第8話 ヒーロー参上!?
怪人アプリのレベルが上がった事で、秘密基地の中で専用の車を用意する事が出来る。
秘密結社の車らしく真っ黒なフルスモークガラスのワンボックスカー。
無限に作る事が出来るので壊れたり乗り捨てても問題ない。
乗り捨てた場合は、秘密基地から操作して爆破させる事も出来る。
「スカンク男ちゃぁん。 お仕事よぉ」
「第三水曜日。 襲撃の日スカー」
「今回は総督閣下からプレゼントして貰ったこの車で現地までいくわよぉ」
「車スカー! 一度スカンクも乗って見たいなって思ってたスカー! 誰が運転するスカー?」
「スカンク男ちゃんは運転出来ないのぉ?」
「出来るわけないスカー」
「私も普段から飛行してるから、すぐ何処かにぶつけちゃいそうだわぁ」
「名案があるスカー! 量産型戦闘員さんに運転して貰うスカー!」
「それじゃあ一人だけ転送して貰おうかしらぁん! 量産型戦闘員ちゃんでておーいで」
カラス女が転送装置を使い一人の量産型戦闘員を呼び出すと、量産型戦闘員は周囲を確認した後、「サイレンス」と二人に挨拶をする。
「量産型戦闘員さん、この車を運転して欲しいスカー」
「サイレーンス」
量産型戦闘員は胸を叩いて、任せろと言わんばかりの態度を示し、ドアを開けて運転席に座った。
カラス女とスカンク男も後部座席に乗り込む。
「目的地はここ、この大きな公園スカー」
「サイレンス」
どうやら目的地をしっかりと覚えた様なので、早速出発する。
量産型戦闘員の運転は至って普通であり、安全運転である。
偽物ではあるものの、ナンバープレートもちゃんと付いているので、警察に止められる様な事も無く、目的地の公園へと辿り着いた。
「一時間くらい早く着いたスカー」
「そうねぇ。 襲撃に備えて一般人は誰もいないわぁ」
「サイレーンス」
「スカンク達も有名になって来たスカー。 でも、ちょっとおかしいスカー」
「ええ、警察がいないわぁ」
「自衛隊もいないスカー」
「もしかして、防衛出来ないと踏んで来ないつもりかしらぁ? それともお金で解決するつもり?」
「流石にそれはないと思うスカー」
「まぁいいわぁ。 時間をつぶしでもして待つわよぉ!」
三人は一時間弱の間、トランプでババ抜きをして過ごし、時間になったので、公園の中央へと車を走らせた。
中央へ来たと言うのに、警察や自衛隊の姿はない。
三人は車から降り、とりあえず転送装置を使って量産型戦闘員達を召喚する。
呼び出された量産型戦闘員達はいつも通り、自らを鼓舞する様に叫び始める。
「「「サーイレーンス」」」「「「サーイレーーーンス」」」「「「サーイレーーーーンス」」」
すると、どこからともなく「現れたな悪党共め!」と言って、妙な服装の人間達が現れる。
「情熱レッド!」
「真心グリーン!」
「希望イエロー!」
「高級ブラック!」
「愛情ピンク!」
「お前達の好きにはさせないぞ! 俺達!」
「「「「「国防戦隊ファイブガーディアン!!」」」」」
しっかりと決めポーズまで取った5人を見て、カラス女が前に出る。
「あらぁん! そっちが名乗りを上げるなら私達も名乗らなきゃねぇ。 秘密結社ルイナス幹部のカラス…… 空の女王マスカラスよぉ!」
「ええ!? スカ…… スカ…… 征服王スカーレッドキングスカー!」
「「「サーイレーンス」」」「「「サーイレーーーンス」」」「「「サーイレーーーーンス」」」
「空の女王マスカラス!」
「征服王スカーレッドキングスカー!」
「そして戦闘員達!」
「俺達が貴様等を」
「やっつけてあげる!」
「「「行くぞ!」」」
「「いくわよ!」」
「ちょっと待って欲しいスカー!」
「どうした! 征服王スカーレッドキングスカー!」
「征服王スカーレッドキングスカーじゃなくて征服王スカーレッドキングスカー」
「何処を間違えてるのか分からん!」
「スカンク、スカーを語尾に着ける癖があるスカー」
「わかった! いくぞ! 征服王レッドキング!」
「レッドキングじゃないスカー。 スカーレッドキング、スカー」
「どうでもいい! 行くぞ!」
ヒーローと怪人の戦闘が始まる!
どうやらヒーロー達は、固有の武器を使って戦うらしい。
レッドはヒートソード。
グリーンはエレキギターによる音波攻撃。
イエローは輪っかの様な光線を飛ばし、戦闘員達を切り裂いていく。
ブラックは両手に盾の様な物をつけてそのまま殴って来る。
ピンクは味方を光線銃の様なもので撃っているので、何かしらの支援をしているのだろう。
頻度は少ないが、別の銃に持ち替えての攻撃も行っている。
「あらぁん。 結構強いのね」
「攻撃力が高くても当たらなければ問題ないスカー。 あの緑の音波攻撃が一番厄介そうスカー!」
「戦闘員ちゃぁん! 全員で緑に突撃よぉ!」
「黄色とピンクは任せるスカー」
「じゃあ私は赤と黒ね」
ヒーロー達の身体能力は人間を越えているのだが、その能力に振り回されている様子が伺える。
どうやら最近強化された人間であるらしいと、カラス女は予想した。
現段階では、元々身体能力の高い怪人である二人の方が有利に戦闘を進めていた。
しかし、戦闘が長引くと、戦闘員達が先に全滅。
グリーンが自由になった事で、戦況は大きく変わった。
「またせたな! いくっすよー! ロックンローーーール!」
グリーンの掛け声と共に、ヒーロー達が集まり、いつの間にか手にしていた大型のバズーカ砲のような武器で怪人二人をロックオンする。
そして、レッドの「ファイヤー!」の合図でバズーカ砲から閃光が放たれた!
高圧縮されたエネルギーの塊のようなそれを見切る事は出来ず、カラス女の体を打ち抜いた!
カラス女は糸の切れた操り人形の様に、その場で崩れ落ちる。
「マスカラス! ゆ…… ゆるさん…… ゆるさんスカー!」
今度はスカンク男が逆立ちをし、必殺のオナラ攻撃!
いつもの2倍以上の力を込めて打ち放ったそれは、ヒーロー達に向けて強力に放たれた!
大技を放ったせいで、動きの鈍くなったヒーロー達は真面にそれを喰らい、全員が膝をついた!
「なんだこれは! マスクを貫通して…… おえええええ」
「目が痛いっす! 息が……苦しい」
「……。」
「耐えるんだ…… 臭いが、動けるなら奴を倒せる!」
「無理…… ゴホッゲホッ! ゴホッ無理」
「くっさ」
「マスカラス! 今日はこのくらいにしておいてやるスカー!」
スカンク男はカラス女を抱き上げて、一目散に走り始めた。
追手はいない。
スカンク男は全力で走り続け、なんとか秘密基地のある山へと辿り着く。
そして秘密基地のインターホンを押して状況を説明すると、中からストレッチャーを運んで来た怪人サル男と愚理央がカラス女をストレッチャーに乗せた。
メディカルルームに運ぶ途中、秘密基地内にとてつもない悪臭が漂い始めたので、半藤入鹿博士が開発した匂い取りスプレーをカラス女とスカンク男に噴射すると、あっという間に悪臭が収束していく。
メディカルルームに運び込まれたカラス女は、全身に針の様な物を刺され、サル男が身体の状態を確認する。
「フォトンレーザーによる核細胞の破壊だねぇ」
「サル男先生! カラス女は助かるスカー!?」
「ふむぅ、通常の医療ではまず治せないが、私と助手のリス女君であれば可能だよ」
「本当スカー! よろしくお願いしますスカー!」
「ああ、任せておきなさい」
施術の邪魔になるので、スカンク男はメディカルルームの外にでて無事を祈る。
しばらくすると、騒ぎを聞きつけたうららがスカンク男の前に現れた。
「カラス女がやられちゃったって聞いたけど、何があったのか教えてもらえるぅ?」
「国防戦隊ファイブガーディアン。 奴等はそう名乗ったスカー」
「アハッ! そんなのが現れたんだぁ……。 それで、相手は強かったの?」
「身体能力はスカンク達とそれ程変わらないスカー。 ただ、その力を操りきれていないって、カラス女は感じてたみたいスカー」
「へぇー。 それじゃあ強化人間。 もしくは身体強化するパワードスーツみたいなのを装備している感じー?」
「へんな服を着ていたスカー。 赤と緑と黄色と黒とピンクがいたスカー。 それと、武器はものすごく強力な力を感じたスカー」
「戦隊ヒーローで武器が強い……ありがとう参考になったわ! とにかく今は傷を癒して、戦える様になるまでは襲撃の必要はないからゆっくり休んでね!」
「お心遣いありがとうスカー」
うららは秘密基地の外へ出て呟く。
「戦闘能力は大した事ない……それじゃあ、もう少し遊ぼうっと!」




