ワガママは、ほどほどに
あるところに、たくさんの人で賑わう街がありました。
そして、街を抜けると、高い丘が見えてきます。
そこには、立派なお屋敷が建っていました。
屋敷には、とても仲がいい夫婦と、使用人たちが暮らしていました。
ある夏の午後、可愛らしい女の子が産まれました。
「この子の名前は、アリアにしましょう」
アリアは、すくすく育ちました。
そして、いろんな人たちから、愛情をいっぱいもらいました。
屋敷の者たちも、彼女をすごく甘やかしました。
しかし、だんだんある欠点が目立ち始めます。
それは、ワガママなことでした。
「小さい頃は、こんな風じゃなかったのに……」
両親や使用人たちは、困っていました。
成長するにつれて、彼女のワガママもエスカレートしていきます。
たまに、それを注意する者もいました。
ですが、アリアは言う事をききません。
それどころか、その者を屋敷から追いだしてしまったのです。
そんなことが続いたある日、アリアの元に知らせが届きます。
「えっ、お父様とお母様が事故に?!」
それは、両親が事故に巻きこまれたというものでした。
「誰か、私を病院に……」
そこで、アリアは気づきました。
屋敷にいるのは、アリアひとり。
それは、当然です。
だって、みんな追いだしてしまったのだから。
彼女は、ひとりぼっちになってしまいました。
「そうだ……みんな私が追いだしたのよね」
アリアは、力なく椅子に腰かけます。
「どうしよう……誰か助けて……」
助けを求めても、もう誰もいません。
悔やんでも悔やんでも、なにもかもが遅かったのです。
「私は、なんて愚かだったのでしょう」
すると、アリアの目から涙がこぼれました。
「泣くぐらいなら、もう少し早く気づくべきでしたね」
聞き覚えのある声に、アリアは顔を上げました。
そこに立っていたのは、アリアが小さい頃から、ずっとそばにいた男性でした。
そして、一番最初に追いだした者でした。
「どうして……」
「本当は、少し迷ったんですがね……」
男性は、ゆっくりとアリアに近づいていきます。
「それでも、あなたのことが心配だったのです」
そして、アリアの頭を撫でました。
ですが、アリアはまた泣きだしてしまいました。
「ごめんなさい、もうワガママは言わないわ……」
「いい心がけです」
目が合った二人は、微笑みあいました。
ある街を抜けると、高い丘がありました。
そこには、立派なお屋敷が建っていました。
そして、いつも屋敷からは、楽しい笑い声が聞こえていたのでした。




