第4話 盗賊は難問をあしらう。
3F 難易度:『E』
【問題】
Zニ アテハマル スウジヲ ハッヒョウセヨ
K= F⇒X, F= C⇒Y, X+Y=Z
「難易度E、いきなり跳ね上がっただけはあるね」
「うん、何を言っているか、さっぱりわからないよ。流石にナオでも解けない?」
「いや、そんな事はないよ。もう解けた」
「え!嘘!今難しいって言ってたじゃん」
「いや、難しくはなったけど、解けないとは言ってないからね。それに謎も1つ解けたよ」
「謎?」
「問題文がカタカナで書かれている理由だよ。1問目でトリックとして使うためだけにカタカナで書いていたなら、2問目で表記を戻せば良かったのにわざわざ2問目もカタカナで書かれていたでしょ?」
「それは壁に文字を刻む関係でなるべくシンプルな文字にしたかったからじゃないの?」
「オレも最初はそう考えたんだけど、難易度とか問題とかの文字が漢字だったから。統一性がないと思ってその考えは違うと考えたんだ」
「そんな深い理由なんてあるのかなぁ?適当に決めたんじゃないの?」
「この塔には意味がないのに違和感があるような事象はなさそうだよ。色々と考えられて設計されている。ヒントについても必ずどこかしらにあるみたいだ。それも難易度を考慮した上で設定されているようだしね。だから多分、この問題の難易度を下げるためにわざわざカタカナで書いていたんだと思うよ」
「どういうこと?」
「この問題の着目すべき点は丸なんだよ」
「点なのに丸?」
「はあ、良いから1回問題文、音読してみてよ」
「ええっと、『Zに当てはまる数字を発表せよ』」
「違うな、『はっひょうせよ』だ」
「本当だ。丸がない!」
「ああ。だけど、半濁音だけじゃないよ。句点もないんだ」
「句点って、文の最後の丸だよね。本当だ、ない!」
「つまり、この問題は全ての丸を除いてあるんだ。そして、FとCの左、不自然に少し空いているでしょ?多分、そこには本来丸が入る筈なんだよ。ここまでくればあとは簡単だ」
「?」
「…。この問題はケルビン、華氏度、摂氏度に関する問題なんだよ。Xはケルビンと華氏度が等しくなる時の温度、Yは華氏度と摂氏度が等しくなる時の温度を指しているんだろうね」
「その、ケルビン(?)とかって何?」
「ケルビンは絶対温度の単位のこと。そんで、華氏度は別名ファーレンハイト度という温度の一種。アメリカでよく使われているね。で、摂氏度はよく見る温度の単位だね。流石にこれは見たことあると思うよ」
「なるほど(?)。それで答えは?」
「絶対わかってないね。まあ、良いや。ケルビンから華氏度への変換式は°F=K×1.8-459.67、2つが等しいとするならX=X×1.8-459.67になって、これを解くとX=574.5875。同じように摂氏度から華氏度への変換式は°F=°C×1.8+32、Yを当てはめて解くと、Y=-40。したがって、Zは『534.5875』だね」
〔正解でございます。次は最終問題となります。心して解いてください。元々解けるようには作られておられませんから〕
アベルの残した不安な言葉を気にしながらも私達は階段を上った。
多分ここが最上階なのだろう。今までとは部屋の作りが違う。丸い部屋を壁で半分に区切っていて、その壁には問題文が書かれた扉が付いている。
「大方、この扉の向こうに宝が、アベルが置いてあると言った所だろうね」
この問題が解ければ、やっとお父さんが残した発明品、その1つ目が手に入る。
私は少し感動的な気持ちなった。お父さんを助けるための発明品集めは始まったばかりだから、まだ感動するのは早いかもしれないけれど、手紙を読んでいた時には絶対に集まらないと思っていた発明品が手に入ると思うと感動的な気持ちになってしまった。
4F 難易度:『 』
【最終問題】
この問題の難易度を答えよ。答えは床にある26枚の石板から1つを選ぶ事。
私達の足元にはA〜Zの文字が刻まれた26枚の石板が散らばっていた。




