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朝、目が覚めて、仕事に出る準備をする。
昨日の間に今日は仕事後、自宅団地に戻る事は伝えてあるので、普段より念入りに掃除と片付けをした。真柴からは『何かあったら直ぐこっちに戻るように』と、言われている。
夜翁の話と報告書を見る限り、対応済みなのはあの女児…多分『放置子』と言われる子供だけなので、解決済みとはいかない。
昨晩も思ったが、どうやって対応したのだろう…と言う疑問は、時折脳裏を過ってしまう。
あの子供の事を詳しく知っている訳ではないが、言い聞かせる事が可能なタイプとも思えない。まぁ、考えてもわからないのだから、先ずは気持ちを切り替えて仕事に勤しむべきだ。
職場に着き、自分のデスクに鞄を置いていると会社の電話が鳴った。
思わず時計を見るが、まだ9時になっていない。ついっと視線を、一緒に来た真柴に移すと、首を横に振っている。
「こんな時間だから間違い電話だって。
録音もされるから、出なくていいよ」
そう言われて納得する。
今日の仕事の優先順位を組み立てていると、電話が不在対応に切り替わった。機械音声の後に録音が開始される。
「朝早くからすみません。
御社にお勤めの佐々木さんに伝言をお願いします。
〇〇〇の………まで電話いただけるよう、お願いします」
相手が電話を切ったのだろう、プツンと音が途切れた。
思わず眉根が寄った弥生と真柴が顔を見合わせる。弥生は急いで鞄を探り、自分のスマホを取り出す。
着信が何度もあったようだ。
通勤中はマナーモードにしている為、気付かなけなかったのだろう。
「佐々木って他に居ないから、間違いなく弥生の事よね?
相手に心当たりあるの?」
「わかんないけど…ちょっと電話してみます」
さっき聞いたナンバーに掛ける。
『もしもし』と言う相手の言葉の後に、電話を貰った佐々木だと告げると、途端に通話口の向こうの気配が変わった。
『あ、ちょっとお待ちください。
主任! 主任!!』
誰かと交代するらしい。
『あ~もしもし、朝早くからすみません。
携帯が通じんかったモンですから。覚えてますやろか…〇〇署の増山ですわ。
ほれ、ドアの時の…』
『あぁ』と、やっと記憶が繋がった。
ドアを凹まされた時、話を聞かれた中年刑事の方だ。そういえば連絡先を聞かれていたんだったと思い出す。
「はい。
すみません、電車の中はマナーモードにしてて気づかなかったみたいです。あの時お名前も伺ってなかったし…」
『いやいや、こっちこそえろうすんません。
確かにあん時は名乗っても居ませんで、失礼しましたなぁ。
それでなんですけど、ちょっと昨日の行動をお聞きしたいんですが、時間大丈夫ですか?
電話でなんやったら、出向きますけど』
横で、真柴も不安そうな顔をしている。
「あの…それってアリバイとか言う奴ですか?
何かあったんでしょうか…」
『まぁ、参考に…ですわ。
それでどないでっしゃろ……手隙の時間はないですか?』
どうにも要領を得ないが、アリバイを聞かれるという事は何かあったに違いない。しかし仕事の関係もあり、上司に相談してからでないとどうしようもないのも事実。
そう言った事情を話し、上司と相談してからまた電話すると言って、その場は切った。
呆然とスマホを鞄に戻すと、真柴がすかさず聞いてくる。
「何があったの?
なんか断片的に、相手の声も漏れ聞こえてたけど…」
「うん…警察の人からで、昨日のアリバイ確認みたい…」
途端に真柴の眉間の皺が深くなった。
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