表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/36

第25話 蒼穹の覇者、荒野の王者。

「くそっ! いい加減に離せ! どこまで行くつもりだ?」

「ええっ! あんた……誰だっけ?」


「何ィ!?」

「えっ? なに?」


 (かんむり)熊鷹(くまたか)は渾身の力を込めて、地面に足を喰い込ませる。

 そして、そのまま喰い込ませた右足を軸に、自らを抱きかかえる鳳五郎(ほうごろう)を回転運動のままに放り投げた。


 姿勢を崩した鳳五郎(ほうごろう)が、勢い余って壁に激突し、ようやく二人は足を止めた。


「痛てて、なんで壁がこんな所にあるんだー?」

「理解…… できないな。 なんなのだ貴様は?」


「……俺? 俺、だけど?」


 会話にならない様子に、熊鷹(くまたか)は頭を抱えた。


「会話にならないのであれば、仕方がない。 それと、不本意だが……。

 誠に不本意だが。 攻撃されたのであれば、反撃は致し方あるまい。

 フハハハ、安心するがいい、我は貴様の命までは奪わない」


 熊鷹(くまたか)は背中から翼を出し、上空へと羽ばたく。

 そして、急降下。

 ライフル弾よりも速く突進し、一瞬にして鳳五郎(ほうごろう)の肩を打ち抜いた!

 その衝撃は凄まじく、体の大きな鳳五郎(ほうごろう)が弾き飛ばされ、壁に激突。

 その壁はガラガラと崩れて、瓦礫となった。


 鳳五郎(ほうごろう)は何事も無かったかのように、体を起こし、服に着いた塵を払った後、熊鷹(くまたか)の方を見つめる。


「ああ、ごめん。 俺、なんか怒られる事しちゃったー?

 庵途(あんと)にいつも怒られるんだ。 馬鹿って……。

 ん? 馬鹿? そうか俺…… 思い出したぞ! お前、俺の悪口言ってただろ!」

「ふんっ! また我を捕まえようと言うのだな。 だが、そうはいかんぞ?」


 鳳五郎(ほうごろう)熊鷹(くまたか)に掴みかかろうとしたその時、熊鷹(くまたか)は上空へと回避した。


「恐ろしく打たれ強い奴だ。 加減をしていては埒が明かない。

 であれば…… 殺したとしても言い訳は立つか……。

 フハハハ、いいだろう。 殺すつもりで痛め着けてやろう」


 熊鷹(くまたか)の急降下の速度に、鳳五郎(ほうごろう)は反応が出来ない。

 更に、先程とは違い、熊鷹(くまたか)の両足には刃の如き鋭い爪が飛び出し、鳳五郎(ほうごろう)の命を刈り取らんとしていた。


 攻撃をギリギリの所で躱した鳳五郎(ほうごろう)だが、その額からは血が流れでていた。


「ほう、良い目を持っている様だな。 しかし、傷は浅くない様だぞ?」

「うーん…… そうか、なんかわからねえけど、お前、敵か?

 大丈夫、俺は敵を忘れねえ」


「なに? 敵意を向けられた途端に…… これ程のプレッシャーを感じるとは……」

「なんだ? ビビッてんのか? 来いよ、俺は飛べないから、お前から来いよ!」


「なめるなよ、小僧!」


 弾丸の如く飛行する熊鷹(くまたか)は幾度も鋭い爪で鳳五郎(ほうごろう)にダメージを与えていく。

 普通なら致命傷のはずだが、鳳五郎(ほうごろう)に倒れる気配はない。

 それどころか、すれ違いざま、確実に鳳五郎(ほうごろう)は彼を目で捕らえだしている。


 ただ目で追っているだけなのだが、それだけで熊鷹(くまたか)は攻めあぐねていた。

 本来であれば必殺の掴み攻撃も、その尋常ではない撃たれ強さと、一度掴まれて感じ取った力強さの前に易々とは使えない。


「よし、慣れてきた。 次で捕まえてみせる」

「いいだろう。 ならば我も決めにかかるとしよう」


 熊鷹(くまたか)は両足を前に突き出し、鳳五郎(ほうごろう)の両肩を掴んだ。

 更に自らの足を折り曲げ、カチリと完全に足をロックする。

 これで、熊鷹(くまたか)の意思で足を延ばさない限り、鳳五郎(ほうごろう)がこの拘束から逃れる事は出来ない。

 遥か上空へと舞い、超高高度から放り投げれば流石に命までは奪えずとも、この男にとっての致命傷を与えられるはずだ。


 しかし、現実は違った。

 鳳五郎(ほうごろう)はとんでもない力で、身体を八の字にくねらせ、両肩を貫いているにも関わらず、そのままの腕で熊鷹(くまたか)を掴み上げた。


 羽ばたく姿勢を失い、尋常ではない握力で掴まれている熊鷹(くまたか)は即座に足を延ばし、彼の拘束を解除した後、顔を踏みつけて振りほどこうとする。

 しかし、鳳五郎(ほうごろう)は掴んでいる手を離さないどころか、倒れる事すらない。


「き、貴様! 我を掴んでいる手を離せ!」

「凄い力だな。 腕が引きちぎられそうだ」


「フ…… フハハハ、腕の力だけでこれ程とはな。

 我は足で踏ん張っている。 離せば楽になるぞ?」

「楽になってどうする? 俺はお前を捕まえているんだぞ!」


「ならどうすると言うのだ? 我の足の爪が貴様の体を八つ裂きにするぞ?」

「爪が痛え、でも離さねえ! 何故なら俺はお前を捕まえているからだ!」


「では、これでどうかな?」


 熊鷹(くまたか)が一瞬、踏ん張るのを止め、浮いた隙間だけで足をずらし、鳳五郎(ほうごろう)の体を爪が切り裂いた。

 更に鳳五郎(ほうごろう)が強く引けばひくほど、その爪はその身体に深く食い込んでいく。


「がはっ!」


 ついに鳳五郎(ほうごろう)は吐血し、その場に膝を付く。

 しかし、それでも掴んでいる腕を離そうとはしなかった。


「くっいい加減にしろ! もう勝負はついていると言うのに」

「はっ? なんだよ、ビビッてんのか? 俺はまだやれるぞ」


「致命傷を受けてなお、そのような口を叩くか!」


 その時、二人の上空から一つの影が映った。

 その影は何度か二人を通過した後、落下する様にして二人の元へと降り立った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ