第7話 秘密結社ルイナス!
秘密基地を作ってから半年が経つ。
うららの手によって、秘密基地は大きく姿を変えた。
山は周囲を不自然にならない程度のバリケードを張り巡らし、畑なども作りって自家栽培なども始める。
秘密基地のある山の裏手の方には海があり、そこに繋がる海底トンネルを繋げ、潜水艦用のドッグを設け、大型の潜水艦を停泊させてある。
秘密基地は最初の頃と比べるとかなり広くなり、必要な怪人達も生み出した。
新たに作られた厨房では、 怪人たこ男と牛女がみんなの料理を作ってくれている。
そして、兵器開発を担当しているのが怪人チンパンジー博士と半藤入鹿博士である。
二人は専用のラボで日々兵器などの開発と研究に勤しんでいる。
その他にも、医療担当の怪人サル男と、その助手であるリス女がメディカルルームを任されている。
黒井亜里と黒井庵途の担当しているアイドル達も一躍有名になり、全国を巡るツアーなどの計画も立て始めていた。
そんな二人にうららは、花畑に居る花牟愚理央と共に来る様にと呼び出した。
「「総督閣下、何か御用でしょうか?」」
「うん、今日は大切な日になるの!」
「なるほど、私達はその大切な日に大きな役割が与えられるのですね」
「まあ、やって欲しい事はあるけど、まずはこれを見て」
そう言ってうららが見せたものは、うららにそっくりな見た目の量産型戦闘員。
二人の博士によって量産型戦闘員達を改造する事に成功したのだが、持っている能力は著しく下がってしまう。
この量産型うららも自分の意思では全く動けず、力尽きても爆発も起きない。
「総督閣下にそっくりですね。 これを何かに使うと言う事でしょうか?」
「そうよ! そう言う訳だらか、愚理央はこれを袋に詰めて持って来てね。 あと、亜里と庵途はそっちのタンクを持って来て」
「わかったでごわす」
「「畏まりました」」
うららは三人を連れて、街へ向かう。
向かった先はうららの実家で、休日なので家族全員が揃っている。
家族構成は祖父、祖母、父、母、うらら、妹の6人で、ペットにハムスターと猫とミックスの小型犬を飼っている。
「それじゃあ入るよー」
そう言って玄関の扉を開いたうららは「ただいまー!」と言って奥へと入って行く。
着いて来た三人もうららに続いて、ぞろぞろと足音を立てて家の中へ入って行く。
リビングではうららの祖父と父と母が寛いで居たのだが、入って来た三人を見て驚いていた。
小型犬はリビングを走り回り、喜んでいる様子を見せている。
「うららの新しい友達だよー! 紹介するから集まってー」
うららがそう言うと、祖父、父、母の三人がリビングのソファーに並んで腰かけた。
そこで、うららは連れてきた三人に思念を送り指示を出す。
“声を出す間もなく三人を殺せ。 その後、祖母と妹も家の何処かにいるはずだから声を出させずに見つけて殺せ”
亜里と庵途は送られた思念に対して驚き、思わずうららの顔を覗き込んだ。
二人とは対照的に、愚理央は即座に動き、横一列に並んでいた三人を横薙ぎに腕を振って首から上を弾き飛ばす。
唸り声を上げて噛みついて来た小型犬も愚理央は容赦なく叩き潰す。
そして、愚理央はそのまま家の中をゆっくりと移動して、祖母と妹を探し始めた。
「総督閣下は何をなさって……」
「あれ? 別におかしな事言ってないと思うけど?」
「家族ではないのですか?」
「家族だよ? ああ、そう言う事? それじゃあ家族を殺す理由について教えてあげるね! うららは不登校だけど、一応学校に通わなきゃならないでしょ? だからうらら自身が死んだ事になるのはとっても都合がいいの!」
「それなら…… 持ってきた量産型を交通事故に見せかけたり、高いマンションから落とせば……事足りるのではないでしょうか?」
「何言ってるの? うららが死んだら家族のみんなが悲しんじゃうじゃない! 可哀想だよね? だからみんな一緒に殺してあげるの! うららはみんなの為に行動してる、あなた達の為なんだよ?」
「私達の……為?」
「その通り! だって今日は正式に秘密結社ルイナスの誕生の日なんだから!」
「秘密結社ルイナス。 それが我々の組織の名前」
「そう! これからは本格的に襲撃もしていくよー! 今まではスカンク男の悪臭がメインの嫌がらせだったけど、これからは兵器による破壊と侵略をしていくつもりだからね!」
「……。 畏まりました」
「終わったでごわす。 偽物の総督殿はソファーに並べておくでごわす」
「うん! ありがとう愚理央! それじゃあ、亜里は二階の奥からガソリンをたっぷり撒いて来て、階段は撒かなくていいから。 庵途は一階の奥からね!」
「「畏まりました」」
「愚理央は最後に残って火をつけて逃げてきて!」
「わかったでごわす」
家の中にガソリンが巻かれ、愚理央を置いてうららは離れた場所から思念を送る。
愚理央が火を投げ入れた後、急いでその場から離れた。
ほんの数秒遅れて、うららの実家は大爆発を起こし、大きく炎が燃え広がった。
うららは爆発を見て「たーまやー」と呟いた後、そのまま秘密基地のある山の方へと歩き始める。
そして、何事も無かったかのように、亜里と庵途に向けて話しかけ始めた。
「歩いて移動すると時間掛かるよね? そろそろ車とかコプターとか欲しくない?」
「はい、怪人を襲撃に向かわせる時にも必要になって来るので、あった方が便利だと思います」
「そうだよねー。 転送できるのは量産型戦闘員だけだし、一応怪人アプリのレベルが上がってるからそう言うの、作れるのよね。 みんな免許は持ってるけど運転はした事ないし、危ないから使わなかったけど、これからは運転技術を学んで使える様にしておいた方が良さそう!」
「はい、総督閣下のおっしゃる通りです」
「うんうん! それと、アイドルのお仕事とかで車ほしいでしょ? 必要なら一般車とか買ってもいいからね!」
「畏まりました。 お心遣い感謝致します」
うらら達は秘密基地へと戻り、それぞれの業務に戻った。




