第29話 怪人達の晩餐会。
ルイナスの基地では、改造手術の終わった誠と、音呼を祝う小さなパーティーが開催されていた。
「おめでとうー! 緑川誠!
これで、うららの為に沢山頑張れるようになったね!」
「イエーイ! 体の痛みが綺麗さっぱりなくなったっすよー!」
「私様も絶好調っす! 食事が終わったらまたセッションしようぜ、マイスイーツ!」
誠はヒーローだった頃と同じ様に、グリーンのスーツに身を包んでいる。
しかし、ヒーローだった時とは違い、より深い緑色をしていて、装飾も派手な物があしらわれている。
音呼はあまり見た目に変化はないが、本人の希望で、変身すると青緑色のスーツになり、グリーンの相棒の様な姿になる事を選んだ。
「さーて、美味しい食事をシェフに作らせたわ! 盛大にお祝いしよ!」
「いいっすねー! 色々あるから何から手を付けていいか迷うっす!」
「私様はこのミレットが好きっすよー!」
「それ、ピーちゃん時代からの大好物っすね! それじゃあ、俺っちも食べるから…… 変身解除!」
「……。 ピャーっ!」
変身を解いた誠の姿に、目の前にいた音呼は驚き、気を失ってしまった。
誠の通常時の姿は、本人の希望通り、ありとあらゆる苦痛を与えられた様な姿。
その姿はあまりにも凄惨で、うららもその姿に思わず料理を進める手を止めた。
「うふふ…… うふふふふ、いいセンスね!」
「でしょー! これくらい覚悟決まって無いと、こっち側につけねえっすからねー!」
「うーん、その子ショックで倒れちゃったけど大丈夫なのー? コンビ組むんでしょ?」
「問題ないっすよ! 俺達、これで繋がってるんで!」
そう言って、誠はギターを掲げ、ジャーンと音を鳴らした。
「うんうん! 人間卒業おめでとう!
改造手術で、二人には爆弾ついてるから、うららの事、裏切っちゃダメだからね!」
「分かってるっすよ! 音呼ちゃんの為に、俺っちは頑張るっす!」
食事を始めた誠と、目覚めた後、マジマジと誠の顔を除く音呼。
ショックを受ける程の見た目であったが、それ自体は重要ではないらしく、音呼もだんだん慣れてきて、普通に食事をとる様になっていった。
三人が食事をしている中、一匹のハトが窓の外に立ち、コンコンと窓を鳴らす。
それに気づいたうららは、窓を開けると、ハトがクチバシに加えていた手紙を渡した。
うららは代わりの手紙をハトに渡すと、ハトはまたどこかへと羽ばたいていった。
「うららちゃん、なんすかその手紙?」
「うふふ、もう! 知ってるくせにー!」
「あはは、それ見るの一応初めてなんで、知らないっすよー?」
「これはねー、茂助との交換日記! 一目見て知的な人だってわかったから!」
「ももも、茂助ぇー!? 茂助って興梠博士の名前じゃないっすかー!」
「そう! ヒーロー側にいる茂助よ! 連絡を取り合ってるの!
結構、私と趣味が合うのよねー!」
「二人共なんか、大袈裟っすね? 私様も混ぜてほしいっす!」
音呼の言葉に、うららと誠が目を合わせると、なぜかその後二人はわざとらしい程の爆笑をする。
音呼も二人に釣られて、笑い始めると、三人はしばらくの間ずっと笑い続けていた。
笑いつかれたうららは、ふうっと息を吐き、落ち着きを取り戻して、二人に告げる。
「三日後に、ミサイルが振ってくるんだってー。
お引越しの準備しなくちゃね!」
「お引越し……。いいっすね、新しいステージの幕開けっす!」
誠は苦痛に歪んだ顔のまま、最高の笑顔を浮かべてギターを掻き鳴らす。
救出に向かおうとする亜里たちの決意も、街を守ろうとする正義も、うららの狂気の中に飲み込まれようとしていた。




