第23話:王女、グランド・アルカナム学園へ(第8章・第2部)
落ち着いた明瞭な声で、彼は言った。
「進行方向ではなく地図を見ていました」きれいに折り畳まれた校内図を掲げる。
「まだ、この場所がどれほど巨大かに慣れていないんです」
アレイラは微笑んだ。
「私もです。五分おきに違う方向へ曲がっています」
彼は一秒ほど彼女を観察し、それから礼儀正しく軽く頭を下げた。
「ヴィットリオ・ドミンゲス。一年生です。お会いできて光栄です」
「アレイラ・キアロスクーロです」彼女も軽く頭を下げて返した。
「私も一年生です。こちらこそ、よろしくお願いします」
家名を聞いたヴィットリオの表情へ認識が浮かんだが、彼はそれを大げさな出来事にはしなかった。ただ慎重な敬意を込めて頷いた。
「キアロスクーロ……もちろん、血統のことは聞いています。強い聖流で知られていますね。実践授業で見るのを楽しみにしています」
廊下の先へ目を向けた。
「元素棟へ向かっていますか? 最初の戦闘理論講義は、あちらだと思います」アレイラは時間割を確かめた。
「はい、そのとおりです。あなたも?」
「ええ」
無理に押しつけることなく、彼は隣へ並んだ。二人の歩調は自然に合った。
「私はドミンゲス侯爵領の出身です。一族は武闘魔法と障壁技術を専門にしています。一生をかけてアカデミーのために訓練してきましたが、実際にここへ立つと、それでも……予想より大きく感じますね」
アレイラは理解を示して頷いた。
「よく分かります。ここでは何もかもが、物語で聞いた以上に大きく感じます」
短い間、二人は心地よい沈黙の中を歩き、他の生徒たちの音は背景へ薄れていった。やがてヴィットリオ
が再び、考え深い口調で話した。
「初日にしては落ち着いていますね」
ヴィットリオは言った。
「一年生の多くは、自信がある演技をするか、目に見えて溺れているかのどちらかです」アレイラは小さく、正直に笑った。
「私は……たくさん準備してきました。それに、良い家族がいます。助けになります」ヴィットリオは横目で彼女を見て、唇へ淡い笑みを浮かべた。
「それが伝わります。迷惑でなければ、講義室まで一緒に歩きたいのですが。曲がる場所を互いに確認できる相手がいるほうが、道を見つけやすいですから」
「喜んで」
アレイラは心から答えた。
講義室の扉が開き始めた時、二人は一緒に元素棟へ到着した。ヴィットリオは別れの軽い会釈をした。
「また授業で、アレイラ。それから……一緒に歩いてくれて、ありがとう」
「こちらこそ、ヴィットリオ」
ヴィットリオは講義室へ消えていった。キャサリンの開放的な性格と、ヴィットリオの自制はまったく異なっていた。それでも、どちらとの出会いも、アカデミーを人間味のない場所ではなくしてくれた。
アカデミーはもう、ほんの少しだけ巨大ではなく感じられ始めていた。
最初の戦闘理論講義が終わる頃には、太陽はさらに高く昇り、元素棟の高い窓から明るい光線を差し込ませていた。アレイラは他の一年生と一緒に廊下へ出た。魔法共鳴と個人の流れの親和性について講師が語った言葉が、
まだ頭の中を巡っている。実践訓練場の場所を地図で確かめようとした時、少し後ろか
ら、落ち着いた澄んだ声がかかった。
「失礼。アレイラ・キアロスクーロさんですね?」
彼女は振り返った。数歩離れて立つ少年は背が高く、落ち着いていた。整えられた海のような青い髪
と、静かな知性を宿す鋭く温かな琥珀色の瞳。アカデミーの制服を完璧に着こなし、洗練された強さの気配を微かにまとっていた。それは派手な誇示ではなく、何年もの規律ある訓練から生まれた強さだった。高位貴族とし
て自然な品位を持っていたが、傲慢にはまったく感じられない。
「はい」
少し驚きながら、アレイラは答えた。
「私です」
彼は礼儀正しく抑えた笑みを見せ、軽く頭を下げた。
「ファラン・ベレスフォード。一年生です。午後の実践戦闘授業が同じだと思います。名簿でお名前
と……一族の紋章に気づきました。キアロスクーロの血統は、聖流の純度でよく知られています。きちんと自己紹介をしたいと思いまして」
アレイラも頭を下げた。
「お会いできて嬉しいです、ファラン。ベレスフォード公爵領の方ですよね?」彼の目に、淡い肯定の光が揺れた。
「はい。私の一族は長い間、精密戦闘魔法と戦略的な流れの制御を専門としてきました。何年もアカデミーを楽しみにしていましたが……この場所の大きさには、少し圧倒されていると認めなければなりません」
二人は一緒に訓練場へ向かって歩き始めた。生徒の流れは自然に二人の周囲で分かれた。ファランの歩調は容易に彼女と合い、会話も無理なく流れた。
「先ほど、ヴィットリオ・ドミンゲスと歩いているのを見ました」彼は何気なく言った。
「強い武闘の家の出身です。もう興味深い人たちが周囲へ集まっているようですね」アレイラは柔らかく笑った。
「まだ初日です。今朝はキャサリン・エルヌシュト、その後はヴィットリオ……そして今はあなた。もしかしたら、アカデミーが出会う価値のある人でいっぱいなだけかもしれません」
ファランは横目で彼女を見て、小さく本心からの笑みを浮かべた。
「そうかもしれません。あるいは、人を引き寄せる何かをあなたが持っているのかも。あなたの存在には……落ち着きがあります。一年生の多くは、印象を与えようと努力しすぎているか、完全に圧倒されているかのどちら
かです。あなたは中心が定まっているように感じます」
その静かな観察に、アレイラは頬へ微かな温もりが上がるのを感じた。転生した魂は、彼の声にある誠実さを認めた。
ファラン・ベレスフォード……落ち着いていて、観察力があり、礼儀正しい。騒がしくも派手でもない。注意深く見て、目的を持って話す人。安定した強さがある……それに、彼が私を見る目には、何かが違う気がする。揺
るがなくて、好奇心がある。まるで他の人たちがまだしていない形で、すでに私へ注意を向けているみたい。
二人は実践訓練場の端へ着いた。そこには午後の授業を待つ開放型の闘技場と、光る障壁結界が並んでいた。生徒たちはすでに小さな集団で集まり、軽い魔法を練習する者、身体を伸ばす者、緊張しながら話
す者がいる。




