第45話:凍てつく脅威と初めての口づけ(第15章・第3部)
何かがおかしい。そちらを見るな。
アレイラは板を見続けた。周囲で、十四人の仲間が、ほとんど分からないほど僅かに変わった。
ロニンが足をずらした。
ジャンプリートが書くのを止めた。
エタナは医療袋の留め具へ二本の指を置いた。ファランの呼吸が遅くなった。
整備員が繊維箱を開いた。
輝く巻線の下で、小さな黒い装置が一度回転した。教室内のすべての防護ルーンが消えた。
整備員は、突然、恐ろしい速度で動いた。青白い仮面が顔の上へ展開する。灰色の制服は隠された縫い目に沿って裂け、霜青色の回路を裏地に持つ、身体へ密着した黒い野戦外套が現れた。
装置を教官へ投げ、袖から細い刃を引き抜いた。アレイラはすでに立っていた。
「伏せて!」
憤怒が、湾曲した金色の壁となって爆発した。
黒い装置が壁へ当たり、白い沈黙の球を放って炸裂した。
音が消えた。窓が凍った。
衝撃波は轟音を伴わず、完全な無音の中で机を教室の向こうへ投げ飛ばした。
混乱の中、工作員は床を横切った。アレイラへではなく、教官の演台へ向かっている。
ベネディクトが最初に目的へ気づいた。机へ組み込まれた出席水晶を鋭く指さした。その装置には、配属時に記録された一年生全員の魔力署名が入っていた。
ファランは精密戦闘魔法の閃きとなり、工作員を遮った。最初の衝突で、凍った床が割れた。ファランの輝く刃を備えた前腕防具が細い刃を受ける。工作員は身体を捻り、膝を肋骨へ突き出し、靴の踵から殺人的な冷気を放
った。
ヴィットリオが横から攻撃した。剣気が霜の爆発へ明瞭な銀線を刻み、工作員を後ろへ押した。
沈黙場が砕けた。
音は一度に戻った。生徒の悲鳴。家具の衝突。教官が叫ぶ避難命令。キャサリンが、とても礼儀正しいとは言えない何かを叫びながら、風の構造体を教室へ叩きつける声。
工作員は、その下を滑った。二本目の刃が手へ跳ね出る。外科手術のような精密さで、出席水晶を演台から切り離し、開いた壁面板へ投げた。
壁の内側から、手袋をつけた手が伸び、水晶を受け取った。
「二人目!」
ザフィラが叫んだ。
隠れていた工作員は天井へケーブルを撃ち、出席水晶を持って整備用縦坑を上へ消えた。
ロニンはためらわず追った。壁を三歩駆け上がり、剣を梁へ突き立て、その勢いで縦坑へ身体を放った。ラファイエットが圧縮空気の帯を後へ送り、開口部を広げた。
「教室を避難させて!」アレイラは命じた。
「エタナ、ジャスミン、負傷者を。ジャンプリート、障壁を復旧。残りは最初の工作員を封じ込めて」
工作員は金属円盤の束を投げた。床へ当たると、膝の高さまである霜の塔へ展開した。机の間から氷槍が噴き出し、教室をきらめく迷路へ変える。
ネスターは集中打撃で一つの塔を砕いた。オズリックは幅広い運動衝撃波によって、逃げる生徒の前にある二本の氷槍を弾き飛ばした。メリザンドとジャンプリートは壁面板で魔法を結び、停止した結界を、輝く層となって
再構築した。
工作員は迷路を遮蔽物にして窓へ走った。アレイラが進路へ入った。
歓喜が速度を研ぎ澄ました。均衡が怒りを冷ました。
憤怒は爆発ではなく、両腕と肩へ密着する外套となって形成された。
工作員が喉を切りつけた。アレイラは両手で手首を挟み取った。衝撃によって霜が袖へ走り、金色の光が黒い手袋を通った。
一拍の間、二人は向かい合った。
仮面は滑らかな白い金属で、細い青色の視界部しかない。
「王女を確認」
歪められた声が、背後から発された。
アレイラは身体を捻り、相手の重心へ入り、肩越しに投げた。工作員は床へ激突し、タイルを二枚割っ
た。ファランが武器を持つ腕を押さえ、ザフィラが二本目の刃を蹴り飛ばした。ヴィットリオは光る剣先を胸へ当てた。
「動くな」
ヴィットリオは言った。工作員は動いた。
襟の下で霜の線が光った。
自壊封印が起動する一瞬前、アレイラはそれを感じた。均衡を直接、術式へ打ち込み、繋がったルーンを分離した。工作員の心臓を凍らせる代わりに、封印は無害な雪となって破裂した。
初めて、青い視界部が驚きで明滅した。
「他人の秘密のために、死ぬことは許さない」
アレイラは言った。
警備班が教室へ殺到した。
その上では、アカデミーの骨格を通る追跡が続いていた。
ロニンは狭い整備通路を走った。二人目の工作員は、機械のような効率で先を進んでいる。靴で湾曲した壁を蹴り、普通の疾走では曲がれないほど狭い角を、ケーブル射出器で引かれながら回っていった。
盗まれた出席水晶は、背中へ固定された磁気箱の中で輝いていた。
通路は、巨大アトリウムの上、磨かれた大理石床から六十フィートの高さへ開いた。
工作員が飛んだ。ロニンも続いた。
朝日の柱の中を二つの影が落ちると、下の生徒たちは見上げた。
工作員は浮遊橋へケーブルを撃った。ロニンは空中で剣を抜き、ケーブルを切った。彼女は落下しながら回転し、三本の霜の短剣を上へ投げた。
ロニンは二本を弾いた。三本目が肩を切った。
彼は上層の欄干へ着地し、水晶上で靴を滑らせた。工作員は一層下の橋へ衝突し、転がり、そのまま走り続けた。
キャサリンが側廊下から飛び出し、彼女を見つけた。
「それは絶対に許さない!」
螺旋状の風柱が、工作員の逃走路へ叩きつけられた。彼女は中央を潜り、外套を激しくはためかせ、銀色の筒を欄干の向こうへ投げた。
筒は白い霧雲へ開いた。数秒で、アトリウム全体が消えた。
生徒が叫び、結界が明滅した。霧が偽の反響を作り、工作員の足音があらゆる方向へ増殖した。ヤルデンがキャサリンの隣へ到着し、目を閉じ、音の向こうを聞いた。
「走っていない。登っている。西の柱」
キャサリンは両手を上げた。風が回転するトンネルとなり、霧を引き裂いた。工作員は磁気爪を使い、柱の半分まで登っていた。
ロニンは露出した橋の欄干を走り、跳んだ。剣気が工作員の上で柱を打ち、進路を断ち切った。




