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8/25

8


 場所は、現在弥生が暮らす某府から離れたとある県。

 時期は夏……それも真っ盛りと言って良い8月。古い戸建てで起こったようだ。



 その戸建てに住んでいたのは、5人家族。


 夫は浮気をしていてあまり家には寄り付かず、家にいる時でも酒に暴力と、碌でもなかったと書かれている。

 妻の方は、夫と子供達からの恒常的な暴言暴力により、奴隷のように扱われ働かされ続けた結果、感情も、正常な判断力も、なくなっていたそうだ。

 子供達は夫…父親の影響か、母親を毎日のように甚振(いたぶ)り、奇声を上げて楽しんでいたらしい。


 ……反吐が出る……。


 当然のように父親は、そんな子供達を構う事なく放置。近隣住民の家に上がり込んで暴れる、盗む等で迷惑をかけまくっていたと言う。

 そんな一家の末っ子が、ある時、行方不明になった。


 近隣住民は辟易していたし、迷惑に思って遠巻きにしているだけだったが、心配もしていた様だ。記者のインタビューに答える住民の声も記載されている。


 だが当の家族…母親は思考力も何もかも奪われていたので割愛するとして、父親と上二人の兄弟は、捜索願を出す事もしなかった。

 後に警察が話しを聞くと『いつもの事だから』『どうせ死ぬなら交通事故とかだと嬉しい。金になるから』等と言ってたそうだ。


 ……心底反吐が出る……。


 だが、親族にその話が漏れた。

 詳しくは母親の母親。

 行方不明になった末っ子の、母方の祖母だ。

 彼女は自分の娘が、電話しようと繋がらず、手紙にも梨の(つぶて)な事を心配した。そして家を訪ねてきた事で発覚。


 痣だらけで痩せ細り、虚ろな表情でぼんやりと末っ子の事を呟く娘を、祖母は強引に連れ帰り、末っ子についても警察に捜索依頼を出した。

 それから捜索が開始されてものの、母親を除く家族は協力もせず、相変わらず父親は遊び歩き、残った子供二人も、他人の家に突撃、小さな子供を虐める等の迷惑行為を繰り返していたと言う。


 結局末っ子は見つからないまま日は過ぎ、家を離れていた母親が、祖母に付き添われて帰宅すると、家の中は以前と変わっていないのに、誰も居なかった。

 いや、それだけなら普段通り……父親も子供も、遊び歩いているだけの事と判断するのだが、変わっていない家の中で、2階の寝室に使っていた部屋が、異様な事になっていたのだそうだ。



 薄汚れた畳に、イカリソウの花が4つ咲いていたと言う。




 その光景だけでも異様だ。


 何よりイカリソウと言う植物は、山野で育成し、花は春に咲く植物だ。決して夏の暑い時期ではない。

 しかも鉢植えで畳の上に置かれていたと言うなら兎も角、畳の上に直接生えていたのだそうだ。


 弥生はそこまで読んで、背筋を走る怖気(おぞけ)に身を震わせた。




 それ以外にも類似と思えると言う事件について書かれている。

 場所は本当に日本全国に跨っていて、特定に地域と言う訳ではない。ただ、どれも家人がいつの間にか居なくなり、その家に不自然に花や羽等が残されているのだそうだ。


 恐ろしい。

 事件の内容そのものもそうだが、類似事件をよくもまぁ探し出したものだと、記者の執念みたいなものにも恐怖を感じてしまう。


 しかしながら、現在の弥生の困り事には、何の役にも立たない。

 真柴が言ってたように、因果応報だと留飲を下げるには役立つが、あくまでそれだけだ。

 何より幾つも事件として書かれてはいるが、信憑性があるかと問われれば返事に窮する。どうしても都市伝説的なニオイがするからだ。


 ちなみにイカリソウの花言葉は『君を離さない』だそうだ。


 妻を、母親を顧みず、虐待し出歩いてばかりだった家族には、何とも皮肉な花言葉ではないか。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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