第31話 オトズレル不協和音。
改造されたグリーンと音呼の波状攻撃は強力だが、亜里と愚理央は音波による耐性が高く、瑠璃目白も接近して武器を封じる事で、三人は優勢に戦えていた。
「想定以上だな。 特に白ちゃ…… 予想はしていたが、瑠璃目白がこれ程戦闘能力が高いとは」
「何やってるだスイーツ! 今のお前は足手まといだ! 私様に合わせろ!」
足並みの揃わない二人に勝機を見出した亜里は、畳み掛ける様に指示を飛ばす。
瑠璃目白は、音呼を取り戻す為、いつもは抑えていた力を解放し、大鎌を振るう。
「っち! こんなに頼りねーとは思ってもみなかったぜスイーツ!
ディソナンスはもう、こりごりだ! 次で決めなきゃコンビ解消だぜ!」
「くうぅぅっ! 仕方ないっすね。 じゃあ、俺っちも最後の賭けにでるっす!」
「いい音だ…… 見せつけてやれ! スイーツのロックンロールを!」
グリーンの奏でるギターは、強烈なリフの繰り返し。
しかし、そのリフに追従する様なアルペジオと、たまに不協和音を鳴らしずれていくルート音。
聞き覚えのないその音に、音呼は「なるほどな」と、一言呟いた。
次の瞬間、音呼がグリーンの音色に合わせ、同じように追従するメロディーを奏で始める。
二人の攻撃は先程までとは打って変わって、強烈なサウンドと共に、激しい音波攻撃となって三人を襲う。
息の合った二人の動きは、万全だった頃よりも更に洗練され、亜里たちではまるで太刀打ちが出来ない程であった。
「あの二人、生きピッタリね。 急に動きがよくなったわ」
「撤退!」
「いいんでごわすか?」
「だって、音呼ちゃん…… あんなに楽しそうですから……。
それに、今の私達では連れて帰るのは無理そうです」
「わかった。 撤退しましょう」
白と愚理央が基地の扉を開けて外へでたその時、突然その扉が閉まりロックが掛かった。
「マネージャー!」
「あなた達はそのまま撤退しなさい」
「どうしてですか? 一緒に行きましょう!」
「分からない! 分からないのよ! 私は……
最後まで音呼ちゃんを説得するわ。
きっと、それが私が本当にしたい事だと思うから……」
「そんな……」
「いくでごわす! 亜里殿…… さよならでごわす」
白を担ぎ上げ、愚理央は走った。
夜明けと共にミサイルが撃ち込まれる。
その時間が差し迫っていたからだ。
車へと乗り込んだ二人に、スカンク男が声を掛ける。
「作戦は失敗だったスカー?」
「その通りでごわす」
「亜里さんの姿が見えないスカー」
「亜里はもう戻ってこないでごわす…… 車を出して欲しいでごわす」
「亜里さんが運転手スカー」
「他に運転できる人いるでごわすか? 誰も出来ないでごわすか……。
降りて走るでごわすよ」
運転手不在により、それぞれ走って防衛ラインへと下がる事を決めた。




