第46話:深紅の雪片と潜入工作員(第16章・第1部)
逃げる工作員が残したのは、割れたガラス、断ち切られた経路、そして最初の攻撃は測定にすぎなかった
という警告だった。
彼女は柱を蹴り、ケーブルを西の窓へ撃ち、砕けるガラスを抜けて外気へ飛び出した。
工作員が外縁を越える瞬間、アレイラはアトリウムへ到着した。窓の向こうでは、工作員の背中から小さな黒い脱出滑空翼が展開していた。
「ファラン!」
彼は即座に理解した。
ファランは、制御された力を細い槍へ形成した。アレイラはそれを均衡で包み、攻撃が眼下の人で混み合った中庭へ広がるのを防いだ。
二人は同時に放った。
槍は金白色の線となって距離を渡り、滑空翼の片翼を破壊した。工作員は空中で回転した。背中の箱から出席水晶を引きちぎり、遠くの屋根へ投げる。煙突の陰で、三人目の黒い人影が待っていた。
シーラ・クイエンの銀色の矢が、空中で水晶を粉砕した。破片は青い火花の雨となって爆発した。三人目の影は屋根の稜線の向こうへ消えた。
滑空翼の工作員は、アカデミーが下へ展開した非常障壁へ衝突した。一度跳ね、意識を失い、待機していた警備魔導師の手へ滑り込んだ。
アトリウムには安堵の声が爆発した。アレイラは、まだ安堵できなかった。
中庭へ降る出席水晶のきらめく破片を見た。データの大半は破壊された。
大半は、すべてではない。
厳重な警備下で拘束された工作員へ、ヴェイル学長が近づいた。装備には紋章も、書面命令も、個人を示すものもなかった。唯一の印は、各仮面の左目の下へ刻まれた、小さな深紅の雪片だった。
普通の工作員。
アレイラは思った。
ソヴリンではない。
幻視にいた怪物でもない。
守られた場所へ入り、必要なものを盗み、消えるために訓練された人間。
その真実は、別の形で恐ろしかった。
クセニア自身がアカデミーの結界を越える必要はない。正門から歩いて入れる人々を持っている。
捕らえられた工作員は、回転式の対魔法障壁の下、三つの別々の廊下を通して移送された。意識がなくても、活動中の脅威として扱われた。
外套には隠し鋼線、折り畳み刃、霜封印を入れた偽歯、袖口へ縫い込まれた小型レンズがあった。人間の技術で作れないものは一つもない。ただ、すべてが、失敗へ残酷なほど注意を払って設計されていた。
アカデミーの魔導技師たちが内容物を長い銀卓へ並べるのを、アレイラは観察廊から見た。
武器より彼女を不安にさせたものが一つあった。
普通の学校用紙の束。
白紙の出席票。整備依頼書。
食堂の物資注文書。
生徒の間を渡っても、二度見されることのない紙片。
「彼らは結界を力で打ち破って入ったのではない」ベネディクトは言った。
「結界が何を正常と見なすかを学んで入った」
工作員たちがすでにエンクレイヴを直接狙ったため、学長は観察を許した。しかし尋問室へ入る要求は、すべて拒んだ。
「君たちは彼らと戦った」
ヴェイルは言った。
「だからといって尋問官になったわけではない。怒りは資格ではない」アレイラは境界を受け入れた。
それでも、教室で捕らえた工作員が意識を取り戻した時、最初の独房の外へ立っていた。
男は目を開き、拘束具を一度だけ試し、ガラス越しに彼女を見た。仮面を外すと、生徒より年上で、古参指揮官より若く見えた。眉を細い傷が横切っている。表情には恐怖がなかった。
拘束された片手を上げ、二本の指で卓を叩いた。
合図。
隣の部屋で、滑空翼の工作員が同じ二打で答えた。
壁は防音だった。互いが目覚めていると知るはずがない。ヤルデンは観察ガラスへ指先を押し当てた。
「床を通る振動。拘束中の通信も訓練されている」
叩く音が続く間、ヤルデンは指をガラスへ置いたままにした。
二打。間。
一打。
偶然に思えるほど長い、もう一つの間。
捕らえられた男は隣室へ一度も目を向けない。それでも女は、まったく同じ律動で答えた。
ベネディクトは間隔を書き始めた。
「それ自体は言語ではない。時間です。隣の独房が使用中か、拘束具が有効か、対応班が動いているかを
確認しているのかもしれない」
結界師長ソレルは床面減衰器の起動を命じた。低い金色の振動が観察階を通った。次の打音は、囚人の指
先の下で消えた。
男の表情は変わらなかった。
その無反応は、怒りよりアレイラを不安にした。
彼は、この方法がいずれ失敗すると予想していた。行動のすべてに、失敗へ備えた答えが含まれているようだった。
新しい拘束枠を持った衛兵が部屋へ入った。囚人は手首を一インチにも満たない幅だけ動かした。アレイラは冷たい脈動を感じた。
「止まって!」彼女は叫んだ。
衛兵が凍りつくように止まった。
金属の手枷の裏側へ、反射光に見えるほど細い白線が現れていた。衛兵の覆われていない手へ進んでいる。
アレイラは均衡をガラス越しに押し込んだ。皮膚へ届く前に、白線は無害な霜へ分離した。囚人は初めて、計算以外の何かをもって彼女を見た。
恐怖ではない。
測定。
「手枷は検査されていました」動揺した衛兵が言った。
「封印は手枷の中にあったのではありません」
ジャンプリートは答え、二つの環の間へ挟まった灰色の繊維を指した。
「袖へ織り込まれ、拘束具が閉じた時に移された」
魔導技師たちは長い柄の道具を使い、制服の糸を一本残らず除いた。襟の下から、さらに三本の繊維を見つけた。それぞれ違う命令を運んでいた。
凍結。
盲目化。送信。
「奪い取ったと思った後も、装備が危険になり続けている」
ジャスミンが言った。
ヴェイル学長は囚人から視線を外さなかった。
「なら、我々の警備も最初の成功後に考え続けなければならない」
男は卓を一度叩いた。
今度、返答はなかった。




