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 シャワーを終えて出ると、テレビの前に置かれたテーブルの上には、いろんな料理が所狭しと並べられていた。

 弥生が作った肉じゃがや御浸しに加え、スーパーで買って来たお惣菜も並んでいる。明太子のポテサラは真柴が作ったものだろう。店で買うより明太子の量が多い。とても美味しそうだ。


 パジャマを借りて、二人ともテーブルにつく。


「「いただきまーーす」」


 晩御飯とも言えない、なんちゃって居酒屋な品々に舌鼓を打ちながら、仕事の話や、同僚の恋バナに花が咲く。

 違う部署の同僚が、今度寿退職するのだ。

 その送別会の話が一段落した頃合いで、真柴は少し言葉を止める。

 そしてちょっぴり困ったような、苦しいような…表現に悩む表情を向けてきた。


「それで……どう?

 相変わらず?」

「え?」

「だから…騒音…」

「………」


 お泊りする事になった原因の話だ。

 弥生はへらりと眉尻を下げて、苦く笑う。


「あ~……アハハ…まぁ、そう…ですね。

 変わらずと言うか……」


 言葉が途切れる。

 昨晩の女性の真っ赤な爪と、血走った目玉を思い出し、弥生は小さく震えた。

 でも…と、考える。

 と言うか、ご近所も心配してくれているし、こうして真柴だって気にかけてくれている。だが、もう昨夜の事で自分の限界が見えてしまった。


 目頭が熱いと思った瞬間、涙が溢れ、この数日の事、昨晩の事を話し出した。

 途中、何度もつっかえたり、時系列がおかしな事になりながらも、何とか話を進めていくうちに真柴の眉間に皺が寄って行く。


「なんなの…それ…」

「いや、そも慰謝料って何? 払うとしたらあっちでしょう!?

 そいつ馬鹿なの? あ~馬と鹿に失礼か。

 自治会長さんに注意を受けたからって……それ逆恨みって奴よね。うっわぁぁ……いや、最近おかしな人多いわよ?

 電車でも疲れ切って船漕いでる会社員に、席を譲れとか…どうみてもテーマパーク帰りの親子が絡んでたりとかさぁ。

 もう常識ないの? 羞恥心とか何処に置き忘れた? って、色々と突っ込みどころ満載な輩多いわよ。

 でもって、自分の常識のなさを棚上げにSNSで中傷とか、もうほんと訳わかんない輩、増えすぎ。でも謝罪とか慰謝料って……もう訴えよう?

 警察とか行政とか。

 引っ越しできればいいけど、それは難しいんでしょう? まぁ家に泊まりに来てくれるのは問題ないけど、弥生はそれは嫌なんでしょ?」


 申し出は本当にありがたい。

 真柴は純粋に心配してくれているのがわかるし、嫌な顔をせずに泊まらせてくれるだろう。

 だが、そんな善意や好意に、胡坐をかくような真似はしたくない。

 気遣いが嬉しいからこそ、心苦しく感じてしまう。


「嫌じゃないんですけど、やっぱり迷惑かけちゃうのは心苦しくて」

「そんなの気にしてないけどなぁ。なんならシェアしちゃっても構わないよ? 部屋の一つには段ボールとか置いてるだけで、問題なく空けられるし

 もうここに引っ越しておいでよ」


 あっけらかんと言う真柴に、涙が出そうなほど心が震えた。

 なんだろう…もう少し頑張れそうな気がしてきた。考えれば、引っ越しで逃げても、もやもやが晴れない気がしたのだ。


 今日ゆっくり眠らせて貰えば、気力は少しでも回復する。身体も少しは楽になる筈だ。

 警察や行政に訴える前に、あのチラシに電話してみようと考えた。

 法外な金額を取られるとか、そういうのだったらさっさと電話を切ってしまえば良い。最初の電話は公衆電話を探して、そこからかけて、名前も住所も、こっちの個人情報は明かさずに質問だけすれば良い。


 かかる費用とか、どんな方法で解決するのか…そんな事を尋ねてみて、納得出来れば依頼すれば良いのだ。

 それでどうしようもなければ、その時に行政や警察に訴えて、真柴の提案は最後の砦と思わせて貰えたら十分だ。



ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性があります。また、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、御暇潰しにでも読んで頂けましたら嬉しいです。


ブックマークやリアクション等々も、頂けましたらとても励みになりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ブックマークや評価等々くださった皆様には、本当に本当に感謝です。


AI不使用な事もあり、誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~等々が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つけ次第ちまちま修正したり、こそっと加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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