表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/87

パーティは甘く

「夏休みどうする?」

兄上は不安そうに聞いてきた。8月9月と学園は丸っと休みになるが、その間に補習を受ける生徒も多い。

「僕ですか? 二ヶ月丸っと秘境巡りますが」

アッシュが横で紅茶を吹いた。

「秘境? パーティで? 誰と!」

「スライムの生息地見たいので」

「それ、戻すのか」

それとはスライムだ。ビィのカップに半分落ちかけながら器用につまみ食いをしている。

「そう仲間の側へと言うことで、ディジーもダンジョンに戻ってね?」

鉢植えにのほほんと植わっていた球根はしんなり萎れる。

それを見ると少しかわいそうになる。

「だめだめ、ウィンディーネの湖回って紅石の谷通って、それから雷獣の里見て火の山の聖霊竜撫でて、温泉浸かってスライムの生息地覗いて最後に宝石の渓谷見てくるんだから。お前燃えちゃうでしょ?」

「「「ちょっと待て!」」」

ハモったよ?

「あら、それ調査隊に採用されたの?」

マロンがマフィンを頬張る。

「でもあれって年齢制限なかった?」

「うん。だから兄上は夏休み中はお家に居てね」

「ちょっと待て!」

「そう調査隊」

煩い兄上は無視してビィはニッコリ微笑んだ。


☆ ☆ ☆


ヴィンセント(ビィ)は三男だ。比較的自由に育てられた。

五つ年上のアルシオン。高等科二年生。

アルシオンより更に三つ年上の長男のレーガルは二十歳。彼は既に父親の元でバリバリ使われていた。

「あれは何処か抜けている」

書類を前に、レーガルはため息を付いた。

「応募理由、聖霊竜を撫でたい? いつからそんな野望を?」

「そんなに真剣に何を思案しているのだ?」

固まったレーガルに声をかけた父に、無言のまま書類を差し出す。

「写真がビィだが」

「そこは間違えたと」

「アルは外交が組まれていたはずだが」

「連絡はしてありましたが、ビィには今年は自由にして良いと」

「アルが聖霊竜を従獣に頑張る気になったとはーー」

一人前扱いされたくば竜ぐらい使役してみろが家訓の一つだ。

「で、お前は聖霊竜はあきらめたのか?」

レーガルは渋い顔をした。


☆ ☆ ☆


ディジーはふと目を覚まし光苔が照らす足元を見た。

小さな芽が揺れている。

気になる匂いは直ぐ現れた。

何か変なのが、小さな芽を追いかけ回している。

足が遅い。

人間が自分の階層まで降りて来るのは珍しい。

じっと観察していると、あっという間に芽を捕まえている。

なにか蔓に絡まった。さっきの変なのだ。

見ると、蔓を食べている。

「?!」

振りほどけない。

気がついたら人間と目が合った。

人は怖い。

怖い。

簡単に捕まえた。人間ってこんなのだった?かと思った時、松明が転がった。

燃える。

小さな芽がきゃーきゃー逃げ回っている。

いや。

根が燃えている!

ワタワタ

アタフタ

ドタバタ

アワアワ

目を回した。

気が付くと、人間は居なかった。

匂いは暗い外に続いている。

通路は狭く、ザクザク歩いていると別の人間がいた。

逃げて行った。

あれは違う。

いた。

人間は普通にそっと触れた。

「お前大きいから通路塞いじゃうよ?」

どうやら大きいのは怖いらしい。

うむ。良い匂いだ。

追跡

追跡

プレゼント

追跡

変なのと追いかけっこ。

追跡

先回り

外に出た。

どどーん。

人間の肩でシュタッとアピール。

うん? なにアピールしているんだっけ?

狐が威嚇してーー火を吹いた。

アチチ

アチアチチチ

必死に逃げたら、怒られた。

何か踏んづけて回ったらしい。


留守番はお手のものだ。

鉢植えに刺さって、ぼんやりしていると良い。

ドアが開く。

お帰り?

人間だ。でも誰?

シュルリ

ドタバタ

ガンがらどどーん。

明るくなる

「ディジー」

おや?

お部屋がでんでろりん?

おかしい


その後に「ダンジョンに戻ってね」と言われてしまった。

しくしく

しくしく

スライムがちょっとだけ優しかった。

しくしく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ