6
「ん?
あ~なんだったかな。
火曜発売の……あ、そう!『週刊 輝女』だったと思うわ。弥生の悩みを知ってたら買っておいたのに…ごめん。
『ファッションYОU華』の方、買っちゃった…」
やらかした…と言いたげに表情を曇らせた真柴に、弥生は慌てて首を横に振った。
「そんな、気にしないで下さいって。
今週号ならまだ売ってるでしょうし、気が向いたら本屋で探せますから」
慌てる弥生の様子に、真柴も苦い笑みを浮かべる。
「うん。
でもまぁ、解決策じゃなくただのネタだし…因果応報ってあるんだなぁって溜飲さげるくらいにしか役に立たないんだけどね」
真柴の言う通り、そんな眉唾な記事を読んだ所で、現実は何も変わらない。
せめて室内運動会の音がマシになれば、もう少し我慢も出来そうなのだが、ドタドタバタバタと駆ける音に加え、何かを叩いているのかドンドンとかガシャガシャとか、耳栓をしていても音が忍び込んでくるのだ。
世に言う子持ち様の言い分は『子供は暴れるモノ。それが個性』らしいのだが、開き直る前に躾けてくれてと言いたい。
ま、思うだけで、面と向かって言い切る勇気はない。
駅に着き、使う路線が違う為、真柴とは改札でわかれた。
弥生は改札を抜けようとして、ふと足を止める。
すぐそこに、大きくはないがショッピングモールがあって、それを振り返った。
中に確か書店があった筈…と、考えた途端、改札に背を向けていた。
自動ドアを潜り抜け、館内案内図を探す。
柱に掲示されている案内図を見れば、書店は2階にあるようだ。近くのエスカレーターで2階に上がって書店を探す。
探す程でもなく見つけた。
平積みのおススメ文庫を見つつ、脇の雑誌コーナーへ向かう。
最近は書店も御無沙汰してたなぁと、しみじみ感慨に浸りつつ、棚に並ぶ雑誌を見つめる。
付録付きのファッション誌の横に、週刊誌が置かれていた。
「………あった」
ゴテゴテとカラフルな文字と、お世辞にもセンスが良いとは言えない煽り文句に飾り立てられた雑誌を、弥生は手に取った。
開いてパラパラと頁を捲る。
隣室の川原が好きそうな芸能関係の話題が、一番最初に大きく取り上げられている。嘘か本当かさっぱりわからないが、アイドルのスキャンダルネタだの、盛りだくさんだ。
他には健康コーナーや雑学コーナー等もある。
週刊誌を手に取った事なんて病院の待合くらいのものだが、意外とまともな記事もあるようだ。
日焼け止めの数ある商品の売れ筋と、その検証も併せて書かれている。
「へぇ…これ良さそう」
団地近くのドラックストアでも、新商品として売り出されていた日焼け止めを見つけた。コスパがかなり良いと、紙面でもおススメになっている。
この夏も日差しが強く、紫外線対策は必須だから丁度良い。
ついつい読み進めてしまったが、その後ろの方に、真柴の言っていた都市伝説の特集があった。
夏の連続企画らしく数号続くようだが、確かに『忽然と消えた家族』と題して、その記事が載せられている。
つい読み進めようとして、ハッと腕時計を確認した。
これ以上遅くなると、酔っ払い達に囲まれかねないと、慌てて雑誌を購入すべくレジへ向かった。
流石に駅近くの書店だけあって、そこそこ人が多い。
昨今書店が減少傾向にあると、何かで見聞きした覚えがあるが、やはり書店は必要だなと、弥生は改めて感じた。
目的の本を買いに来たついでに、新たな活字と出会う…と言うのは、何ても捨てがたい。
そう言う機会はネットでは、やはり難しいのではないかと思ってしまうのだ。
自分の番が来たので、会計をする。
袋は必要か聞かれ、そう言えば本が入る様な鞄ではなかった事を思い出した。
袋代5円を追加して代金を支払い、弥生はそれを手に持つと、駅の方へと歩き出した。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。
ブックマークや評価等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




