第55話:崩壊する学園と黄金の道(第19章・第1部)
床は壊れなかった。
自分がどこへ属するのかを、忘れた。
一瞬前、アレイラはオーロラの鍵の部屋へ立っていた。次の瞬間、重力が横向きになり、円形の部屋はあり得ない区画へ展開した。
障壁が壁になった。
壁が開けた空になった。
中央尖塔は彼女の下、上、そして百の回転する表面に映る姿の中へ、同時に現れた。
工作員たちは、アカデミーの結界網を空間崩壊へ追い込んだ。
アレイラは、浮遊する机で満たされた廊下を落ちた。存在するはずのない別の方向から、ファランが手を伸ばす。
指先は、数インチ届かなかった。
金色の障壁が、動く窓のように二人の間を通り、ロニンと仮面の工作員二人を暗闇へ運んだ。
「ファラン!」
彼女の声は、六つの違う場所から返ってきた。
歪みの中心でオーロラの鍵が脈動し、一拍ごとに周囲のアカデミーを組み替えた。
現場指揮官ライムと残る工作員は、選んだ方向へ身体を固定する黒い錨帯をつけていた。混乱そのものが練習済みの経路であるかのように、垂直の壁を走った。
「走査陣形を維持」ライムは命じた。
「分断による損失は無視しろ」
一人の仲間が折り畳まれる階段へ落ち、消えても、工作員たちはためらわなかった。
アレイラは身体全体へ均衡を広げた。その力でアカデミー全体を戻すことはできない。だが、自分にとって、どの方向が真実かを教えることはできた。
一本の金色の線が足元へ現れた。
そこへ着地した。
線は崩壊を通る道になった。
「エンクレイヴ!」彼女は叫んだ。
「私の光を追って!」
あり得ない空間の各所で、十四の答えが燃え上がった。
遠くの塔の破片を、キャサリンの風が回った。閉じかける廊下を、ヴィットリオの銀色の剣気が切った。閉じ込められた生徒の集団とともに、エタナの治癒光が動いている。シーラの金赤色の矢は、空中へ一時
的な足場を作った。
最後に、ファランの力の格子が現れた。
安堵があまりにも強くアレイラを打ち、ほとんど集中が壊れかけた。
彼は生きている。
回転する橋の破片の裏側へしがみつき、二人の工作員が近づいていた。
アレイラは金色の道を走り、開けた空間を跳び、憤怒をまとった肩で最初の工作員を打った。ファランが二人目の足を払った。
二人は一緒に、回転して離れる前に橋の破片を掴んだ。
「大丈夫ですか?」
彼が尋ねた。
「いいえ」
アレイラは正直に言った。
「あなたは?」
「私も駄目です」
二人は息を切らし、怯えた笑いを一つ共有した。
その時、橋が割れた。
反対方向へ跳び、アレイラの線の上で再び合流した。
ひび割れた通信水晶から、ベネディクトの声が聞こえた。
「鍵の部屋が崩壊の中心として使われています。工作員は、空間の混乱で脱出経路を隠すつもりです」
「結界を戻せる?」アレイラが尋ねた。
強い雑音越しに、ジャンプリートが答えた。
「霜網が繋がっている間は無理です。基礎へ設置された節点を停止させる必要があります」
「いくつ?」
「少なくとも九つ」
アレイラは、砕かれた校内を見渡した。生徒と教官が、重なり合う部屋の中へ散らばっている。工作員たちは混乱を利用し、決められた経路へ退いていた。
エンクレイヴは、ライムを追うことも、アカデミーを救うこともできる。選択が残酷に感じられるのは、答えが明らかだからだった。
「救助班と節点班へ分かれる」アレイラは言った。
「誰も主導工作員を一人で追わない」
ベネディクトは、見えている断片を基に配置を始めた。
エタナ、ジャスミン、オズリック、ゲデオンは、閉じ込められた生徒を安定させる。
ジャンプリートとメリザンドが結界節点を見つける。
ロニン、ヴィットリオ、ネスター、ザフィラが彼らを守る。キャサリン、ラファイエット、シーラが移動経路を作る。
ヤルデンは、動く幾何学の下にある本物の基礎を追跡する。ベネディクトは中央視点から調整する。
ファランはアレイラと残った。
「鍵へ向かう?」彼が尋ねた。
「自分自身を引き裂かないようにする。ライムは逃げられる。アカデミーは逃げられない」
彼らは動いた。
最初の節点は、十三段ごとに繰り返す階段の中へ隠されていた。ロニンは壁へ印を切ったが、輪が戻るたび、すべての印が消えた。
ヤルデンは目を閉じ、偽の石の下にある振動を聞いた。
「階段は回っている」
彼は言った。
「でも冷気は七段目へ残る」
ザフィラが七段目を砕いた。下には黒い霜の円筒があった。
ジャンプリートが装置を三層の障壁で包み、メリザンドが盗まれた結界電流を逆流させた。ネスターが露出した核へ集中打撃を通した。
節点は障壁内部で爆発した。
アカデミーの一部が、正しい場所へ弾けるように戻った。二つ目の節点は、浮遊する教室の下へ吊られていた。
シーラが周囲の工作員へ矢を撃つ間、キャサリンは螺旋状の風流でラファイエットを開けた空中へ運んだ。
一人の工作員が教室の屋根から跳び、キャサリンの足首を掴んだ。ラファイエットが手首を掴むまで、十フィート落ちた。
工作員は刃を上げ、キャサリンの脚を伝って登った。キャサリンは下を見た。
「空中で怒らせる相手を間違えたわね」
風を逆転させた。
工作員は二人の上を越えて投げ飛ばされた。シーラが鈍い皇族の矢を胸鎧へ当て、教室壁へ固定した。
ラファイエットは節点の隣へ着地し、中央へ圧縮空気の杭を打ち込んだ。
浮遊教室は、本来の塔へ激しく戻った。
三つ目の節点は食堂内にあり、床が垂直の壁になっていた。
エタナは、ジャスミンが温かな支援魔法で作った線を使い、その上を進んだ。周囲では二十人の生徒が、固定された卓へしがみついている。
オズリックは足を固定し、重力が群衆の中へ引き込もうとしている巨大な吊り照明全体を支えていた。
「少し助けてくれ!」震える腕で叫んだ。
ゲデオンは吊り照明の下へ、幅広い王族の力の波を放った。二人で安全な角へ押し込んだ。
折り畳まれた厨房から工作員が現れ、エタナへ撃った。
彼女は振り向き、小さな治癒盾を上げ、霜弾を受けた。盾が割れ、冷気が前腕を切った。エタナは退かなかった。
最寄りの負傷した生徒へ手を伸ばし、輝く指を胸へ置き、工作員が再び撃つ間も呼吸を安定させた。ジャスミンが二人の間へ入った。温かな魔法が、眩しい花形障壁へ咲いた。弾は溶けた。
ゲデオンは壁を三歩走り、練習剣の平らな部分で工作員を打った。
「治療者を撃つ者はいない」
彼は言った。
三つ目の節点が壊れた。
四つ目は治癒棟へ隠されていた。空間崩壊によって、一つの部屋が三つの異なる時間へ分かれている。
一つの区画では、杯がまだ卓から落ちる途中だった。
別の区画では、すでに砕けていた。
三つ目では、水が動かない銀の粒となって空中へ浮かんでいた。エタナが最初に入った。
「力を使わないで。患者は作動中の治癒配列へ繋がっています」
凍った瞬間の中で、工作員が時間の歪みを遮蔽にして待っていた。
一つの寝台の横へ現れ、消え、誰も動きを追えないうちに別の寝台近くへ再出現する。
ヤルデンは画像を無視し、床を聞いた。
「身体が跳んでいるのではない。こちらの視覚が跳んでいる。三つ目の寝台、左側」ジャスミンが部屋全体へ温かな光を送った。偽の時間が透明になった。
ゲデオンが工作員の銃を弾いた。
エタナは中央治療台の下にある節点へ到達し、医療エネルギー吸収を停止した。それからネスターが霜核を砕いた。
時間が一つへ戻った。




