第68話:白き嵐の最終襲撃(第23章・第2部)
ファランは近接戦で迎えた。
大きな力場構造を使えないため、拳と前腕の周囲へ小型輪を形成した。
ナイフを受け、肘を仮面へ打ち、回転し、アレイラに届かせないため背中へ警棒の一撃を受けた。
アレイラは、皮膚の近くへ《憤怒》を保ったまま無効化領域で戦った。一人のケーブルをつかみ、手前へ引き、胸当てを打った。
二人目が背後から腕を首へ巻いた。
彼女は体重を落とし、肩越しに投げ、手首に取りつけられた走査装置を壊した。標識装置が腕を開いた。
戦闘の残留を十分に吸収していた。その上に白い光線が形成された。
「破壊するな」と捕虜の工作員が警告した。「監房が連結されている」
アレイラは周囲を見た。
すべての捕虜の下を霜の線が走っていた。
工作員たちは、自分たちの仲間を爆発回路の一部にしていた。
「錨として置き去りにされたんだ」とファランが言った。怒りで声が荒くなった。
捕虜たちは驚いていなかった。
その落ち着きは勇気ではなかった。慣れだった。
各工作員は、捕らえられる前から標識装置へつながる監房に配置されていた。扉は解放のためではなく、身体を囲む回路を完成させるために開いた。
霜の線は拘束枠を上り、彼らの心臓の下で止まっていた。
ファランは一人の攻撃者を壁へ叩き込み、顎を腫らした捕虜を見た。
「回路が作動するまで、どれくらいだ?」男はファランではなく標識装置を見た。
「共鳴一致を待っている」
「アレイラの」
彼は答えなかった。
仮面の工作員が最寄りの開いた監房へ走り、制御杭を床へ突き刺した。
捕虜の下の霜線が明るくなった。
アレイラは攻撃者の手首をつかんだ。
《憤怒》が皮膚の近くで燃え、標識へ広い波を放たずに杭を柔らかくするだけの熱を出した。
彼女は武器をひねり取って、工作員の仮面を打った。
捕虜は、自分を殺すはずだった装置を彼女が停止させるのを見た。
「これが計画の一部だと知っていたのね」とアレイラは言った。
「回収が保証されていないことは知っていた」
「同じ答えではない」
無効化領域が深まった。
アレイラの聖流を圧力が締めつけ、呼吸が痛んだ。
標識装置の白い光線は中央廊下の上で広がり、すべての監房を硬い光で染めた。ファランは捕虜たちの拘束点の周囲へ小型盾を形成した。
領域に抑制され、盾が明滅した。
「全部は保てない」と彼は言った。三人の工作員が同時に襲った。
一人が警棒で上を打ち、一人が低く斬り、三人目がアレイラの護符へケーブルを発射した。ファランは自分の盾を壊してケーブルを捕らえ、監房回路を半秒だけ露出させた。
霜線が膨れ上がった。
顎を腫らした捕虜は歯を食いしばったが、叫ばなかった。
アレイラは線へ手を置いた。
《均衡》は接続を感じ取れた。
だが無効化領域のため、きれいに分離できなかった。
この機構は、彼女が力を使いすぎるか、捕虜を死なせるかのどちらかを選ぶという前提で作られていた。彼女は両方を拒んだ。
監房階の外では、アカデミーが星座を生かし続けるために戦っていた。
ホワイトアウトから氷結弾が飛ぶ中、ジャンプリートとメリザンドが上階段へ結界を張った。ジャスミンは石の中へ温かさの糸を通した。
通常通信が失敗した場所で、ベネディクトはその糸を使い時刻信号を送った。内部のアレイラは、手のひらの下に最もかすかな応答だけを感じた。
攻撃中の工作員が気づき、無効化錨を壁へ打ち込んだ。温かな糸が消えた。
雑音からキャサリンの声が消えた。
天井の通風口を通るシーラの矢も止まった。
監房は、アレイラ、ファラン、標識装置、捕虜、六人の活動中工作員だけを閉じ込めた白い箱となった。
ライムはまだ現れていなかった。
その不在は、領域が二人を十分に弱らせるのを待っているという意味だった。
ファランは監房間の狭い空間で戦った。
鉄格子を力場線の転換点として使い、警棒を壁へ、ケーブルを空の扉へ逸らした。先ほど受けた打撃の場所で、制服の背中が血に濃くなっていた。
一人が彼を突破し、顎を腫らした捕虜の横にある拘束制御へ手を伸ばした。先に動いたのは捕虜だった。
手錠をされた手で、工作員の袖をつかんだ。傷つけられるほど強い攻撃ではない。
制御を一秒遅らせただけだった。ファランはその一秒で打った。 工作員が倒れた。
捕虜は袖を放し、手を膝へ戻した。
「なぜ止めたの?」とアレイラが尋ねた。
「順番の時機を誤った」
その答えは、ほかの何かを認めずに済むよう彼を守った。
アレイラはそれでも理解した。
彼女は霜の線を調べた。
標識装置から各監房へ直接走ってはいなかった。
すべての接続が、無効化領域の最も強い中央扉の下の細い通路を通っていた。もし伝言がその通路を通って外へ出られるなら、力も戻ってこられる。
外の誰かに、一つの脈動を聞いてもらう必要があった。
アレイラは呼吸を落とし、ジャスミンが石に残した温かな記憶へ、《歓喜》の最も弱い断片を触れさせた。
最初の脈動は失敗した。
扉を越える前に、無効化領域が平らに潰した。二度目はより遠くまで進んだ。
敷居の下に黄金の火花が現れ、消えた。
一人の工作員が気づいた。氷結銃をアレイラへ向けた。
ファランが二人の間へ立った。
弾が小型防具へ当たり、彼を片膝へ落とした。
「もう一度」と彼は言った。
アレイラは三度目の脈動を送った。
強くではなく、アカデミー暖房系の普通のリズムへ形を変えて。
無効化領域は半回の鼓動だけ、それを無視した。
向こう側から温かさが答えた。ジャスミンが聞いたのだ。
攻撃中の工作員たちは通路を切断しようとした。
二人が杭を床へ向けた。
ファランが一本を捕らえた。
顎を腫らした捕虜が監房内から二本目を蹴り飛ばした。今度は、どんな説明もその選択を隠せなかった。
ほかの捕虜たちが彼を見た。彼は標識装置を見て言った。
「回路は、進んで静止することを前提に調整されている。動けば負荷が変わる」
アレイラは理解した。
「全員、奥の壁から離れて」誰も動かなかった。
命令したのは敵の王女だった。
すると顎を腫らした捕虜が、片足を前へ滑らせた。
隣の監房の女性が続いた。
別の工作員が拘束枠から身体を離した。一人ずつ、捕虜たちが位置を変えた。
霜の線が明滅した。
標識装置は補正するため、より多くの力を無効化領域へ回し、犠牲回路への力を減らした。
扉の下の温かな糸が明るくなった。
ファランは活動中の工作員たちを近づけさせず、アレイラは脈動を外のエンクレイヴへつなぐ準備をした。
上で待つジャンプリートの結界、その背後にあるベネディクトの型、監房への道を探す十四の異なる力を感じた。
捕らえられた工作員たちは反乱したのではない。
命令どおり死を受け入れることになるとき、一歩だけ動いた。
機構が機能できるのは、内部の全員が同じ結論を受け入れるよう訓練されていたからだった。彼らの任務は犠牲を当然としていた。
アレイラは《均衡》を掲げた。




