第14話:十歳の試練――聖なる洗礼(第5章・第2部)
アレイラは小さな笑みを無理に作った。二つの人生の重みが、彼女の内側で重なっていた。炎の中で死ん
だヒトシ。そして、愛と魔法の中で育ったアレイラ。
死と転生を乗り越えたんだ、と彼女は自分へ言い聞かせた。これも、もう一つの始まり。司祭が両手を上げた。儀式室は静まり返った。
「アレイラ・キアロスクーロ王女」
穏やかでよく響く声で、彼は呼びかけた。
「呼び出しを受けた時、前へ進む準備はできていますか?」
アレイラは呼吸を整えた。
「はい……準備はできています」司祭は頷いた。
「では、《聖なる洗礼》を開始します」
最後の準備が進むにつれ、沈黙はさらに深まった。従者たちは池を囲んで、一定の型に従い動いた。追加の儀式灯が一つずつ燃え上がり、その炎は壁の印の脈動と同期した。誰も触れていないのに、暗い水面へ波紋が広がっ
た。
司祭は儀礼杖を掲げた。
「《聖なる洗礼》は、人の血と神聖な流れを結ぶ橋である。キアロスクーロの後継者はすべて、十歳でその中へ入る。これは我らの継承を作るものではない。一族の系譜を通して受け継がれた契約を新たにし、聖源との絆を
深め、歓喜、憤怒、均衡を強めるものである。アレイラ王女、今こそあなたは、父、祖父、そして先祖すべてが歩んだ道を進みます。準備はできていますか?」
「準備はできています」彼女ははっきり答えた。
「ならば、《聖なる洗礼》を始めよ」
遠方にある二枚の大扉が開き、轟音が儀式室を転がった。上の回廊から、低音の弦楽器、太鼓、儀礼合
唱が始まった。娯楽としてではなく、古代の典礼の一部として。そのリズムは印と、池の内部にある遅い脈動に一致していた。アレイラは二人の女性侍従の間を進んだ。一歩ごとに音が反響する。印の付けられた台座で、彼
女は一度だけ家族を見た。オノラは励ますように微笑んだ。エリーは静かな誇りとともに頷いた。ドナヒューの顎は固く結ばれたままだった。ジーヴァは、同じ場所に立った者の理解を込めて見つめていた。ゲデオンは、震
える親指を一本立てた。
意図的な落ち着きを保ち、アレイラは儀礼衣の紐へ手を伸ばした。布が肩から滑り落ち、用意された台へ柔らかな音を立てて落ちた。彼女は完全に裸になった。冷たい空気が肌へ触れたが、池の周囲ですでに動
き始めていた聖源の温もりが、震えを止めた。台から一歩踏み出すと、池から濃い銀青色の霧が放たれ、
肩から下を取り囲み、神聖な典礼の尊厳とプライバシーを守った。
彼女は水へ入った。
中央へ進むにつれ、水は足首から膝、腰、そして胸へ上がった。その温かさは自然なものではなかった。熱いのではない。生きていた。まるで彼女を認識しているかのようだった。
アレイラは司祭のほうを向いた。
古代キアロスクーロの詠唱、その最初の言葉が彼の唇から放たれた。同時に、印が明るさを増した。
足元の水が輝き始めた。柔らかな振動が足から脚を上り、心臓へ到達する。アレイラの目が見開かれた。
何、これ……?
その感覚は、これまで練習してきたどの魔法にも似ていなかった。聖源が筋肉、骨、記憶、そして自己認識の下へ手を伸ばし、魂に隠された神聖な糸を探しているように感じられた。
合唱が大きくなった。司祭の詠唱は深みを増す。水位を下げることなく、神聖な霧が幾重もの渦を巻いて昇った。光る泡が水面で弾けた。
アレイラの呼吸が重くなった。儀式室の空気は涼しいのに、額と肩へ汗が浮かぶ。両手が身体の脇で強く握られた。
苦しげな声が漏れた。
「あぁっ……」
聖流が再び押し寄せた。
身体は池の底から数インチ浮き上がり、周囲の霧がさらに濃くなった。水は今も、恥部のすぐ下まで下半身を覆い、守っている。高まるエネルギーの中で、金黒の髪が肩の周囲へ漂った。
「落ち着いて……落ち着いて……」
震える息の間から、自分へ言い聞かせた。
「すぐ終わる……しっかりして……」
司祭の声が雷鳴のようになった。光り輝く青い水の線が、生きた血管のように池から持ち上がった。それらはアレイラの腕、背中、胸の周囲を回り、霧を透過して身体の中へ入っていった。それぞれの線が異なるものを運ん
でいた。先祖の記憶。聖流の知識。古い誓いの重み。そして十歳の身体が負担なく受け入れるには、あまりにも巨大な力。
「あぁっ……あああっ……ああああああっ!」
叫びが儀式室へ反響した。
オノラは心配そうな声を漏らし、半歩前へ出た。エリーが肩へ手を置いて制した。
「大丈夫だ」
そう言ったものの、彼自身の声も張り詰めていた。
「流れが入り、繋がりを強化している。途方もなく大きく感じるが、侍従たちはすべての兆候を見守っている」
ドナヒューは拳を強く握った。ジーヴァの顔は青ざめていた。ゲデオンは、手に持っていた木の竜のことさえ忘れていた。
青い血管状の流れが、一つずつ統合されていった。アレイラは歓喜が目覚めるのを感じた。それは、恐怖に飲み込まれないよう支える、輝く温もりだった。次に憤怒が続く。思考なき激怒ではなく、生き延び、守ろうとする
激しい本能として。二つの間に均衡が現れ、他の力が制御を失って彼女を引き裂かないよう、それぞれを隔てて保った。
圧力が増した。
「ああっ……うっ……あああああああっ!!」
力はもう彼女の周囲を通り過ぎているのではなかった。彼女の一部になっていた。そのため、叫び声はいっそう大きくなった。
音楽は司祭の声とともに高まった。太鼓が二つ目の鼓動のように打ち鳴らされる。合唱の音は上昇し、空気そのものが振動しているように感じられた。壁の印は、回廊へ動く模様を投げかけるほど眩しく燃えた。
アレイラはさらに高く浮かび、神聖な流れによって池の中央上方へ安全に支えられた。霧は彼女を包み続け、その下の水は輝く渦へ変わった。
この力が、私のすべてへ流れ込んでいる。
彼女は思った。
ただのエネルギーじゃない。知識。繋がり。運命。歓喜、憤怒、均衡――全部が一度に目覚めてる。
新たな波が衝突した。
霊的な圧力に背が反り返った。流れが両手を通過する中、腕が本能的に広がる。荒い呼吸のたびに、口元から白い靄が漏れた。
「ああああああああああっ!!!!」




