表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】ご相談、承ります  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/47

26


「そうよね…昨日も話したかもだけど、電車で席を譲れとか…もう、あぁ言う常識ナシは、外国人だけでお腹いっぱいだって言うのにねぇ」

「この暑さでおかしくなっちゃった…なんて訳じゃなさそうですけど」

「暑さのせいなら、いつからこの国は常夏の国になったって言うのよ? ま、常夏どころか、常地獄…ではあるけどねぇ…それもだけど、明細…見た?

 ガッツリ税金で持ってかれてるの!

 なーにが独身税よ、ふざけんなーって言うの!

 政治屋どもが身銭を切れば良いじゃんね!?」

「政治屋って…政治家じゃないんです?」

「どう考えてもお金目的でしかないでしょ? だから『家』じゃなく『屋』で良いのよ『屋』で!!」


 真柴と共に、どうにもならない不条理に嘆き笑いあう。こうしたガス抜きは必要だ。


 弥生が買って来たフライドチキンと、キンキンに冷やした缶ビールをメインに、晩御飯も済ませる。

 今は真柴がシャワー中だ。

 その間に荷物の整理をしておこうと、弥生はリビングを出て荷物を置いた部屋に向かう。


 今日のお泊りセットを確認。ついでに明日のお仕事セットも確認しておこうと、仕事用の鞄も開いた。


「よし、ちゃんと全部あ……る………………ぇ…」


 仕事の時に使っている鞄は、合皮製のショルダーバッグなのだが、A4ファイルを横入れできる大きさがあり、弥生は気に入っている。

 ポケットも多く、鍵だの文房具だのも、小分けして入れておけるので、小物が鞄の中で迷子になる事が少ない。

 そんな鞄の一番奥のポケットに、入れた覚えのないファイルがあった。


(何だろ……持ち帰りの仕事はなかった筈…)


 ドクンと耳鳴りに似た鼓動が聞こえた気がする。

 恐る恐るファイルに手を伸ばす。


 ポケットからゆっくりと引き上げる。ポリプロピレンの霞んだ薄膜の奥に見えたのは封筒――しかも黒い封筒だ。


(嘘……夢じゃなかったの…?)


 てっきり夢だと思ってた。

 夢じゃなかったのなら、何故鞄にファイルを仕舞った事とか、記憶に残っていないのだろう?

 それにチラシまで鞄に入っていた。


 常軌を逸した一家の行いに、追い詰められてストレスが急上昇した事で見た夢だ…そう思っていたのに…と、弥生はファイルから封筒を抜き出す。


「2万円……」


 2万なら、何とか財布にあった筈だ。

 昨日、真柴の家に急なお泊りになったせいで、最低限下着などは買わないと…と、道の途中にあるスーパー近くのATМに寄ってから買い物をしたのだ。



 手にした封筒を見つめるうちに、その封筒の色に引き摺られた訳ではないが、黒い…真っ黒な感情が湧き上がってくる。


(そうよ…なんでこんな目にあわないといけないの?

 あの人達がおかしいだけで、なんで私がこんな酷い目に合わないといけないのよ…。その上真柴さんにまで迷惑かけてしまって……そんな状態に追い込まれなきゃいけない理由なんてないわ)


 くっと下唇を噛み締める。

 ヒクっと片頬が引き攣った。


 それを合図にしたつもりはないが、弥生は財布をだし、そこから紙幣を2枚取り出す。それを軽く伸ばしてから黒い封筒に入れた。

 躊躇いなく入れた。


 黒い感情のせいだろうが、それも間違いなく弥生の感情だ。


 封筒にお金を入れただけで、どうにかなるとは思えないが、指示通りに動く事で今は心の平静を保たなければ、叫び出してしまいかねなかった。

 その程度には、自分の黒い感情を持て余している。


 ふぅと自分を落ち着かせようと、小さく深呼吸をした。

 それからお金を入れた黒い封筒を、ファイルに戻そうとした刹那、微かに鼓膜が振動するのを感じる。





 『契約成立、ありがとうございます。

  では吉報をお待ちください』




 あの夜翁の声が聞こえた。





ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ