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「はぁ!?
アリバイって……昨夜の事ならわたしが証言できるし、このマンション、ちゃんと防犯カメラ付きだから、それも言えばいいわ!
ったく…何なのよ…。ほんっと警察って失礼の塊よね。わたし、大っ嫌い!」
ぷりぷりと怒る真柴に、反対に毒気を抜かれて弥生はへらりと笑う。
そうこうするうちに、上司も出勤してきたので、さっきの電話の事を話すと、午後半休を貰えた。
真柴が心配する中、再度増山刑事に電話し、会社近くのファミレスで会う事になる。警察署へ行った方が良いのかと聞いたのだが、もしかすると弥生の友達…つまり真柴にも少し話を聞くかもしれないからと、そう決まった。
真柴と上司に電話の内容を伝えてから、午前中の仕事に手を伸ばす。
お昼休憩の時間となり、真柴は昼食の為に社員食堂へ向かった。弥生はもう少し仕事を進めてから、待ち合わせのファミレスに向かうつもりである。
キリのいい所でデスクの上を片付け、残っていた同僚に一部引き継ぐ。
上司のデスクに挨拶に行くと…
「なんや、迷惑な話やな。佐々木は被害者やろうに。
まぁ、有給もたまってたみたいやし、今日は仕事も落ち着いてるから、気にせんと行ってこい。
ほんま…警察には腹立つなぁ」
ぶちぶちと、こうして周りが怒ったりしてくれる事で、弥生は救われている。
再度頭を下げて、弥生はファミレスに向かった。
指定のファミレスに到着すると、増山刑事が前回の失礼な若手刑事と一緒に待っていた。
しかし時間が時間なので、席はそこそこ埋まっていて、かなり待たされそうな気配がある。
刑事2人も困っているようなので、駅前から外れた場所にある居酒屋を提案した。居酒屋と言っても、昼の営業時はごく普通の弁当屋だ。
ただ、弁当を買えば店のテーブルを使わせて貰える。あまり知られていないシステムらしく、席は大抵ガラガラなのだ。
目的の店に着いた。
店の前に出されたテーブルに並ぶお弁当から、弥生は鮭弁当を選択。刑事二人は其々コロッケ弁当と焼き肉弁当を手にした。
お弁当を購入し、飲み物は脇に置かれている自販機で買えば良い。店員に声を掛けてから店内の奥まったテーブル席に着く。
お弁当を開けながら、増山が色々と尋ねてきた。
所謂アリバイ…と言う奴だ。
テレビのドラマや小説では馴染みだろうが、こんな事を経験する機会は一生ないだろうと思っていた。
「なるほど。
じゃあアレやね…団地に居った時は、常に誰かの目ぇがあったと。
まぁドア修理なんて、家主の立ち合いなしには無理やろうしなぁ。
で、それ以外も怖くて一人では居れんかった…と、ふむふむ。
お、この漬物、柚子の香りがええですな」
弁当についている漬物に感嘆しながら、増山が弥生の話を確認する。その隣で件の忌々しい若手刑事が、焼き肉弁当を食べながらメモを取っていた。
「漬物はこのお店の店主さんお手製って聞いてます。
で、そう…昨日は考えたら一人になる時間ってあまりなかったんですよ。
友人宅から電車に乗って家に向かうのも、駅の防犯カメラなんかで確認できると思いますし、普段使う電車ではないので切符で改札の出入りはしましたし。
なんでしたっけ…鑑識? そう言うのでも探せるんじゃないかと思います。まぁ、指紋を取れば…ですけど」
厭味ったらしくそう言えば、増山は苦笑いを浮かべた。若手……こいつは本当に気に入らないので名前を聞いてやる気もない。そいつはムスッとした顔で弥生を睨んでいた。
まぁ指紋の提供なんて、そうそう言われる事はないだろう…多分…そうだと思いたい。
少なくとも、今は求められていない。
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