迷子のお嬢さん
はじめまして、牧野つぐみです。
私は、とあるお店でアルバイトをしています。
といっても、学校が休みの時だけなんですけどね。
そこは宅配をしてて、いつもは店長が行っているんだけど……
「つぐみさんもだいぶ慣れてきてますので、そろそろ配達行ってみましょうか」
「えっ、でも……」
「大丈夫、今回は歩いて行ける距離ですから」
そう言われたから、私は引き受けるしかなかったの。
でも、不安なことがひとつ。
「ヤバい……迷った……」
自分が、方向音痴だったってこと。
私は、途方に暮れていた。
だけど、あることを思いだしたの。
『念のため、アプリ入れておきますね』
「そうだ、確かアプリ入れてくれたって……」
私は急いで、スマホを起動させた。
すると、地図アプリが出てきたんだ。
でもね……
「細かすぎて、今の場所がわからない!」
けっこう期待していただけに、ガッカリが大きかったわ。
でも、まだあきらめない!
「えっと、店長も地図描いてくれていたような……」
私はカバンから、一枚の紙を出した。
開いてみると、あらびっくり!
ある程度の道と、バス停しか描かれていなかった。
そして、赤い目印で、『ココ』という文字だけ。
「ざっくりしすぎて、逆にわからんわ!」
期待していなかったけど、これはひどい。
「しかも、この辺誰も通っていないから、道も聞けないし……」
私は、だんだん心細くなった。
すると、持っていた箱に、矢印が浮かび上がる。
「えっ、なにこれ!」
私は試しに、別の方向を向いてみた。
そしたら、矢印も向きを変えたの。
「もしかして、行く先を教えてくれている?」
疑問はあったけど、今は信じるしかない!
私は、矢印の方向に歩いていった。
しばらく歩くと、ある古民家に着いた。
そこで、矢印は消えた。
「ここが目的地?」
「おや、お客さんとは珍しい」
振り向くと、庭の方からおばあさんがやってきた。
「あっ、お届け物です!」
「あぁ、そういえば頼んでいたねぇ」
おばあさんは、笑顔で荷物を受け取った。
「ありがとう。よかったらお茶でもいかが?」
家の中で、私はそわそわしていた。
おばあさんは、丁寧に箱を開けていく。
中身は、青い鳥の置物だった。
「これは、孫が大切にしていた物なの」
「私、ここに来る前、道に迷ってしまって……」
「なら、この子が案内してくれたのかもねぇ」
それから、少し雑談をしながら、お菓子を食べた。
帰り道、ふと空を見上げた。
空はきれいな夕やけで、私は大きく深呼吸をした。
「よし、次はもっと頑張ろう!」
気合いを入れていたら、偶然店長と会いました。
ちょっと小言を言われたのは、内緒です。




