第13話 畜産計画!
ミニロップ女達がヒーロー達と戦っている頃、うららは亜里と庵途と共に優雅な食事の一時を楽しんでいた。
「お待たせ致しましたぬぅ。 本日のメインディッシュ国産黒毛和牛のステーキでございもぅす。 総督閣下は山葵がお好きとの事で、特製レフォールソースをご用意させて頂いておりますぬぅ」
「うん! 良い香り!」
うららはナイフとフォークを使い、切り分けたステーキを口へと運ぶ。
その様子に戸惑いながらも、亜里と庵途はうららと同じ様にステーキを食べ始める。
「このソース!レアの肉に凄く合うね! 亜里と庵途もそう思わない?」
「「はい、総督閣下の言う通りでございます」」
「やっぱりそうよねー! ねえシェフ、次の料理も持って来て頂戴!」
「畏まりましたぬぅ」
怪人牛女は手をパンパンと叩き、奥にいるもう一人のシェフであるたこ男に合図を送る。
すると、怪人たこ男は次の料理をテーブルの上に並べ、この料理について語り始める。
「タコラーナ。 西洋風タコのお刺身の和風仕立てになります。 ソースは白ワインビネガーを使ったレモンソースです。 大葉と三つ葉を乗せておりますので様々な風味をご堪能下さい。 付け合わせのはりはり漬けも一緒にご賞味されますと、実にタコラーナですので、ごゆっくりお楽しみ下さい」
「こっちの料理も凄く美味しいね! 亜里と庵途はどう? 凄くタコラーナ?」
「「はい、総督閣下の言う通りでございます」」
「アハハ、シェフ、タコラーナだって!」
「お褒めに預かり光栄にございます。 実にタコラーナです」
「食事を楽しむのって大事よね。 実は、山の土地はまだあるし、家畜も育ててみようかと思うんだけど、牛女はどう思う?」
「家畜でございますぬぅ? 家畜の飼育は未経験ではとても大変だとは思いますが、総督閣下であればきっと素晴らしい畜産家になれると思いもぅす」
「なるほどね。 ある程度拡張性も考慮して…… コンポスターとかも必要かなぁ? ちなみになんだけど、家畜を怪人化してから食肉加工するのはどう?」
「それはタコラーナ、おすすめ致しません。 素材としての質は間違いなく落ちてしまうと確信しております。 実にタコラーナでございます」
「ふぅーん。 タコラーナなんだ。 それじゃあ仕方ないね。 でも、明日には試してみようと思うの! 家畜を飼う事をね!」
その後も食事を楽しんだうららは満腹になり、席を立とうとすると電話の音が鳴り響く。
「もしもしご苦労様! そっちは上手くいってる?」
「総督、みんなに渡した武器の事…… 僕聞いてないんだけど?」
「あーあれね! びっくりしたぁ? 試し打ちとかされると気付かれちゃうし、時間ギリギリで渡して正解だったね! あの子たちもう死んだー?」
「いや、まだ戦ってる…… 量産型戦闘員も様子がおかしいみたいだったけど?」
「アッハハ! いい感じだったでしょ? 爆発力はさがっちゃったけどその分数を増やしたから十分だよね? 量産型はどうせ弱いし、それなら可愛らしい女の子の方が華やかでよかったでしょ?」
「総督、僕は悪趣味だと思ったね」
「そう? 価値観は人それぞれだし、そう思うのも仕方ないか。 ねえ鉤爪。 次の指示なんだけど、電話して来たって事はそろそろ限界なんでしょ? それじゃあ、潜入ミッション開始ね! ヒーロー達の拠点に潜入して情報を持って帰って欲しいの! うららの欲しい情報は研究者の数、そして研究資料なんかがあれば、どの程度の時間を使って研究しているのかとかぁ…… それと、倒し終えた怪人達がその後どう扱われるのかを知りたいの。 わかるよね? そう、うららが犠牲を出すのはあなた達の為なんだよぅ?」
「コラテラルダメージって言いたいわけね。 了解。 戦況に大きな動きがあったからまた連絡する……」
電話が切れた後、うららは二人のシェフに「ごちそう様ー!」と言って満足気な表情を浮かべながら食堂から出て行った。
ゆっくりと食事を勧めていた亜里がナイフとフォークを置き、シェフに語り掛ける。
「あの…… 大丈夫でしたか?」
「私は家畜ではありませんからぬぅ…… 亜里さん…… ああ、何を話そうとしたのかぬぅ。 すいません、ちょっと今元気ないみたいで」
「タコラーナ! シェフをするように命じられて最初はタコラーナも牛女もやる気に満ち溢れてました。 ですが、総督閣下の御消耗されるのは毎日牛肉とタコ肉ばかり。 実に…… タコラーナです!」
「あの…… タコラーナってどういう意味なんですか?」
亜里の発言に対して、牛女とたこ男は何故か表情に疑問符を浮かべ、言葉を無くし、驚愕した表情を浮かべていた。
「ああ、すいません。 非常にタコラーナでした」
二人のシェフはニコリとほほ笑んだ。
「家畜の件ですがぬぅ、コンポスターも必要と呟いていたので、堆肥なども作られるご様子でしたもぅ」
「ええ、確かに言っていましたね。 となると、そこそこの規模で畜産を行う予定でしょうか?」
「タコラーナ……。 恐らく牛、豚、鶏を飼い始めると思います。 飼育員には豚男と鶏女ですかね……? 堆肥の方は…… ミミズ男、カブトムシの幼虫男、ダンゴムシ男あたりですかね?」
「あまり想像したくありませんね……」
「たこ男! 食事中になんてもの想像させるぬぅ! 申し訳ございませんぬぅ。 引き続き本日の料理をご堪能下さいもぅ」
「わかりました。 せっかく作ってくれたので、二人で美味しく堪能させて頂きますね」
亜里達が食事を終え、それぞれの仕事に取り掛かかる。
それからしばらくして、真夜中。
気絶したふりをして、ヒーロー達の拠点に潜入している泯府鉤爪が動き始めたのであった。




