に道具。全て取りに行かねばならない。




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